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◆昨日は、中国株価は軟調が続き、米ADP民間雇用統計も市場予想を下回ったものの、ドルが対円、対ユーロで自律反発した。この間、NY時間入り後に原油価格や米株価が反発したことも下支えとなったとみられる。
◆他方、豪ドルは、豪2QGDPの予想比下振れなどから軟調となり一時0.6982ドルと年初来安値を更新したが、NY時間にはコモディティ価格の持ち直しもあって0.70ドル台を回復した。
◆本日は、豪7月貿易収支および小売売上高、トルコ8月CPI、英8月サービス業PMI、ECB政策理事会、米新規失業保険申請件数、米貿易収支、米ISM非製造業景況指数などが発表予定となっているが、中ではECB政策理事会と米ISM非製造業景況指数(特に雇用指数)が焦点となる。
◆ユーロ圏では低インフレ継続とユーロ高止まりの中で、追加緩和期待が燻っており、声明文および記者会見で今後の追加緩和の可能性が示唆されるようだと、ユーロが1.11ドル方向へ下落するリスクがある。
◆ドル/円は、中国市場が休場で中国景気減速懸念が一旦後退する可能性があり、自律反発が続く中で121円乗せもありそうだ。但し、世界金融市場の不安定が続く中で9月FOMCでの米利上げ期待は後退しており、特にISM非製造業景況指数のうち金曜発表の雇用統計を見る上で注目される雇用指数は前月の急上昇から反落リスクもあり、ドルの上昇余地は限定的となりそうだ。
昨日までの世界:自律反発
ドル/円は、中国株価は軟調が続き、米ADP民間雇用統計も+19.0万人と市場予想(+20.0万人)を若干下回ったものの、東京時間朝方から買戻しが入り、120円台を回復した。欧州時間には一時120円を割り込んだものの、原油価格や米株価が反発したことも下支えとなり、120円台半ばへ反発して引けている。前日の大幅下落後の自律反発とみられる。米地区連銀報告では12地区のうち11地区で緩慢ないし緩やかに景気が拡大したとされ、全体として景気回復が継続しているとの判断が示されたかたちで、緩やかなドル下支え材料になったと見られる。
ユーロ/ドルも、中国株価は大幅下落で始まったものの反落基調となり、1.13ドルからNY時間引けにかけて1.12ドル台前半へじり安となった。
ユーロ/円は、円とユーロが対ドルでほぼ同じ動きとなったことから、概ね135円台前半で方向感のないもみ合いとなった。
豪ドル/米ドルは、豪2QGDPが前期比+0.2%と市場予想(+0.4%)を下回ったことから続落し、一時0.6982ドルと年初来安値を更新した。もっとも、NY時間にはコモディティ価格の持ち直しもあって0.70ドル台を回復した。豪ドルと連動性が高い豪2年債利回りも回復基調となっており、弱いGDP統計でも市場では必ずしも利下げ期待が高まっていないのかもしれない。
豪ドル/円は、東京時間朝方からの米ドル/円の120円台回復もあって下落が一服し、83円台から84円台を回復、その後豪GDP統計の予想比下振れなどから一時的に軟化する局面もあったが、NY時間には持ち直し基調となり、本日早朝にかけて一時85円台を回復している。
きょうの高慢な偏見:ECBが再び焦点に
ドル/円は、中国市場が休場で中国景気減速懸念が一旦後退する可能性があり、自律反発が続く中で121円乗せもありそうだ。但し、世界金融市場の不安定が続く中で9月FOMCでの米利上げ期待は後退しており、米利上げ期待は高まりそうになく、ISM非製造業景況指数も前月からの悪化が予想されている。特に、金曜発表の雇用統計を見る上で注目される雇用指数は前月に59.6へ急上昇していたことから反落リスクもあるため、ドルの上昇余地は限定的となりそうだ。
ユーロ/ドルは、ユーロ圏で低インフレが継続しユーロが高止まる中で追加緩和期待が燻っており、ECB定例政策理事会への注目度が高まっている。中国が休場で中国からやや焦点が離れ、ECBの声明文およびDraghi総裁の記者会見で今後の追加緩和(現行量的緩和プログラムの拡大・延長)の可能性が示唆されるようだと、1.11ドル方向へ続落するリスクがある。
豪ドル/米ドルも自律反発で0.70ドル台を回復するかもしれないが、原油や銅などのコモディティ価格が回復基調に戻ったと判断するのは時期尚早で、上値が重い展開が続きそうだ。
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