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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
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2015年09月04日

21時29分の豪ドル/円のショート

<ポイント>

昨日は、ECBが定例政策理事会後の記者会見で成長率・インフレ率予測を下方修正したほか、資産購入プログラムの購入余地を拡大し、更に今後の量的緩和の延長の可能性を示唆したことから、ユーロが大きく下落したのが特徴的だった。ユーロは対ドルで1.12ドル台前半から一時1.1087ドルへ、対円で135円から一時133.13円へ大幅に下落した。

◆ドル/円は、アジア時間に120円台半ばへ強含みとなった後はじり安となり、ECB政策理事会後のユーロ/円の下落に押し下げられるかたちで一時119.64円の安値をつけた。

◆本日は米雇用統計が焦点となる。市場予想比良好な結果の場合には9月利上げ開始期待が再び高まるかもしれないが、足許の世界的な金融市場の混乱の中で先送り観測も強まっていることから、ドル買いは限定的となりそうだ。

◆むしろ、良過ぎる結果の場合には、中国景気減速懸念が燻る中での米早期利上げ強行が世界景気や金融市場に悪影響を与える、との懸念からリスク回避的傾向となり、円が対ドルで買われる、という展開もあるかもしれない。

◆豪ドル/円は、市場予想から多少乖離する程度では方向感が出にくい一方、市場予想比で非常に良い場合や非常に悪い場合には、大きく下落する可能性があることから、雇用統計発表前に豪ドル/円のショートを造成するのは妙味がありそうだ。

昨日までの世界:ECBの追加緩和示唆で円高に

ドル/は、アジア時間に120円台半ばへ強含みとなった後はじり安となり、ECB政策理事会後のユーロ/円の下落や、ドイツ10年債利回りにつれた米利回りの低下に押し下げられるかたちで一時119.64円の安値をつけた。その後は、米ISM非製造業景況指数が59.0と市場予想を上回ったことからドルが反発、120円台を回復して引けた。

ユーロ/ドルは、ECBが定例政策理事会後の記者会見で成長率・インフレ率予測を下方修正したほか、資産購入プログラムにおいて1銘柄あたりの購入上限を従来の25%から33%へ引き上げを決定して将来の購入余地を拡大し、更にDraghi総裁が記者会見で今後の量的緩和の延長の可能性を示唆したことから、ドイツ10年債利回りの大幅低下と共にユーロが大きく下落、1.12ドル台前半から一時1.1087ドルへ下落した。

ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に、ECB記者会見後に135円丁度近辺から一時133.13円へ大幅に下落した。

豪ドル/米ドルは、豪7月貿易赤字は-24.6億豪ドルと予想よりも小さかったが、同時発表の豪7月小売売上高が前月比-0.1%と予想外のマイナスとなったことから下落し、0.70ドル台半ばから一時0.70ドル割れへ下落した。もっとも、その後はECB政策理事会を好感してか原油や銅などのコモディティ価格が上昇したことから小反発、0.70ドル台を回復している。

豪ドル/円は、米ドル/円の軟調の影響が大きく、85円丁度近辺から一時83.87円へ下落した。

きょうの高慢な偏見:21時29分の豪ドル/円のショート

ドル/は、中国市場が引き続き休場の中、米雇用統計結果が焦点となる。市場予想は、非農業部門雇用者数(NFP)が+21.7万人、平均時給が前年比+2.1%、失業率が5.2%の小幅低下と、全体としてまずまずの結果が予想されている(Bloombergまとめ)。NFPや平均時給が市場予想を上回り、失業率が予想以上に低下するような良好な結果となる場合には、通常であれば916-17日に開催される米FOMCでの利上げ期待が高まり、ドルが対円、対ユーロ、対豪ドルなどで上昇する、という展開となるはずだ。もっとも、最近は中国の景気減速懸念や世界的な株価の下落・不安定を受けて、米国は更なる市場の混乱をもたらしかねない利上げ開始を後ずれさせるとの見方が強まっている状況にある。このため、市場予想比で多少良好な結果となっても、米利上げ期待はあまり高まらず、ドル上昇は限定的で121円台は遠そうだ。他方、市場予想比で多少悪い結果となる場合には、米利上げ期待が更に後退し、素直なドル安となりそうだ。

なお、足許の環境では、市場予想比で大幅に良好な結果となる場合(例えばNFPが+30万人、失業率が5.1%、平均時給が2.3%など)は、中国景気減速懸念の中での米国の早期利上げ強行が世界経済・金融市場に悪影響を及ぼす、との懸念が高まり易く、ドル/円が下落するという展開もありそうだ。

市場予想比で大幅に悪い結果の場合(例えばNFPが+15万人以下、失業率が5.5%、平均時給が+1.9%など)も、中国だけでなく米国も悪い、ということで世界景気減速懸念からくるリスク回避がドル/円の下落に繋がりそうだ。すなわち、ほどほどに良好な結果とならない限り、ドル/円は下落しそうだ。

ユーロ/ドルも米雇用統計結果を受けて、ドルが対円と同様の動きを示しそうだ。市場予想を多少良い結果となる場合には下落するものの、非常に良好な結果の場合には逆にユーロ/ドルは上昇しそうだ。他方、市場予想よりも若干悪い結果の場合にはユーロ/ドルは上昇、大幅に悪い場合には大幅上昇、となりそうだ。ただし、昨日ECBが成長率・インフレ率見通しを下方修正し、資産購入プログラム拡大余地を設けたことから、ドル安の場合でもユーロ/ドルは上昇余地が限定的となりそうだ。なお、いずれの場合でもドルが対円、対ユーロで同方向に動くと見られるため、ユーロ/円は方向感が出にくいだろう。

豪ドル/米ドルも基本的に米雇用統計結果を受けた米ドルの動きに左右される展開となりそうだが、コモディティ価格の動きにも注意する必要がある。市場予想より良好な結果となる場合には下落するものの、非常に良好な結果の場合には、コモディティ価格の対米ドルでの下落も加わり豪ドル/米ドルは下落しそうだ。他方、市場予想よりも若干悪い結果の場合には豪ドル/米ドルは上昇、大幅に悪い場合にはコモディティ価格下落に繋がる可能性が高いため下落しそうだ。

豪ドル/円は、非常に良いか、非常に悪い結果の場合に、豪ドル/米ドルと米ドル/円が共に下落する可能性があるため、大幅下落となりそうだ。他方、市場予想からの乖離が小さい場合は強弱いずれの結果であっても方向感が出にくいことから、豪ドル/円は雇用統計がどのような結果となっても上昇リスクが小さい一方で大幅下落リスクが大きく、発表前に豪ドル/円のショートポジションを造成しておく妙味がありそうだ。



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