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◆昨日は、中国PMIが概ね市場予想通りながらも製造業、非製造業ともに悪化が確認されたことから、中国景気減速懸念を強め、世界的な株安やコモディティ価格下落につながり、対円や対ユーロでのドル高と、豪ドルやカナダドルなどのコモディティ通貨安(米ドル高)に繋がった。
◆ドル/円は、東京時間に121円を割り込んだ後、株安を眺めて続落し、欧州時間入りには120円も割り込んだ。その後NY時間は概ね119円台後半でのもみ合いとなったが、本日早朝にかけて下落が再開し、一時119.22円をつけている。
◆本日は、豪2QGDP、英建設業PMI、米ADP民間雇用統計、ブラジル中銀金融政策決定(翌朝8~9時前後発表)、米地区連銀報告の発表などが予定されている。
◆ドル/円は、中国をはじめとする世界株価が下落を続けるようだと119円割れはありそうだ。本日の材料としては金曜の米雇用統計と連動性が高いADP民間雇用統計があるが、足許の市場環境では9月FOMCでの利上げ開始の可能性はかなり後退している中で、ADPが多少予想比上振れしてもドル/円の押し上げには力不足だろう。
昨日までの世界:今そこにある二番底
ドル/円は、中国PMIが概ね市場予想通りながらも製造業、非製造業ともに悪化が確認されたことから、中国景気減速懸念を強め、世界的な株安やコモディティ価格下落につながり、東京時間に121円を割り込んだ後、株安を眺めて続落し、欧州時間入りには120円も割り込んだ。その後NY時間は、米ISM製造業景況指数が51.1と前月および市場予想を下回ったもののあまり反応せず概ね119円台後半でのもみ合いとなったが、本日早朝にかけて下落が再開し、一時119.22円をつけている。この間、米中長期債利回りも低下したが、コモディティ価格の10%近い下落やドル/円相場の1%以上の下落ほどには低下しておらず、為替相場での既存ポジション(円売り)の巻き戻し圧力が大きかったことが示唆されている。
ユーロ/ドルは、中国PMI悪化やアジア、欧州株安を眺め避難通貨的な買いが入り、1.12ドル台前半から欧州時間にかけて1.13ドル台に乗せ1.1332ドルの高値をつけた。その後NY時間にかけて1.12ドル台半ばへ小反落する局面も見られたが、引けにかけて再度ユーロが反発し、1.13ドル台を回復している。
ユーロ/円は、アジア時間は136円台で横ばい圏内の動きだったが、欧州時間入り後のドル/円の下落が大きかったことからつれ安となり、134.68円の安値をつけた。その後は小反発し135円台前半を回復して引けている。
豪ドル/米ドルは、中国PMI悪化や中国株安にも拘らずアジア時間は0.71ドル台を維持していたが、欧州時間入り後は原油や銅などのコモディティ価格の下落を受けて売り圧力が強まり、本日早朝にかけて0.7013ドルの安値をつけ年初来安値を更新した。
豪ドル/円も同様に、欧州時間入り後に下落が加速、86円台から本日早朝にかけて83.65円の安値をつけているが、8月24日の年初来安値(82.10円)には今のところ達していない。
きょうの高慢な偏見:119(円)で火消し役は現れるか?
ドル/円は、中国景気減速懸念が払拭されない中、中国をはじめとする世界株価が下落を続けるようだと、直近安値(8月24日の116.18円)はやや遠いものの119円割れはありそうだ。本日の材料としては金曜の米雇用統計と連動性が高いADP民間雇用統計があり、市場予想(+20.0万人)を上回れば一時的なドル下支えとなる可能性はあるが、足許の市場環境では9月FOMCでの利上げ開始の可能性はかなり後退している中で、ADPの予想比上振れだけでは市場心理押し上げには力不足だろう。本邦当局から過度な変動は望ましくない、といった発言や、政府サイドから日銀の追加緩和を求める発言が出てくると株価やドル/円の下支えとなるかもしれないが一時的だろう。
やはり根本的に重要なのは中国当局による大幅な金融緩和・財政刺激の発表が必要だ。週末のアンカラG20財務相・中銀総裁会合にかけて参加国の協調姿勢を示すような発言も、一定の効果を持つかもしれない。
ユーロ/ドルは、個別材料がない中で、中国株価や中国景気減速に対する懸念が続くようだと、1.14ドル台への続伸もありそうだ。
豪ドル/米ドルは、中国株価や世界株価、そしてコモディティ価格の下落が続くようだと、年初来安値の更新が続きそうだ。0.70ドル割れは目前となっている。本日は豪2QGDPが発表されるが、既に前期から若干の減速が予想されているが、最近の中国景気減速懸念の中で更に下回るようだと追加的な豪ドル安材料となる一方、多少上振れしても豪ドル反発には繋がらないだろう。
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