<ポイント>
◆先週金曜は、豪ドルがテクニカル面でレジスタンスを上抜けしてきたことから追随の買いや損切りの買戻しが入り易く、1%超続伸したのが特徴的だった。但し、米雇用統計後のリスクオン相場の牽引役だった原油高はやや一服しており、米株価やトルコリラ、南アランドなど一部新興国通貨の上昇も一服した。この間、ドル/円相場は欧州時間入り後に120円台を回復したが、引き続き119-121円のレンジ内での推移となった。
◆本邦休場の12日は、原油価格の大幅反落にも拘らず豪ドル高が継続し一時0.7382ドルの高値をつけた。他方、トルコリラが10日の首都アンカラでの爆破事件を嫌気して下落した。この間、ドル/円やユーロ/ドルは狭いレンジ内の動きが続いた。
◆本日は、豪9月NAB企業景況感・信頼感(9:30)、中国9月輸出入統計(11:00)、英9月CPI(17:30)、英8月ネーションワイド住宅価格(17:30)、独10月ZEW期待指数(18:00)、ブリハ英BoE金融政策委員議会証言(18:00)、マカファーティ英BoE金融政策委員議会証言(19:00)、ブラード・セントルイス連銀総裁発言(21:00)、ホールデン英BoE金融政策委員発言(2:00)、ウィーラーRBNZ総裁発言(6:30)などが予定されている。
◆中では中国輸出入統計が重要で、予想以上の前年比マイナス幅拡大となると、中国景気(輸入)だけでなく世界経済(輸出)も想定上に減速しているという懸念に繋がり、米雇用統計後のリスクオン相場に水を差す可能性がある。弱い中国輸出入統計が最近反発基調となっている各種コモディティ価格の反落に繋がれば、豪ドルのテクニカルリバウンドも一服する可能性がある。
◆ドル/円もリスクオフ時には米利回り低下と共に下押し圧力を受けるが、9月入り後のレンジ下限である119円程度を持続的に下回ることにはならなそうだ。
昨日までの世界:コモディティ反落でも豪ドルのテクニカルリバウンドが継続
ドル/円は、先週金曜は欧州時間入り後に特段の材料なく120円台を回復した。但し週明け12日には、原油安の影響を受けたとみられNY時間に反落し一時120円割れとなったが、引けにかけては120円台を回復、依然として119-121円のレンジ内での推移が続いた。
ユーロ/ドルは先週金曜、欧州時間入りにかけて再び1.13ドル台乗せとなり、その後も1.1387ドルへ続伸、9月下旬以降の1.11-1.13ドルのレンジ上限を明確に上抜けしたかたちとなった。週明け12日には1.1397ドルへ小幅続伸したが、引けにかけては小反落し、1.13ドル台後半でほぼ横ばい推移となった。
ユーロ/円も先週金曜の欧州時間入りに大きく上昇、135円台前半から136.96円と137円丁度手前まで続伸した。週明け12日も136円台後半で推移したが、NY時間にドル/円が軟化すると136円台前半へ軟化した。
豪ドル/米ドルは、先週金曜の欧州時間にかけて銅やプラチナなどコモディティ価格の続伸と共に、テクニカル面でレジスタンス(9月18日の高値である0.7280ドル、心理的節目となる0.73ドル丁度)を上抜けしてきたことから追随の買いや損切りの買戻しが入り、0.7344ドルへ1%超続伸し、日次一目均衡表の雲の上限(0.7340ドル程度)をも上回った。週明け12日も、原油価格は大幅反落したものの、プラチナなど他のコモディティ価格は上昇が続いたこともあって豪ドルも続伸、一時0.7382ドルの高値をつけた。
豪ドル/円も先週金曜の欧州時間に上昇し88円台乗せとなった。週明け12日も小幅続伸し、一時88.61円の高値をつけた。
きょうの高慢な偏見:テクニカルリバウンドは続くか?
ドル/円は先週以降、119.5-121.5円程度へレンジが更に狭まりつつあり、本日もこうした状況が続きそうだ。中国輸出入統計の大幅悪化に起因するリスクオフ時には米利回り低下と共に下押し圧力を受けるが、9月入り後のレンジ下限である119円程度を持続的に下回ることにはならなそうだ。
ユーロ/ドルは、豪ドル/米ドルなどと共に米雇用統計後のリスクオン相場と米ドル反落の影響を受け、強含みが続いている。こうした状況で、中国輸出入統計の悪化が、8月下旬の中国株価急落時のように避難通貨としてのユーロ需要を強め続伸するか、コモディティ価格反落・米ドル反発の影響を受けてユーロ/ドルが下落するかは事前には判断がつきにくい。
豪ドル/米ドルは中国輸出入統計が重要で、予想以上の前年比マイナス幅拡大となると、中国景気(輸入)だけでなく世界経済(輸出)も想定上に減速しているという懸念に繋がり、米雇用統計後のリスクオン相場に水を差す可能性があり、最近反発基調となっている各種コモディティ価格の反落に繋がれば、豪ドルのテクニカルリバウンドも一服する可能性がある。現時点で中国の輸入(主に中国の内需の弱さを反映)は前月の前年比-13.8%から-16.0%へ、輸出(中国以外の海外景気の弱さを反映)は前月の前年比-5.5%から-6.0%へ、いずれもマイナス幅拡大が予想されている。
逆に市場予想通りか予想を上回る場合には豪ドル上昇は続き、目先の上値目処は昨年9月以降の下降トレンドラインが通る0.74ドル丁度近辺および8月11日高値である0.7440ドルとなる。豪ドル/円は年初から8月の急落前までの安値だった89円丁度近辺を上抜けすると上昇が加速しそうだ。
<10月12日の動き>
<10月9日の動き>
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