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◆昨日は、日本を始めアジア・欧州の株式市場が大幅に上昇する中で、欧州時間にかけてドル/円が急回復し、円がほぼ大幅全面安となったのが特徴的だった。ドル/円は119円台から一時121.20円へ急伸した。もっとも、NY時間入り後は原油価格の反落が大きくなったことなどから米株価も下落に転じると、ドル/円も120円台前半へ大幅に反落している。
◆本日早朝、RBNZが予想通りの25bps利下げに加えて、今後の追加緩和を示唆したことからNZドルが大幅に下落、豪ドルもつれ安となっている。
◆本日は、豪8月雇用統計および中国8月CPI(10:30)、トルコ2QGDP(16:00)、BoE金融政策決定・議事要旨公表(20:00)、米新規失業保険申請件数(21:30)などが予定されている。またECB高官発言(15:30にMerschルクセンブルク中銀総裁、17:30にCoeure理事、20:00にPraet理事)も予定されている。
◆中では豪失業率とBoE金融政策決定の注目度が高い。但し、豪ドルの下落基調が続く中で、豪失業率が予想以上に低下しても豪ドルの持続的反発には繋がりにくい。BoEについては米国の利上げ開始タイミングが不透明な中で、米国より早期の利上げ開始は避けると見られ、今回は利上げ票が増えず、発表後のポンド安リスクに注意したい。
◆ドル/円は昨日の大幅上昇後の反落を眺め、積極的な買いが出にくく、来週のFOMCを控え120円丁度近辺でのもみ合い推移となりそうだ。
昨日までの世界:ルーニーよりキウィの方がハト
ドル/円は、日本を始めアジア・欧州の株式市場が大幅に上昇する中で、欧州時間にかけてドル/円が急回復し、アジア時間早朝の119円台から一時121.20円へ急伸した。もっとも、NY時間入り後は原油価格の反落が大きくなったことなどから米株価も下落に転じると、ドル/円も120円台前半へ大幅に反落している。
日本では、週初の自民党総裁選における無投票による安倍首相再選や、昨日安倍首相が法人税の追加減税方針に言及したこと、更に日銀が景気やインフレ見通しの下方修正を検討しているとの観測記事も、日銀の追加緩和期待を含めたアベノミクス再始動期待につながり、本邦株高円安の後押し材料になった面があるかもしれない。他方、米7月求人件数の575.3万件への急増は米利上げ期待とドル高に繋がった面があるが、逆に利上げ懸念が米株安に繋がった面もあり、反応は一方向ではなかったとみられる。
ユーロ/ドルは、欧州時間にかけては世界的な株高を背景に避難通貨としての買い需要が後退したとみられ、振れを伴いつつも1.12ドル台から一時1.1132ドルへ軟化した。もっとも、NY時間は米株安などを背景としたドル安に押し上げられたとみられ、再び1.12ドル台を回復している。
ユーロ/円はドル/円の上昇につれた面が大きく、134円台前半から135円台乗せへ反発、ちょうど先週3日のECB政策理事会前の水準を回復した。
豪ドル/米ドルは、本邦株高や中国株価の上昇スタートなどを眺め0.70ドル台後半へアジア時間朝方に0.7070ドルへ続伸した。もっとも、豪ドル上昇は長くは続かず、欧米時間の原油などコモディティ価格の下落もあって反落基調となった。そして本日早朝には、RBNZが予想通りの25bps利下げに加えて、今後の追加緩和を示唆したことからNZドルが大幅に下落、豪ドルもつれ安となり、0.70ドルを割り込んでいる。
豪ドル/円も、米ドル/円の上昇につれ欧州時間にかけて84円丁度近辺から一時85.49円へ上昇した。もっとも、その後本日早朝にかけては再び84円丁度近辺へ反落している。
なお、カナダドルはカナダ中銀が利下げを行わなかったことから一時反発する局面があったが、原油安に下押しされすぐに反落した。このため、豪ドルやNZドルへの影響は殆どみられなかった。
きょうの高慢な偏見:天井の低さを確認
ドル/円は、昨日の大幅上昇後の反落を眺め、あれだけの株高も長くは続かず、121円台への上昇にとどまったことで目先の上値を確認したかたちとなり、積極的な買いが出にくく、来週のFOMCを控え120円丁度近辺でのもみ合い推移となりそうだ。
ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半で上下に振れが大きい展開が続いているが、ECB追加緩和期待が燻る中で、どちらかというと上値の重い展開となりそうだ。
豪ドル/米ドル関連では、豪雇用統計でも特にRBA政策金利と連動性が高い失業率が注目で、今回は前月の6.3%から6.2%へ低下が予想されている。但し、豪ドルの下落基調が続く中で、豪失業率が予想以上に低下しても豪ドルの持続的反発には繋がりにくそうだ。引き続き、中国株価や原油などコモディティ価格動向に左右されやすい展開となりそうだ。
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