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◆昨日は、世界株価や銅などコモディティ価格の反発を受けて豪ドルなどが上昇した一方、ユーロ圏HICPのマイナス転化を受けてユーロが下落したのが特徴的だった。
◆この間、ドル/円は欧州時間に120円台を回復したものの、米ADP民間雇用の予想比上振れでも続伸せず、むしろその後の米シカゴPMIの大幅悪化などから再び120円割れとなった。
◆本日は、日銀短観調査(8:50)、ブレイナードFRB理事発言(9:15)、中国9月公式製造業・非製造業PMI(10:00)、中国9月財新製造業PMI確報およびサービス業PMI速報(10:45)、英9月製造業PMI(17:30)、米新規失業保険申請件数(21:30)、米9月ISM製造業景況指数(23:00)、ロックハート・アトランタ連銀総裁発言(2:00)、ウィリアムズSF連銀総裁発言(3:30)などが予定されている。
◆ドル/円は日銀短観と米ISM製造業景況指数が注目だが、結局120円を挟んだ方向感のないレンジが続きそうだ。短観が予想以上に悪化を示すと追加緩和期待が高まり円安圧力となる一方、米ISMが予想以上の悪化となると利上げ期待が後退しドル安圧力となる。
◆また中国各種PMI結果も重要で、前月から横ばいが予想されている公式製造業PMIが悪化を示すと、豪ドルなどコモディティ通貨が悪影響を受けやすいほか、米利上げ期待後退とリスク回避傾向を受けて、ドル/円にも下押し圧力となる可能性がある。
昨日までの世界:米雇用上振れでもドル高揚せず
ドル/円は、日本や中国の株価上昇や、欧州時間入り後も銅などのコモディティ価格が上昇したことから120円台を回復した。もっとも、その後発表された米ADP民間雇用の予想比上振れ(+20.0万人、市場予想は+19.0万人)でも続伸せず、むしろその後の米シカゴPMIの大幅悪化(48.7、市場予想53.0)などから再び120円割れとなった。こうした動きは、米中長期債利回りの動きとほぼ同様だった。東京時間午前0時前後の下落は、機関投資家による月末の持ち高リバランスに絡むドル売りだった可能性もある。
ユーロ/ドルは、欧米時間に下落し1.12ドル台半ばから一時1.1157ドルをつけた。ユーロ圏HICPが前年比-0.1%と市場予想を下回り再びマイナスに陥り、ECBの追加緩和観測が高まったことが一因だったと指摘されている。但し、前日のドイツ分HICPの大幅下振れでユーロ圏分のマイナス化はある程度予見できサプライズではなく、かつECB量的緩和期待を反映するドイツ10年債利回りは特段低下していない。むしろ、株価反発を受けた避難通貨としてのユーロ需要の後退、という面が強かったかもしれない。
ユーロ/円は、欧州時間入りにかけて下落し始め、134円台後半からNY時間にかけて一時133.58円の安値をつけた。
豪ドル/米ドルは、特に欧州時間入り後にスイス大手資源商社グレンコア株価の続伸や欧州株高、そして銅などのコモディティ価格の上昇を受けて強含みとなり、0.70ドル丁度近辺から上昇したが、高値は0.7038ドルと限定的となった。
豪ドル/円も、欧州時間に米ドル/円と豪ドル/米ドルが同時に上昇したことから84円丁度近辺から84.67円へ上昇した。但しその後NY時間にかけては、米ドル/円の反落などから再び84円丁度近辺へ反落している。
きょうの高慢な偏見:日米中の企業景況感、底辺への競争?
ドル/円は、日銀短観と米ISM製造業景況指数が注目で、既に製造業、非製造業の業況判断DIが共に悪化が予想されている短観(製造業は前回15から13へ、非製造業は前回23から20へ悪化予想)が予想以上の悪化を示すと、追加緩和期待が高まり円安圧力となる。一方、米ISMも悪化が予想されており(前月51.1、今回市場予想50.6)、外需環境の悪化で予想以上の悪化となると利上げ期待が後退しドル安圧力となる。結局、120円を挟んだ方向感のないレンジが続きそうだ。
また中国各種PMI結果も重要で、前月から横ばい(49.7)が予想されている公式製造業PMIが悪化を示すと、米利上げ期待後退とリスク回避傾向を受けて、ドル/円にも下押し圧力となる可能性がある。
ユーロ/ドルは、米ドル動向が重要で、米ISM(前月51.1、今回市場予想50.6)が外需環境の悪化で予想以上の悪化となると米利上げ期待が後退しドル安圧力となり、ユーロ/ドルの押上げ圧力となるほか、中国PMIの悪化も避難通貨としてのユーロ需要増加で上昇圧力となりそうだ。
豪ドル/米ドルは、中国各種PMI結果が重要で、まずは前月から49.7で横ばいが予想されている公式製造業PMIが悪化を示すと、コモディティ価格や豪ドルが悪影響を受け易い。
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