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◆昨日は、アジア時間までは株価やコモディティ価格が前日の流れを引き継ぎ続落したことから、ドル/円や豪ドルが続落した。もっとも、株価や資源価格が欧米時間に下落一服・小反発に向かったことから、ドル/円や豪ドルが持ち直す展開となった。ブラジルレアル、トルコリラ、南アランドといった高金利新興国通貨も揃って反発した。
◆本日は、本邦8月鉱工業生産(8:50)、豪8月住宅建設許可件数(10:30)、英9月ネーションワイド住宅価格(15:00)、ユーロ圏9月総合HICP(18:00)、米9月ADP民間雇用統計(21:15)、カナダ7月GDP(21:30)、ダドリーNY連銀総裁発言(21:35)、米9月シカゴPMI(22:45)、イエレンFRB議長およびブラード・セントルイス連銀総裁発言(翌朝4:00)などが予定されている。
◆ドル/円は、金曜発表の米雇用統計を前に、連動性があるADP民間雇用統計に注目が集まり、素直に市場予想(+19.0万人)を上回ればドル買い、下回ればドル売りとなりそうだ。ユーロ/ドルや豪ドル/米ドルの同様の動きとなりそうだ。なお、今日もFed高官発言が複数予定されているが、今後の市場動向や経済指標次第で発言のトーンも変わり得ることから、市場の反応は限定的となりそうだ。
昨日までの世界:株安・資源安が小休止
ドル/円は、アジア時間から欧州時間入りにかけて本邦、中国の株価やコモディティ価格が前日の流れを引き継ぎ続落したことから、120円丁度近辺から一時119.25円へ続落した。もっとも、スイス資源商社グレンコア株など、株価や資源価格が欧米時間に下落一服・小反発に向かったことから、120円丁度近辺へ反発した。その後NY時間にかけては、119円台後半でもみ合いの展開となった。この間、米経済指標結果はまちまちで、S&Pケースシラー住宅価格は前年比5.0%と市場予想を若干下回った一方、消費者信頼感は103.0と予想外に改善し、今年1月につけた高値である103.8に近づいた。
ユーロ/ドルは、アジア時間は株安の中で強含み、1.1281ドルの高値をつけていた。もっとも、欧州時間入り後は、ドイツの各州分のインフレ率が発表され、17:00発表のヘッセン州分が前月の前年比+0.4%からゼロ%へ鈍化したことが明らかになって以降、反落基調となり、21:00発表の全ドイツ分も前年比-0.2%と、前月および市場予想を大幅に下回りマイナス圏再突入となったことから、ECB追加緩和期待が高まり続落、1.1194ドルの安値をつけた。但しその後は1.12ドル台後半へ反発した。マクチ・スロヴァキア中銀総裁が刺激策拡大の検討は憶測と述べたほか、バイトマン・独連銀総裁も金融政策決定にあたっては原油価格変動の影響を見越す必要があると述べ、追加緩和期待をなだめる発言が続いたこともユーロ反発の一因になったとみられる。
ユーロ/円は、ユーロ/ドルと同様にNY時間入りにかけて一時134円台前半へ軟化する局面も見られたが、概ね134円台後半での横ばい推移となった。
豪ドル/米ドルは、アジア時間は中国株安などを眺め下落基調となり、一時0.6937ドルと24日の安値を若干下回った。但し欧米時間にかけては、銅やプラチナなどのコモディティ価格、またスイス資源商社グレンコア株などが反発に向かい、欧米株価指数も下落一服となったことから、一時0.70ドル台を回復した。
豪ドル/円も、アジア時間に82.82円の安値をつけた後、NY時間にかけては一時84円台を回復した。
きょうの高慢な偏見:紅葉の前に雇用
ドル/円は、金曜発表の米雇用統計を前に、連動性があるADP民間雇用統計が注目となる。120円丁度を挟んだレンジ取引が続き、ポジションの偏りが小さくなってきていると見られる中、ドル/円は結果に対して素直に反応するとみられ、市場予想(+19.0万人)を上回ればドル買い、下回ればドル売りとなりそうだ。
ユーロ/ドルは、ユーロ圏9月総合HICP(前月は前年比+0.1%、市場予想はゼロ%)もドイツ分と同様にマイナス化するかが注目となるが、昨日ドイツ分の大幅下振れでマイナス化リスクはある程度織り込まれている可能性があること、更にその後ユーロは反発していることから、ユーロ圏分HICPがマイナス化してもサプライズではなく、下落は限定的となりそうだ。ユーロはECB高官からの異口同音の追加緩和慎重発言で下落モメンタムを失っており、ドル/円同様にユーロ/ドルも1.11-1.14ドル程度のレンジ内で方向感のない展開となるリスクが高まっている。
豪ドル/米ドルは、株価やコモディティ価格の下落が一服する場合には、0.70ドル丁度近辺での推移となりそうだが、中国景気減速懸念は払拭されておらず、上値は重い展開が続きそうだ。
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