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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。
(9月28日収録)
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2015年10月02日

時給加速は持久戦か

<ポイント>

◆昨日は、アジア時間に中国製造業PMIの予想比上振れを受けて豪ドルや米ドル/円が上昇した後、米ISM製造業景況指数の予想以上の悪化などからNY時間に反落したのが特徴的だった。
◆日銀短観は大企業製造業業況判断DIは予想以上に悪化した一方、非製造業の業況判断DIや大企業全産業の設備投資計画は予想を上回り、全体としては良好な結果で日銀追加緩和期待をやや後退させる内容だったが、円高方向への動きは限定的だった。
◆中国では各種PMIが発表され、市場は製造業PMIの予想比改善に注目したが、財新サービス業PMIは大幅に悪化しており、注意が必要だ。
◆本日は、豪8月小売売上高(10:30)、ドラギECB総裁発言(10:30)、英9月建設業PMI(17:30)、米9月雇用統計(21:30)、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言(21:45)、ブラード・セントルイス連銀総裁発言(1:30)、フィッシャーFRB副議長発言(2:30)が予定されている。
◆最大の焦点は米雇用統計で、前月鈍化した雇用創出ペースが再び月間20万人ペースに戻るかだけでなく、平均時給が市場予想通り加速し、利上げ開始の障害の一つであるインフレ圧力の低さを払拭するかがポイントとなる。特に平均時給が加速を示せば、来年に利上げ先送りとみる向きが利上げ開始予想の前倒しを行い、ドル高に繋がりドル/円は再び121円台を試す展開となりそうだ。他方、非農業部門雇用者数が20万人に届かなかったり、平均時給の伸びが市場予想を下回ると、ドル/円は再び直近レンジ下限である119円丁度方向への動きとなりそうだ。いずれにせよ、余程大きく市場予想から乖離しない限り、119-121円のレンジを大きく外れないとみられる。

昨日までの世界:日本○、米国×、中国は△

ドル/円は、アジア時間は中国製造業PMI(公式分が49.8、財新分確報が47.2)の予想比上振れを受けて、119円台後半から一時120.28円へ上昇した。その後NY時間入りにかけてドルが反落し再度120円割れとなり、米ISM製造業景況指数も50.2と前月および市場予想を下回り景気拡大と後退の分かれ目である50に近づいたことから小幅続落、一時119.50円の安値をつけた。但し引けにかけては、米株価の反発と共に120円丁度手前へ小反発した。
日銀短観は大企業製造業業況判断DIは12と予想以上に悪化した一方、非製造業の業況判断DIや大企業全産業の設備投資計画は予想外の改善となり、全体としては良好な結果で日銀追加緩和期待をやや後退させる内容だった。発表直後、小幅に円高に振れたが一時的に留まった。
中国では各種PMIが発表され、市場は製造業PMIの予想比改善に注目したが、財新サービス業PMIは前月の51.5から50.5へ大幅に悪化しており、注意が必要だ。

ユーロ/ドルは、中国各種PMI発表を受けて中国懸念が後退したためか、1.1135ドルへ小幅下落したが、NY時間にはドル安を受けて反発、一時1.12ドル台を回復した。
ユーロ/円は、ドル/円と共に軟化し、米経済指標発表前に133.44円の安値をつけた後、NY時間引けにかけては134円台を再び回復するなど、方向感のない展開だった。

豪ドル/米ドルは、中国各種PMIのうち製造業分の予想比上振れを好感したとみられ、0.70ドル丁度近辺からNY時間にかけて上昇し一時0.7085ドルの高値をつけた。米ISM製造業景況指数の予想以上の悪化や、ロシアのシリア空爆などを受けた原油価格の急騰も下支え要因だった。もっとも、その後は、米国の石油関連設備に悪影響を及ぼすとみられていた大型ハリケーン「ホアキン」の進路予想が変更となり懸念が和らいだことを受けて原油価格が大幅反落すると、豪ドルも0.70ドル台前半へ反落した。
豪ドル/円も、アジア時間に84円丁度近辺から一時85.05円へ上昇した後は、再び84円丁度方向へ反落した。

きょうの高慢な偏見:時給加速は持久戦か

ドル/円の最大の焦点は米雇用統計で、前月鈍化した雇用創出ペースが再び月間20万人ペースに戻るかだけでなく、平均時給が市場予想通り加速し、利上げ開始の障害の一つであるインフレ圧力の低さを払拭するかがポイントとなる。特に平均時給が加速を示せば、来年に利上げ先送りとみる向きが利上げ開始予想の前倒しを行い、ドル高に繋がりドル/円は再び121円台を試す展開となりそうだ。他方、非農業部門雇用者数が20万人に届かなかったり、平均時給の伸びが市場予想を下回ると、ドル/円は再び直近レンジ下限である119円丁度方向への動きとなりそうだ。いずれにせよ、米利上げの障害となっているのが米景気動向というよりは中国など世界景気動向であることから、雇用統計結果だけでは米利上げに関する霧は晴れず、余程大きく市場予想から乖離しない限り、119-121円のレンジを大きく外れないとみられる。

ユーロ/ドルも、米雇用統計を受けたドル相場の動向に左右されるかたちとなりそうだ。予想を上回る好結果となれば9月入り後サポートとなっていた1.11ドル丁度近辺を割り込む可能性がある一方、予想比悪化の場合でもECB追加緩和期待が根強いことから上昇余地は限定的となり、1.13ドル程度となりそうだ。

豪ドル/米ドルも、米雇用統計が予想を上回る好結果となれば9月29日の直近安値である0.6937ドル方向への動きとなる一方、予想比悪化の場合でも中国景気減速懸念やコモディティ価格の下落基調は変わらず上昇余地は限定的となり、0.71ドル程度までの上昇に留まりそうだ。

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