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◆昨日は、米2QGDPが予想以上の大幅上方改定となったことから、対円や対欧州通貨でドルが上昇した一方、原油価格が10%上昇するなどコモディティ価格が大幅反発したことから、カナダドルや豪ドルなどのコモディティ通貨は対米ドルで上昇した。
◆ドル/円は、欧州時間にかけて概ね120円台前半で推移していたが、米2QGDPの大幅上方改定を受けて、米利回りの上昇と共に一時121.40円へ上昇した。
◆本日は、本邦CPI、スイス2QGDP、ブラジル2QGDP、ドイツCPI、米コアPCEデフレータ、米ミシガン大消費者信頼感改定値などが予定されている。ドルは米2QGDP改定値を受けて上昇しており、株価の回復が続くと続伸もありそうだ。但し、Fed高官発言では比較的正副議長らコアメンバーに近いMesterクリーブランド連銀総裁発言が予定されており、他のメンバーと同様に9月利上げ慎重姿勢が示された場合のドル反落リスクに注意が必要だ。なお、ジャクソンホールシンポジウムでの中銀高官発言としては29日土曜のFischer・FRB副議長による米国のインフレに関する講演内容で低インフレの解釈と対応が注目される。
昨日までの世界:晩夏ショットでナイスアウト
ドル/円は、欧州時間にかけて概ね120円台前半で推移していたが、NY時間に入り米2QGDP改定値が前期比年率+3.7%と、市場予想を上回る大幅上方改定となったことから、9月FOMCでの利上げ開始期待が再び高まったかたちとなり、米利回りの上昇と共に一時121.40円へ上昇した。その後、米株価の一時的反落と共に120円台半ばへ反落する局面もあったが、引けにかけては再び121円を回復している。
ユーロ/ドルは、米2QGDP大幅上方改定や、中国株価の反発を受けて下落基調が続き、1.13ドル台から一時1.1203ドルへ下落した。
ユーロ/円は、ユーロ/ドルの下落と共にNY時間にかけて135.26円へ下落したが、その後のドル/円の反発を受けて再び136円を回復して引けている。
豪ドル/米ドルは、中国株価の反発や、特にNY時間入り後の原油や銅などコモディティ価格の大幅上昇を受けて持ち直し、0.71ドル台前半から0.71ドル台後半へ強含みとなった。米2QGDP大幅上方改定を受けた米ドル高の影響は限定的・一時的に留まった。
豪ドル/円は、米ドル/円の上昇と豪ドル/米ドルの上昇の両方の恩恵を受けるかたちで、85円台から一時86.95円へ1.5%上昇した。
きょうの高慢な偏見:9月利上げへ、くり上げ?
ドル/円は、米2QGDP改定値を受けて121円台へ上昇しており、世界的な株価反発と米利回りの上昇が続くようだと122円方向への続伸もありそうな情勢だ。但し、本日はFed高官発言で比較的正副議長らコアメンバーのスタンスに近いMesterクリーブランド連銀総裁発言(今年投票権なし)が予定されており、他のメンバーと同様に9月利上げ慎重姿勢が示された場合のドル反落リスクに注意が必要だ。
なお、本邦ではコアCPIの発表が予定されており、前月の前年比+0.1%からマイナス0.2%へ低下、再びデフレリスクを意識させる予想となっており、実際にマイナス転が確認されると日銀の追加緩和期待が若干高まり円安圧力となるかもしれない。もっとも、日銀が次第にエネルギーを除く指数に焦点を移し始めている中で、コアコアCPI(除く食料・エネルギー)は前年比+0.6%と比較的高い伸びが続く見込みで、追加緩和期待が高まりにくそうだ。
中国株価は昨日反発して引けているが、当局による株価下支え措置によるものと見られ、今後も続く可能性がある。もっとも、昨日発表の中国の銀行セクターや石油セクターの決算内容は悪く、PKOだけでは市場の中国景気減速懸念を払拭するのに不十分となりそうで、金融市場の火種は残っている。
ユーロ/ドルも、中国発の世界株安の反転が続くようだと、1.11ドル台への一段安もありそうだ。また本日は、来週31日のユーロ圏分HICPの前に、ドイツ分のHICPの発表が予定されている。市場予想は前年比+0.1%で横ばいの予想だが、市場予想を下回るとユーロ圏分も下振れリスクが意識され、来週9月3日のECB政策理事会に向けてECBハト派化期待が高まり、追加的なユーロ売り圧力となりそうだ。
豪ドル/米ドルも、中国を中心とした株価やコモディティ価格の反発が続くと、持ち直しが続きそうだ。但し、その場合は米早期利上げ期待も回復することから、対ドルでは上昇が限定的となりそうだ。中国では株価が安定すると人民元安が容認されやすくなる可能性もあり、アジア通貨と共に豪ドルも人民元へのつれ安リスクもある。このため、どちらかというと豪ドル/円の方が上昇しやすそうだ。
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