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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。
(9月14日収録)
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2015年09月25日

レアル反発は豪ドルの支えにならず

<ポイント>

◆昨日は、欧米時間にかけて世界的に株安・コモディティ安が進行する中で、米利回り低下と共にドルが対円、対ユーロで下落したほか、豪ドルなどのコモディティ通貨が下落した。但しNY時間引けにかけては、米株価の持ち直しと共に反転し、ほぼ行って来いの展開となった。
◆この間、フリーフォール状態だったブラジルレアルは、トンビニ・ブラジル中銀総裁が「あらゆる手段を講じてレアル崩壊を阻止」と述べたことから、28円割れ手前から30円台半ばへ約6%急反発した。
◆なお、本日早朝のイエレンFRB議長発言では、低インフレは一時要因によるもので、自分を含めFOMCメンバーの大半は年内利上げを予想していると述べたことから、ドルが小幅に上昇している。
◆本日は、本邦8月コアCPI(8:30)、米2QGDP確報値(21:30)、ブラード・セントルイス連銀総裁発言(22:15、投票権なし)、米9月マークイットサービス業PMI速報(22:45)、米9月ミシガン大消費者信頼感確報(23:00)、バイトマン独連銀総裁発言(2:15)、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁発言(2:45、投票権なし)などが、そして週末27日にはスペイン・カタルーニャ州議会選が予定されている。
◆ドル/円は、昨日の下落の過程で下値の固さを確認した一方、イエレン議長発言でも年内利上げ開始が保障されている訳ではなく、引き続き120円を中心とした118-122円の方向感のないレンジ取引が続きそうだ。

昨日までの世界:下に行って来い

ドル/円は、東京時間には特段の追加材料がない中で、日経平均株価の下落を眺め120.20円前後から120円丁度近辺へ軟化した。そして欧米時間にかけては世界的に株安・コモディティ安が進行する中で、米利回り低下と共に続落、一時119.23円の安値をつけた。但しNY時間引けにかけては、米株価と米利回りの持ち直しと共に反転し120円台を回復、ほぼ行って来いの展開となった。
この間、米経済指標はまちまちで、GDP算出に使われるコア資本財出荷は前月比-0.2%と予想外のマイナスとなりドル安の一因となった一方、新築住宅販売は55.2万件と前月および市場予想を大きく上回った。
なお、本日早朝のイエレンFRB議長発言では、低インフレは一時要因によるもので、自分を含めFOMCメンバーの大半は年内利上げを予想していると述べたことから、年内利上げは困難との見方が後退し、120.30円近辺へドルが小幅に上昇した。

ユーロ/ドルも、欧米時間のドル安の中で1.12ドル割れから一時1.1296ドルへ上昇した。ECB高官のタカ派的な発言もユーロ押上げ要因となっており、プレートECB理事は長すぎる緩和策はリスクを伴うと述べ、バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁は、追加緩和の議論は12月まで待つべきだとし、ヤズベツ・スロベニア中銀総裁も現時点で追加措置検討は時期尚早と述べた。ドイツ9月Ifo景況感指数も108.5と前月および市場予想を上回った。但しNY時間引けにかけてはドル反発の中で1.12ドル台前半へ反落、更にイエレン議長発言を受けて1.12ドル割れへ小幅続落した。
ユーロ/円は、ユーロと円が対ドルでほぼ同様の動きをしたことから方向感が出ず、134円台半ばでの横ばいだった。

豪ドル/米ドルは、欧州時間にかけて株安と原油などコモディティ価格安を背景に続落し、一時0.6939ドルと9月7日の年初来安値(0.6896ドル)に迫ったが、その後は米株価やコモディティ価格と共に反発し、0.70ドル台前半を回復した。但しイエレン議長発言を受けた米ドル高により再び0.70ドルを一時割り込んだ。
豪ドル/円も下に行って来いの展開となり、84円台から一時82.99円へ下落した後、再び84円台を回復した。

きょうの高慢な偏見:レアル反発は豪ドルの支えにならず

ドル/円は、昨日の下落の過程で下値の固さを確認した一方、イエレン議長発言でも年内利上げ開始が保障されている訳ではなく、引き続き120円を中心とした118-122円の方向感のないレンジ取引が続きそうだ。
なお、本邦ではコアCPI(除く生鮮)の発表が予定されており、前年比-0.1%とマイナス化が予想されており、本来であれば日銀のインフレ目標である2%からの更なる乖離とデフレリスクを想起させ、追加緩和期待が高まるはずだ。もっとも、日銀は原油安の影響を回避するためかエネルギーを除くインフレ指標(例えばCPI除く食料・エネルギーやCPI除く生鮮食品・エネルギーなど)を重視し始めており、今回もコアコアCPI(除く食料・エネルギー)は前年比+0.6%から+0.7%へ加速する予想となっているなど、これが確認されれば物価が改善基調にあるとの判断を崩さない見込みで、日銀の追加緩和期待は目先高まりそうにない。

ユーロ/ドルは、ECB高官から追加緩和に慎重な発言が相次ぐ中で下落トレンド再開機運は一旦後退しており、1.12ドル丁度近辺をはさんだもみ合いとなりそうだ。

豪ドル/米ドルは、中国景気減速懸念とコモディティ安傾向が続く中で、年初来安値を試す展開が続きそうだ。

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