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◆昨日は、アジア時間に中国株価の軟調を受けてコモディティ価格も総じて反落したことから、NZドルや豪ドルをはじめとするコモディティ通貨の下落が顕著だった。その後、NY時間入り後に原油価格を中心にコモディティ価格が急反発し、カナダドルは恩恵を受けて急反発したが、豪ドルやNZドルは殆ど恩恵を受けず、特にNZドルは続落し対円では2%超の下落となった。
◆この間、ドル/円はアジア時間の株価軟調を受けて121円台後半から一時121円割れとなったが、その後欧米時間にかけては121円台前半へ小反発してからは方向感のない展開となった。
◆本日は、中国公式PMI、豪住宅建設許可、中国財新PMI改定値、豪RBA金融政策決定、英製造業PMI、カナダ4-6月期GDP、米ISM製造業景況指数など重要指標が目白押しだが、中でも中国PMIと米ISM製造業が注目で、中国公式製造業PMI(市場予想49.7、前月は50.0)および米ISM(前月52.7、市場予想52.5)が市場予想を下回る場合や、中国公式非製造業PMIが前月から悪化する場合には、米利回り低下を通じてドル/円の121円割れに繋がりそうだ。
昨日までの世界:原油急反発でもNZドル安が続く
ドル/円は、アジア時間の中国や日本の株価軟調を受けて米中長期債利回りも小幅低下したことから、121円台後半から一時121円割れとなった。もっとも、その後は中国株価が引けにかけて反発に向かったこともあり、欧米時間にかけて121円台前半を回復した後は同水準で方向感のない展開となった。
米経済指標では、シカゴ製造業PMIは54.4と前月の54.7および市場予想の54.5を若干下回ったが概ね予想の範囲内で、市場の反応は限定的だった。
ユーロ/ドルは、アジア時間の株安を眺め避難通貨的な買いが入り1.11ドル台後半から1.12ドル台半ばへ上昇した。もっとも、その後は株価の下落が一服すると反落し、NY時間引けにかけては概ね1.12ドル台前半でのもみ合い推移となった。ユーロ圏では8月HICP速報値が発表されたが、前年比+0.2%と市場予想を上回り前月と同じ伸びを維持、ECB追加緩和期待を後退させる結果だったが、ユーロの反応は殆どみられなかった。
ユーロ/円は、ユーロと円が対ドルで概ね同方向に動く中で、136円丁度を挟んだ方向感のないも見合い推移となった。
豪ドル/米ドルは、アジア時間に中国株価の軟調を受けて原油や銅などのコモディティ価格も総じて反落したことから、NZドルなどと共に豪ドルも下落、0.71ドル台半ばから一時0.7082ドルの安値をつけた。その後、NY時間に原油価格を中心にコモディティ価格が急反発し、産油国通貨であるカナダドルは恩恵を受けて急反発したが、豪ドルの反発は小幅で、0.71ドル台前半を回復したに留まった。この間、NZドルは原油反発の恩恵を殆ど受けずに下落が続き、0.64ドル台半ばから一時0.6321ドルの安値をつけ、8月24日につけた年初来安値(0.6130ドル)に迫る動きだった。
豪ドル/円も軟調な動きとなり、87円台から一時85.79円へ下落した。
きょうの高慢な偏見:中国景気はどこまで悪いのか?
ドル/円は、本日は材料が多いが、中でも中国PMIと米ISM製造業が注目で、中国公式製造業PMI(市場予想49.7、前月は50.0)および米ISM(前月52.7、市場予想52.5)が市場予想を下回る場合や、中国公式非製造業PMIが前月から悪化する場合には、米利回り低下を通じてドル/円の121円割れに繋がりそうだ。中国株価動向も注目で、当局の買いがみられず明確な下落となる場合には、市場センチメント悪化につながり円高圧力となりそうだ。
ユーロ/ドルは、中国PMIの予想以上の悪化や中国株安は避難通貨としてのユーロ買いに繋がる一方、予想ほど悪化しなければユーロ下押し材料となる。
豪ドル/米ドルは、中国PMIの予想比悪化で原油や銅などが再び下落する場合には、売り圧力を受けそうだ。豪RBA定例理事会では現在2.00%の政策金利の引下げは予想されておらず声明文が注目されるが、中国景気減速への懸念が強まる場合には利下げ期待が再び高まり豪ドル安圧力となる一方、最近の豪ドル安を受けて豪ドル安誘導に関する記述が更に弱まる可能性があり、これは逆に豪ドル買戻しリスクとなる。
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