<ポイント>
◆昨日は、欧米株高や原油などコモディティ価格の大幅上昇を受けて、豪ドルなどコモディティ通貨が続伸したほか、ブラジルレアルなど新興国通貨も上昇した。FOMC議事要旨がタカ派的な内容とならなかったことも下支え要因となった。他方、こうしたリスクオン環境の中で米中長期債利回りが上昇したにも拘らず、ドル/円は全般的なドル安傾向の中で軟調に推移した。
◆本日は、豪8月住宅ローン(10:30)、カナダ9月雇用統計(21:30)、ロックハート・アトランタ連銀総裁発言(22:10)、エヴァンズ・シカゴ連銀総裁発言(2:30)、などしか予定されていない。
◆本邦休場の12日(月)も、ロックハート・アトランタ連銀総裁発言(21:10)、エヴァンズ・シカゴ連銀総裁発言(23:30)、ポロズ・カナダ中銀総裁発言(2:05)、ブレイナードFRB理事発言(5:30)、ローRBA総裁補発言(6:40)などしか予定されておらず、来週初にかけて非常に材料が少ない。こうした中、ドル/円やユーロ/ドルは直近レンジ内でややドル弱含み方向が続くと見られる一方、豪ドルはコモディティ価格睨みの展開で、原油などが続伸し直近高値を超えると0.73ドル台乗せが視野に入る。
昨日までの世界:原油高とドル全面安
ドル/円は、本邦株価の下落もあって欧州時間にかけて今週6日以降のじり安傾向が続き、一時119.63円の安値をつけた。その後、米新規失業保険申請件数が26.3万人と市場予想を大幅に下回る良好な結果となったこともあって120円方向へ小反発した。米FOMC議事要旨では、声明文と同様に早期利上げ慎重姿勢が改めて示され、タカ派的な内容とならなかったことを受けて、米2年債利回りは低下したことから、ドル/円も一時的に120円台を回復したものの、119円台後半で引けた。
ユーロ/ドルは、最近のドイツ経済指標の軟調に続き、昨日もドイツ8月輸出が前年比-5.2%とマイナス幅が予想以上に拡大したがユーロは下落せず、むしろ欧州時間入りには上昇し1.13ドル台をつけた。その後、ECB議事要旨が発表され、追加緩和に慎重姿勢が示されたものの、12月の市場流動性低下に備えて債券購入を幾分前倒する方針が示されたことから、ドイツなど欧州債券利回りが低下しユーロも再び1.12ドル台前半へ反落した。米FOMC発表後は、タカ派的な内容とならなかったことを受けてドル安となり、一時1.1327ドルの高値をつけたが、すぐに反落し1.12ドル台後半で引けている。
ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に、欧州時間に135円台へ上昇した後、一時135円を下回る局面もあったがNY時間には再度135円台を回復して引けている。
豪ドル/米ドルは、アジア時間は前日NY時間の原油価格反落の影響を受けて0.71ドル台後半へ軟化した。もっとも、NY時間に原油価格が再び大きく上昇すると、0.72ドル台を回復し0.7272ドルの高値をつけた。
豪ドル/円も、アジア時間に一時86円割れとなったもののNY時間には大幅反発し87.19円の高値をつけた。
きょうの高慢な偏見:油売ってる場合ではない?
ドル/円は、本日から来週初にかけて材料が少ない中で、9月以降の119-121円のレンジ内ながら、米利回りとの連動性が不明瞭になっており、ドル相場の全般的な動向に左右されやすい展開となりそうだ。特に原油の反発基調が特徴的で、コモディティ価格続伸・ドル安となる場合、ドル/円も影響を受け119円台半ば方向へ弱含みとなりそうだ。
ユーロ/ドルはECBから追加緩和に関する明確なスタンスが示されない中で、1.11-1.13ドルのレンジ内ながら、全般的なドル安傾向の中でやや強含みの展開が続き、昨日のように1.13ドル台に乗せる局面もありそうだ。
豪ドル/米ドルは、コモディティ価格睨みの展開で、原油などが続伸し直近高値(9月18日の0.7280ドル)を超えると0.73ドル台乗せが視野に入る。0.73ドル台では日次一目均衡表の雲の上限が0.7318ドル程度にあるが、そこを抜けると下落トレンドの転換の可能性が示唆され、0.74ドル台まで短期的に続伸しやすくなる。
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。