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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。
(9月 7日収録)
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2015年09月11日

山本発言の信憑性は?

<ポイント>

◆昨日は、主要通貨はまちまちの動きとなり、ドル/円は概ね横ばいの一方、ユーロやポンドが上昇、豪ドルも豪雇用統計の予想比上振れや原油価格の上昇を受けて反発した。
◆ドル/円は、東京時間午後に山本幸三議員が、日銀の追加緩和について10月30日はいい機会だと述べたことからにわかに追加緩和期待が高まり、欧州時間にかけて121.33円へ上昇した。もっとも、その後は上昇が続かず、120円台後半へ小反落した。
◆ポンドは、BoE金融政策委員会で利上げ主張は1名で増えなかったが、最近の世界的な混乱でも英国の景気見通しは変わっていない、との認識が示されたことから、ポンドは上昇、対円で一時187円台を回復した。
◆本日は、Forbes・BoE金融政策委員発言(20:30)、米8月コアPPI(21:30)、米9月ミシガン大消費者信頼感速報(23:00)、ユーロ圏財務相会合、EU財務相会合などが予定されている。
◆来週の米FOMC会合を控えて積極的なポジション造成をしにくいとみられる中、ドル/円相場は昨日高まった日銀追加緩和期待は時期尚早と見られ剥落・円高リスクがあるほか、米消費者信頼感は株安などもあって悪化が予想されており、どちらかというと120円丁度方向への反落リスクが大きそうだ。

昨日までの世界:閑話休題、緩和が再び議論に?

ドル/円は、東京時間午後に安倍首相の経済政策面でのブレーンの一人と言われる山本幸三議員が、日銀の追加緩和について10月30日はいい機会だと述べたことからにわかに追加緩和期待が高まり、欧州時間にかけて121.33円へ上昇した。もっとも、その後は上昇が続かず、120円台後半へ小反落した。
なお、昨日は黒田総裁も国会で発言しているが、2%の物価目標達成時期が原油価格次第で多少前後する可能性があるとし、2016年度前半から後ずれする可能性が示唆されたが、追加緩和については具体的に言及がなかった。
この間、米経済指標はまちまちでドルへの影響はみられなかった。川上のインフレ指標である輸入物価は前年比-11.4%と前月および市場予想よりもマイナス幅が拡大した一方、新規失業保険申請件数は27.5万人と市場予想通りだが前週の28.2万人を下回った。

ユーロ/ドルは、欧州時間までは1.12ドル丁度を挟んだもみ合いが続いていたが、NY時間入り後に特段の材料なく急上昇し、一時1.1295ドルの高値をつけた。
ユーロ/円は週初以降の反発基調が続き、135円丁度近辺から山本幸三議員発言で135円台後半へ上昇、そしてNY時間入り後に136円乗せとなった。

豪ドル/米ドルは、早朝こそRBNZの追加利下げおよび将来の追加利下げ姿勢につれるかたちで下落し、一時0.6946ドルの安値をつけた。もっとも、その後発表された豪雇用統計で、失業率は6.2%と市場予想通りだった一方、雇用者数の伸びが1.74万人と市場予想の5千人の3倍以上となったことから反発方向となり、かつ原油価格の反発もあってNY時間にかけて続伸し、一時0.71ドル丁度の高値をつけた。
豪ドル/円も、朝方に83.34円へ小幅続落した後は反発し、欧州時間に85.91円の高値をつけた。

きょうの高慢な偏見:山本発言の信憑性は?

ドル/円は、来週の米FOMC会合を控えて強い方向性は見られない中、昨日高まった日銀追加緩和期待は時期尚早と見られ剥落リスクがあるほか、米消費者信頼感は株安などもあって悪化が予想されており、どちらかというと120円丁度方向への反落リスクが大きそうだ。

日銀の金融政策を巡っては、確かに4-6月期のGDP成長率がマイナス化し、7月入り後の経済指標も軟調なものが散見されており、かつコアインフレ率はゼロ%で低迷、原油価格次第では再びマイナス化し、2%目標達成が遠のくリスクが高まり、更に言えば株安円高で金融条件が若干引き締まっている面もある中で、追加緩和の必要性は高まりつつあるといえる。但し、足許の株安・円高は中国景気減速懸念に端を発している面があり、追加緩和では解決できないほか、7-9月期がプラス成長を回復する可能性はまだ残っている。こうした中、来週15日の日銀会合で追加緩和が行われる可能性はまだ高くないと見られる。

ユーロ/ドルは、昨日はNY時間に上昇したが、ECB高官からは追加緩和を示唆する発言が相次いでおり、ここからの上昇余地は限定的と見られる。昨日はLiikanenフィンランド中銀総裁が必要ならば国債購入を延長すると述べたほか、Praet理事もECBは最近のボラティリティ上昇が金融条件の不当な引き締めに繋がらないか警戒しており、資産購入プログラムはその規模や公正、期間を調整できると述べた。

豪ドル/米ドル関連では、やや中国株価動向への注目度が低下しているものの原油などコモディティ価格を睨んだ展開は続いており、コモディティ価格が再び下落に向かい豪ドルも追随して反落するリスクが高いと見ている。

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