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◆昨日は、米経済指標発表後に米利回りの大幅上昇と共にドルが対円や対欧州通貨で上昇したのが特徴的だった。米経済指標はまちまちで、NY連銀製造業景況指数や鉱工業生産は市場予想を下回ったが、コア小売売上高の予想比上振れが好感されたとみられる。
◆ドル/円は、日銀の追加緩和見送りを受けて欧州時間にかけて一時119.40円へ下落した後、米経済指標発表後に120円台半ばへ急反発した。
◆本日は、Debelle・RBA総裁補発言(金融市場担当、8:30)、英7月週平均賃金(17:30)、米コアCPI(21:30)、NZ2QGDP(明日7:45)などが予定されている。18日未明の米FOMCを控えて方向感の出にくい状況が続くが、中では英週平均賃金が注目で、賃金上昇の加速継続が確認されれば、英利上げ期待が高まり、対ドルよりも対ユーロでポンドが上昇しやすそうだ。
◆ドル/円は、FOMCを控えて120円丁度を挟んだ方向感のない展開が続きそうだが、昨日の米利回り上昇を受けたドル高はやや行き過ぎにみえ、反落リスクに注意したい。
昨日までの世界:日本の先送り確定、米国は先送りリスク後退?
ドル/円は、正午過ぎに日銀金融決定会合の結果が発表され追加緩和が見送られたことが判明、更に黒田総裁定例記者会見でもマイナス成長が一時的で、物価の上昇基調も続いているとの認識が示され、日銀が目先追加緩和を行う姿勢が感じられなかったことから、発表直前まで燻っていた追加緩和期待の失望で朝方には120.65円まで上昇していたものの発表後に急反落、欧州時間にかけて一時119.40円へ下落した。もっとも、米経済指標発表後には米利回りの急上昇と共に120円台半ばへ急反発した。
米経済指標はまちまちで、NY連銀製造業景況指数は-14.67、鉱工業生産も前月比-0.4%と共に市場予想を下回ったが、コア小売売上高(除く自動車、ガソリン、建築資材。GDP算出に用いられる)が前月比+0.4%、過去計数も上方修正されたことが好感されたとみられる。米利上げ期待を反映しやすい米2年債利回りは8bps上昇して0.80%台乗せとなり、2011年4月以来の水準となっている。
ユーロ/ドルは、米経済指標発表直後までは1.13ドル台前半で方向感なく推移していたが、米利回りの大幅上昇に遅れて反応したためか、東京時間深夜頃から下落し始め、一時1.1259ドルの安値をつけた。ドイツZEW期待指数は12.1と前月および市場予想を大幅に下回ったが、殆ど反応がみられなかった。
ユーロ/円は、ドル/円につれた動きとなり、日銀追加緩和見送りを受けて136円台から一時135円丁度へ下落したが、NY時間引けにかけては135円台後半を回復している。
豪ドル/米ドルは、アジア時間朝方までは回復基調が続き、一時0.7166ドルと8月末以来の水準を回復したが、その後は中国株安の影響を受けて反落、NY時間にかけては米ドル高も加わり0.71ドル割れへ反落した。もっとも、引けにかけては原油などコモディティ価格の反発に支えられ、0.71ドル台半ばを回復している。
豪ドル/円も、朝方に86.33円の高値をつけた後、欧州時間にかけて85円丁度割れへ反落したが、引けにかけては一時86円台を再び回復した。
きょうの高慢な偏見:米利回りと豪ドルに過剰感
ドル/円は、日銀追加緩和見送りを受けた円高が続かず、一部米経済指標の上振れで9月利上げの可能性が再び意識される中、本日は日米材料が少ない中、FOMCを控えて120円丁度を挟んだ方向感のないもみ合いの展開が続きそうだ。但し、昨日の米利回り上昇を受けたドル高はやや行き過ぎにみえ、反落リスクに注意したい。
ユーロ/ドルは、ECB追加緩和期待が燻る中で、昨日の米経済指標のいい部分への反応で1.13ドル台の上値の重さが改めて意識され、買い戻し基調が一服しており、FOMCを控えて方向感が出にくくなりそうだ。
豪ドル/米ドルもFOMCを控えた豪ドル売り米ドル買いポジションやコモディティ売りポジションの巻き戻し圧力、そしてTurnbull新首相の下での経済活性化への期待からか、豪ドルは堅調推移が続いている。もっとも、中国株価の不安定や原油などコモディティ価格の長い目でみた下落基調が続く中で持続的な上昇は期待しにくく、足許の反発は豪ドル売りポジション造成の好機となっている。
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