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◆昨日は、欧米株安やコモディティ安の中で為替市場もリスク回避的な動きとなり、NZドルや豪ドルなどのコモディティ通貨が下落し、円が対主要通貨で全般的に強含みとなった。ドル/円は米中長期債利回り低下と共に、119円台後半へじり安となった。この間、米Fed高官からは比較的タカ派的な発言が相次いだが、米利回りやドル押上げ効果は殆どみられなかった。
◆本日は、全ドイツ9月HICP(21:00)、米7月S&Pケースシラー住宅価格(22:00)、米9月消費者信頼感指数(23:00)、カーニーBoE総裁発言(翌朝4:40)、などが予定されている。
◆中ではドイツHICPが重要で、明日発表のユーロ圏分HICPが前年比ゼロ%への鈍化が予想されている中、全ドイツ分の鈍化(前月が+0.1%、市場予想がゼロ%)が大きいとユーロ圏分もマイナス化の可能性が高まる。このため、全ドイツ分の前に発表される各州分、特にザクセン州分(16:00)に焦点が集まり、0.1%ポイント以上鈍化するとECB追加緩和期待が高まりユーロ下押し圧力となりそうだ。
◆ドル/円は、欧米株安やコモディティ安が続くようだと、直近のレンジ下限である119円丁度近辺へ続落し、レンジ下限の底堅さを試す展開となりそうだ。
昨日までの世界:コモディティ安を受けたリスク回避
ドル/円は、東京時間は中国8月工業利益が前年比-8.8%と減少が加速したことや本邦株価が下落したことなどから、120円台前半で軟調推移となった。その後欧米時間にかけては、スイス資源商社グレンコア株価の急落がきっかけとなって欧米株価や銅などのコモディティ価格が大きく下落すると、米中長期債利回りの低下と共にドル/円も続落し、NY時間にかけて119.70円の安値をつけた。
米経済指標はまちまちでドルへの影響は限定的だった。個人支出は前月比+0.4%と市場予想を上回った一方、個人所得は前月比+0.3%と市場予想を下回ったが前月分が上方修正、コアPCEデフレータは前年比+1.3%と前月から若干加速だが市場予想通りとなった。
また、複数のFed高官発言があり、相対的にタカ派的な内容となったがこちらもドルへの影響は限定的だった。ウィリアムズ・SF連銀総裁(投票権あり)は利上げ開始は年内のどこかと述べ10月も排除しなかったほか、より早期の利上げ開始のほうが円滑で緩やかな利上げ開始が可能、更に不動産価格上昇にバブルの兆しが見えるとも指摘した。ダドリー・NY連銀総裁(常に投票権あり)も、世界経済の弱さやドル高の影響は一時的で、年内利上げを想定しており、10月の可能性もあると指摘した。更に、ハト派で知られるエバンズ・シカゴ連銀総裁(投票権あり)も、インフレ目標達成には一層時間がかかる可能性があり、利上げは16年まで待つのが好ましいとしつつも、経済が十分に改善したと判断できれば年内利上げに賛成する可能性があるとした。
ユーロ/ドルは、欧州時間までは1.11ドル台後半で軟調に推移していたが、NY時間入り後は1.12ドル台半ばへ反発した。
ユーロ/円は、NY時間入りにかけてはドル/円やユーロ/ドルの軟化と共に、135円丁度近辺から一時133.94円へ下落した。但しその後NY時間は反発基調となり、134円台後半へ反発した。
豪ドル/米ドルは、アジア時間は欧州時間入り後にスイス資源商社グレンコア株価の急落がきっかけとなって欧米株価や銅などのコモディティ価格が大きく下落すると、0.70ドル割れへ下落、そしてNY時間
引けにかけて小幅続落し、0.6977ドルの安値をつけた。
豪ドル/円も同様に、欧州時間に84円割れへ下落、NY時間引けにかけて続落が続いた。
きょうの高慢な偏見:ユーロ圏も再びデフレ突入か?
ドル/円は、欧米株安やコモディティ安が続くようだと、直近のレンジ下限である119円丁度近辺へ続落し、レンジ下限の底堅さを試す展開となりそうだ。
ユーロ/ドルは、ドイツHICPが重要で、明日発表のユーロ圏分HICPが前年比ゼロ%への鈍化が予想されている中、全ドイツ分の鈍化(前月が+0.1%、市場予想がゼロ%)が大きいとユーロ圏分もマイナス化の可能性が高まる。このため、全ドイツ分の前に五月雨式に発表される各州分、特に最初に発表されるザクセン州分(16:00、前月は前年比+0.2%、市場予想なし)に焦点が集まり、0.1%ポイント以上鈍化するとECB追加緩和期待が高まりユーロ下押し圧力となりそうだ。
豪ドル/米ドルも、欧米株安やコモディティ安が続くようだと下落基調が続き、まずは24日の直近安値(0.6939ドル)、そして7日の年初来安値(0.6896ドル)が視野に入る。豪ドル/米ドルと米ドル/円の同方向の動きが続く場合、豪ドル/円の下落が大きくなりそうだ。
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