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◆昨日は、特段の好材料はなく、むしろ英米の企業景況感は予想以上に悪化したにも拘らず、米利上げ期待の後退を受けた安堵感からか世界的に株高・コモディティ高となる中で、為替市場では、米利回り持ち直しを背景にドルが対円や対欧州通貨で上昇した一方、豪ドルなどコモディティ通貨や新興国通貨が対米ドルで上昇する展開となり、ドルの動きは対先進国通貨と対資源通貨・新興国通貨で正反対となったのが特徴的だった。
◆ドル/円は120円前後から欧米時間にかけて120円台半ばへじり高となり、先週金曜の米雇用統計発表前の水準を上回った。
◆本日は、豪RBA理事会(12:30)、EU財務相会合(16:00)、スイス9月CPI(16:15)、米8月貿易収支(21:30)、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁発言(22:15)、ドラギECB総裁発言(2:00)、ウィリアムズ・SF連銀総裁発言(翌朝6:30)などが予定されている。
◆中ではRBA理事会が注目で、豪ドルは目先は株高・コモディティ反発に支えられているが、声明文で中国景気減速懸念や過去と比べたコモディティ傾向に言及し今後の利下げの可能性が示唆されるリスクがあり、その場合は上値を抑えられそうだ。
◆ドル/円は米利上げ期待の後退が世界株高とリスクオンの背景にあるならば、いずれ米利回り持ち直しが頭打ちとなりドル/円も上げ渋る展開となるはずだが、目先は株高が続くようだと121円方向へじり高が続くかもしれない。
昨日までの世界:英米景況感悪化でリスクオンの不思議
ドル/円は、東京時間は120円丁度近辺での横ばい推移となったが欧州時間入り後は世界的な株価続伸を背景に米中長期債利回りが持ち直しに向かったことから、120円台半ばへのじり高となり、先週金曜の米雇用統計発表前の水準(120.30円前後)を上回った。途中、米ISM非製造業景況指数が発表され、56.9と前月および市場予想を下回る結果だったにも拘らず、米利回りやドルは下落しなかった。
ユーロ/ドルは、欧州時間にかけてむしろドル安ユーロ高となり、再び1.13ドル丁度手前へじり高となったが、NY時間は反落し、再び1.12ドルを割り込んだ。結局、先週金曜の米雇用統計直後の値幅(1.1150~1.1300ドル)内に収まっている。
ユーロ/円は、欧州時間にかけてはユーロ/ドルと共に上昇し一時135.72円の高値をつけたが、その後は再び134円後半へ反落した。
豪ドル/米ドルは、特段の好材料はなかったものの、米利上げ期待の後退を受けた安堵感からか世界的に株高・コモディティ高となる中でじり高となり、一時0.7111ドルの高値をつけた。
豪ドル/円は、米ドル/円と豪ドル/米ドルが同時に上昇するリスクオンの相場展開の中で上昇し、84円台後半から一時85.52円の高値をつけた。
きょうの高慢な偏見:RBAは資源高・豪ドル安誘導できるか?
ドル/円は、米利上げ期待の後退が世界株高とリスクオンの背景にあるならば、いずれ米利回り持ち直しが頭打ちとなりドル/円も上げ渋る展開となるはずだが、目先は株高が続くようだと121円方向へじり高が続くかもしれない。明日の日銀決定会合結果発表に向けて追加緩和期待が高まっていることも、ドル/円の下支え要因となっているかもしれない(筆者は年内追加緩和なしを予想)。なお、本日は米貿易収支が発表予定となっており、赤字額が予想(480億ドル)よりも大きくなると、米3QGDPの更なる鈍化リスクが意識され、ドル安圧力となりそうだ。
ユーロ/ドルは1.12ドルを中心とした1.11-1.13ドルのレンジが続きそうだ。
豪ドル/米ドルは、目先は米利上げ期待を背景とした株高・コモディティ反発に支えられているが、本日のRBA理事会の声明文で中国景気減速懸念や過去と比べたコモディティ傾向に言及し今後の利下げの可能性が示唆されるリスクがあり、その場合は上値を抑えられそうだ。RBAにとってコモディティ価格反発は歓迎だが、輸出を振興したいため豪ドル高は必ずしも歓迎できるものではない。Bloombergまとめによれば、今回RBA理事会での利下げ予想は24名中1名だが、次回11月理事会では5名となっており、十分には織り込まれていない。
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