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◆先週金曜は、材料が少ない中で全般的に小動きだったが、NY時間にユーロ/ドルが前日と同様に材料なく上昇したのが特徴的だった。豪ドルなどの資源国通貨も、欧州時間は原油安などにつれて軟化したが、NY時間には対ユーロでの米ドル安などもあって反発した。
◆本日は明日以降の日米金融政策決定を前に材料が少なく、ユーロ圏7月鉱工業生産(18:00)とHaldane・BoEチーフ・エコノミスト発言(ハト派、22:30)等しか予定されていない。積極的なポジション造成が手控えられ、主要通貨は方向感のない展開が続きそうだ。
◆なお、週末13日に発表された中国8月主要経済指標では、固定資産投資が年初来で+10.9%と予想外に鈍化、鉱工業生産も前年比+6.1%と市場予想ほどには回復しなかったが、小売売上高は前年比+10.8%と予想を上回る加速となり、消費主導の経済への移行が進みつつある面も示されたかたちとなった。資源輸出の面で投資や生産の影響を受け易いコモディティ価格や豪ドルは恩恵を受けにくい一方、市場のリスク回避傾向の後退につながる場合にはドル/円の方が恩恵を受ける可能性もある。
昨日までの世界:ユーロ/ドルが材料なくNY時間に続伸
ドル/円は、120円台半ばを挟んだ方向感のない展開だった。東京時間朝9時過ぎに120.97円へ上昇した後、欧州時間にかけては欧州株安を受けて反落し120.36円の安値を付けた。その後は反発し、米8月コアPPIが前年比+0.9%と前月および市場予想を大きく上回ったこともあり、再び120円台後半へ上昇したが、米ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は85.7と逆に前月および市場予想を大きく下回ったことから上値が重くなり、NY時間引けにかけては120円台半ばへじり安となった。なお、米利上げ期待の変化を反映し易い米2年債利回りの動きをみると、コアPPIの上振れ時の上昇は殆どなく、むしろ消費者信頼感の下振れを受けた反応が比較的大きく、2bps程度低下した。
ユーロ/ドルは、アジア時間は概ね1.12ドル台後半で推移していたが、前日とほぼ同様に、特段の材料なく東京時間深夜0時に上昇し、一時1.1350ドルの高値を付けた。
ユーロ/円は、今週入り後の一方向のじり高基調が続き、136円丁度前後から一時136.93円の高値を付けた。
豪ドル/米ドルは、欧州時間は原油安などにつれて0.70ドル台前半へ軟化したが、NY時間には対ユーロでの米ドル安などもあって0.71ドル丁度手前まで反発した。
豪ドル/円は、85円台で始まった後、欧州時間に一時85円割れとなったが、その後は反発し再び85円台半ばを回復して引けている。
きょうの高慢な偏見:FOMC前の過剰ポジションの調整
ドル/円は、明日以降の日米金融政策決定を前に材料が少なく、積極的なポジション造成が手控えられ、120円台半ばを中心とした方向感のない展開が続きそうだ。
なお、週末13日に発表された中国8月主要経済指標では、固定資産投資が年初来で+10.9%と予想外に鈍化、鉱工業生産も前年比+6.1%と市場予想ほどには回復しなかったが、小売売上高は前年比+10.8%と予想を上回る加速となり、4月に+10.0%で底を付けた後、回復基調が続き、消費主導の経済への移行が進みつつある面も示されたかたちとなった。資源輸出の面で投資や生産の影響を受け易いコモディティ価格や豪ドルは恩恵を受けにくい一方、中国当局の政策期待などから市場のリスク回避傾向の後退につながる場合にはドル/円の方が恩恵を受ける可能性もある。
ユーロ/ドルは、ECB追加緩和期待とそれを受けたドイツ10年債利回りの低下傾向、更に言えば9月20日のギリシャ選挙や9月27日のスペイン・カタルーニャ自治州議会選挙(分離独立派が過半数を占める場合、再び分離独立機運が高まるリスクがある)を控えた週末の大規模デモなどにも拘らず、堅調が続いている。恐らく、米FOMCを控えて、3日のECB政策理事会後に追加緩和期待で造成されたユーロ売りポジションの巻き戻しが入っている可能性がある。こうした動きがFOMCに向けて続くと、1.14ドル方向へ続伸する可能性もある。
豪ドル/米ドルも米FOMCを控えて豪ドル売りポジションの巻き戻しが入っているとみられ、こうした動きが続くと0.71ドル台乗せでFOMCを迎える可能性がある。なお、週末13日発表の中国主要経済指標では、小売売上高の予想比上振れよりも投資や生産の影響を受け易いコモディティ価格や豪ドルには下押し圧力となり続けるとみられる。弱い経済指標を受けて中国当局による追加刺激策への期待感が高まる可能性があるが、これまでの当局の反応は鈍く、目先、景気再加速に十分な対策が講じられるかは不透明で、コモディティ価格や豪ドルの持続的反発に繋がらない可能性が高い。
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