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◆先週金曜は、米雇用統計が全般的に市場予想を下回る軟調な結果となったことから、発表後にドルが対主要通貨で大きく下落したが、引けにかけては米利回りと共に大きく反発し、結局ドル安幅は非常に限定的となった。ドル/円は120円台前半から一時118.68円へ急落した後、120円丁度近辺へ大きく切り返した。ユーロ/ドルも1.11ドル台半ばから一時1.1319ドルへ急上昇した後、1.12ドル丁度近辺へ反落した。
◆他方、ブラジルレアル、トルコリラ、南アランドなど新興国通貨の対ドル相場は、米雇用統計発表後に小幅に下落した後、米早期利上げ確率低下が好感されてか米株価と共に大きく反発した
◆この間、豪ドル/米ドルは動意に欠ける展開となり、米雇用統計発表後に0.7030ドル近辺から0.7067ドルへ上昇したがすぐに反落し、結局一日を通して概ね0.70ドル台前半の動きとなった。上値の重さが確認された一方、原油、銅、プラチナなどのコモディティ価格の反発の恩恵も殆ど受けなかった。
◆米9月雇用統計は、非農業部門雇用者数が+14.2万人と市場予想(+20.1万人)を大きく下回り、過去計数も合計5.9万人分下方修正され、前月分民間雇用は僅か+10.0万人に留まった。更に、平均時給は前年比+2.2%と市場予想(+2.4%)を大きく下回り前月と横ばいに留まった。今回の結果は、10月利上げの可能性を大きく低下させた一方で、雇用統計は振れが大きく来月反動が見られる可能性もあり、年内利上げの可能性は低下したもののまだ残っている。こうした楽観が米利回りやドルの反発に繋がったとみられる。
◆本日は、トルコ9月CPI(16:00)、英9月サービス業PMI(17:30)、ユーロ圏財務相会合(22:00)、米9月ISM非製造業景況指数(23:00)などが予定されているが、先週金曜の米雇用統計結果の消化が続きそうだ。米雇用統計発表後、ドルは急落後に大きく反発しているが、やや楽観的過ぎる感があるため、ドルが再び軟化するリスクに注意したい。
◆ドル/円も、米2年金利差の動きと比べ先週金曜のドル反発が行き過ぎとみられるほか、日銀の追加緩和期待の後退リスクもあり、再び119円台前半へ軟化するリスクがある。
昨日までの世界:時給加速は持久戦に
ドル/円は、米雇用統計発表にかけては良好な結果を織り込む動きからか119円台後半から120円台前半へ徐々に強含んでいたが、米雇用統計が全般的に市場予想を下回る軟調な結果となったことが判明すると、発表後に米中長期債利回りの大幅低下と共に一時118.68円へ急落した。もっとも、その後は米中長期債利回りの反発と共に120円丁度近辺へ大きく切り返して引け、なんとか9月4日の安値(118.61円)は割り込まず、最近の119-121円のレンジを保ったかたちとなった。
米9月雇用統計は、非農業部門雇用者数が+14.2万人と市場予想(+20.1万人)を大きく下回り、過去計数も合計5.9万人分下方修正され、前月分民間雇用は僅か+10.0万人に留まった。更に、平均時給は前年比+2.2%と市場予想(+2.4%)を大きく下回り前月と横ばいに留まった。今回の結果は、10月利上げの可能性を大きく低下させた一方で、雇用統計は振れが大きく来月反動が見られる可能性もあり、年内利上げの可能性は後退したもののまだ残っている。こうした見方が米利回りやドルの反発に繋がったとみられる。
ユーロ/ドルも米雇用統計発表前は1.12ドル丁度近辺から1.11ドル台半ばへ軟化していたが、発表後は一時1.1319ドルへ急上昇した後、米利回り反発と共に1.12ドル丁度近辺へ反落した。ユーロ/ドルも、9月22日以降の1.11-1.13ドルのレンジを保ったかたちとなった。
ユーロ/円は、ユーロと円が対ドルで同様に上下したことから強い方向感は出なかったが、134円台前半から米雇用統計発表後に134円台後半へ強含みとなり、ユーロの方がやや強くなった。ECBは目先追加緩和が予想されていない一方、日銀は今週7日の決定会合を控え追加緩和期待が燻っていることが背景にあるかもしれない。
豪ドル/米ドルは動意に欠ける展開となり、米雇用統計発表後に0.7030ドル近辺から0.7067ドルへ上昇したがすぐに反落し、結局一日を通して概ね0.70ドル台前半の動きとなった。上値の重さが確認された一方、米雇用統計発表後の原油、銅、プラチナなどのコモディティ価格や米株価の反発の恩恵も殆ど受けなかった。
豪ドル/円は米ドル/円とほぼ同様の動きとなり、米雇用統計発表後に84円台半ばから83.27円へ下落した後、引けにかけて84円台半ばを回復し、下に往って来いの展開となった。
きょうの高慢な偏見:ドルの再軟化リスク
ドル/円は、米雇用統計を受けた急落後に反発、米株高からくるリスク回避後退とは整合的となっているが、ドル/円と連動性が高い米2年債利回りは0.65%から0.53%へ12bps低下した後、0.58%までしか戻っておらず、先週金曜のドル反発はやや行き過ぎ感がある。また、日銀が10月30日発表の展望レポートで物価、成長率見通しを下方修正した上で2%インフレ目標達成時期を後ずれさせるとの観測記事(3日付日経)も、政府・日銀で今週7日を含めた今月中の追加緩和機運が高まっていないことを示している可能性があり、円高リスクとなる。週明け早朝は120円前後で推移しているが、アジアや欧州の株価が上昇しないと、ドル/円は119-121円のレンジ内ながら再び119円台前半へ軟化するリスクがありそうだ。
ユーロ/ドルも1.12ドルを挟んだレンジが続いているが、ドル続落リスクとECB追加緩和期待の後退を踏まえると、どちらかというと1.12ドル台での強含みリスクがある。ユーロ/ドルが再び下落基調に回帰するには、米利上げ機運の高まりに加えて、ユーロ圏の景況感の更なる大幅悪化が必要だ。
豪ドル/米ドルは、中国休場(10月7日まで)もあって動意が出にくいかもしれないが、米雇用統計の予想比悪化を受けたコモディティ高や豪ドル高は持続的とはみられず、引き続きコモディティ市場の需給環境の悪さを踏まえれば上値は重くなりそうだ。明日にRBA理事会を控えており、今回利下げを予想する向きは少数派だが、利下げリスクを意識して買いが手控えられ軟化する可能性もありそうだ。
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