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◆先週金曜は、イエレンFRB議長発言と米2QGDPの予想外の上方修正を受けてドルが対主要通貨で全般的に小幅高となったのが特徴的だった。ドル/円は東京時間早朝の120円丁度近辺から、米GDP発表後にかけて121.24円の高値を付けた。
◆本日は、黒田総裁発言(14:30講演、16:45記者会見)、カンリフBoE副総裁発言(16:00)、ラウテンシュレーガーECB理事発言(17:30)、ダドリーNY連銀総裁発言(21:30)、米8月個人所得・支出およびコアPCEデフレータ(21:30)、米8月中古住宅販売仮契約(23:00)などが予定されている。
◆中ではややハト派でイエレン議長に近く常に投票権があるダドリー総裁発言とコアPCEデフレータが重要で、10月利上げの可能性が強く示唆されたり、コアPCEデフレータが想定(前月+1.2%、市場予想+1.3%)以上に加速を示す場合には、再び121円乗せもありそうだ。
◆週末27日のスペイン・カタルーニャ州議会選挙では、98%の投票集計でスペインからの独立を主張する2党(マス知事率いるジュンツ・パル・シィ党とCUP党)が135議席のうち72議席を獲得した模様だが、得票率では47.9%と過半数に満たなかったようだ。独立派は公約通り18か月以内の独立宣言の意向の模様だが、ラホイ・スペイン首相の強い反対や分離独立宣言の違憲性を背景に、自治権拡大で落ち着く可能性も残っている。早朝のユーロ相場は1.12ドル丁度近辺から1.1176ドルへの限定的・一時的下落に留まっている。
昨日までの世界:ドルは小幅高に留まる
ドル/円は、イエレンFRB議長発言と米2QGDPの予想外の上方修正を受けてドルが対主要通貨で全般的に小幅高となったのが特徴的だった。ドル/円は東京時間早朝の120円丁度近辺から、イエレンFRB議長が年内利上げの可能性を強調したことから、来年へ利上げ見送りとみていた投資家のドル買戻しが入ったとみられ、120.30円程度へ小幅に上昇した。その後、欧州時間入り後、イエレン議長発言の再評価からか対主要通貨でドル高が進み、一時121円台乗せとなった。そして米2QGDP最終推計値が前期比年率+3.9%と、改定値の+3.7%から予想外に上方修正されたことを受けて、発表後に121.24円の高値を付けた。但しその後は、米株価や米中長期債利回りが反落したことから、120円台半ばへ小反落して引け、121円台定着とはならず120円を中心としたレンジ上限の重さを確認したかたちとなった。
なお、東京時間朝方には本邦8月コアCPIが前年比-0.1%とマイナスに転じたこと、昼には安倍首相と黒田日銀総裁の会談が開催されたことなどから、本邦株式市場などでは追加緩和期待が高まった面もあった。もっとも、会談後に黒田総裁は首相から特に要請はなかった、エネルギーを除くとCPIは+1.1%だとも述べ、日銀の追加緩和消極姿勢が改めて示された。為替市場では、欧米時間の円安の一因となったかもしれないが、東京時間の円安方向での反応は限定的となった。
ユーロ/ドルも概ねドル/円と同様の動きとなり、イエレン議長発言後のドル高により1.12ドル台前半から1.12ドル割れとなり、欧州時間入りにかけて1.116ドルへ続落した。その後NY時間にかけて反発していたが、米2QGDPの上方修正を受けて再び下落したが欧州時間の安値には届かず、引けにかけてはむしろ米株安や米利回り反落をうけて再度1.11ドル台後半へ反発するなど、どちらかというと底堅い展開となった。
ユーロ/円は、アジア時間はユーロ/ドルと共に軟調となり134円台前半へ軟化したが、欧米時間にかけてはドル/円と共に強含みとなり、一時135.39円の高値を付けた。
豪ドル/米ドルは、中国株安の影響(豪ドル安)も、米ドル高材料(イエレン議長発言、米GDP上方修正)の影響もあまり受けず、概ね0.70ドル台前半での横ばいとなった。
豪ドル/円は、米ドル/円とともに、84円台前半から84円丁度へ強含みとなった。
きょうの高慢な偏見:米インフレは加速するか?
ドル/円は引き続き120円を中心とした118-122円のレンジだが、本日の材料の中ではイエレン議長に近く常に投票権があるダドリーNY連銀総裁発言と米コアPCEデフレータが重要で、早期利上げに前向きな内容となったり、コアPCEデフレータが想定(前月+1.2%、市場予想+1.3%)以上に加速を示す場合には、10月FOMCでの利上げの可能性が意識され、再び121円乗せもありそうだ。
ユーロ/ドルは、ECBの追加緩和に関する姿勢が煮え切らない中で、ドル相場の動向に左右される展開となりそうだ。ダドリー総裁発言がタカ派的となったり、米コアPCEデフレータが加速を示す場合には、1.11ドル丁度方向へ軟化しそうだ。
豪ドル/米ドルも中国株価やコモディティ価格動向を睨みつつ、米ドル相場の影響も受けそうだ。下落基調が続く中、中国株安、コモディティ安や米ドル高が重なれば、まずは24日の直近安値(0.6939ドル)、そして年初来安値(9月7日の0.6876ドル)を視野に入れた展開となりそうだ。
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