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◆昨日は、欧州時間入りにかけてドル/円の下落基調が続き、一時118.07円の安値をつけた。もっとも、その後発表された米経済指標のうち、コアCPIが市場予想を上回り、新規失業保険申請件数が市場予想を下回る良好な結果となったことからドルが買い戻され、引けにかけては119円丁度手前まで回復した。
◆他方、ユーロ/ドルも欧州時間入りにかけてノボトニー・オーストリア中銀総裁が追加緩和の必要性に言及したことなどから下落に転じたほか、一部米経済指標が予想比良好だったことを受けたドル高もあって続落、1.15ドル丁度手前から1.1363ドルの安値へ大幅下落となった。
◆本日は、黒田日銀総裁発言(15:35)、フォーブスBoE金融政策委員発言(19:30)、クーレECB理事発言(20:30)、米9月鉱工業生産・設備稼働率(22:15)、米8月JOLT求人件数および米10月ミシガン大消費者信頼感速報(いずれも23:00)などが予定されている。
◆中では米経済指標が注目で、鉱工業生産など製造業関連計数は下振れリスクがある一方、昨日発表の地区連銀製造業サーベイの悪化にはあまり市場は反応しなかったことから、むしろ求人件数や消費者信頼感がより重要で、市場予想以上の改善を示せば、再び年内利上げ開始期待が高まり、ドル/円のレンジ下限底固めとなりそうだ。
昨日までの世界:レンジ下限を試したが、反発
ドル/円は、欧州時間入りにかけて下落基調が続き、一時118.07円の安値をつけた。もっとも、その後発表された米経済指標のうち、コアCPIが前年比+1.9%と前月および市場予想を上回り、新規失業保険申請件数が25.5万件と市場予想を下回り1973年以来の低水準となるなど良好な結果となったことからドルが買い戻され、引けにかけては米株高も手伝って119円丁度手前まで回復した。
この間、NY連銀製造業景況指数は-11.36、フィラデルフィア連銀製造業サーベイも-4.5といずれも前月からは小幅改善したものの市場予想を下回る結果となったが、市場はどちらかというと好材料の方に反応したかたちとなった。
ユーロ/ドルは、アジア時間は前日の上昇地合いが続き一時1.1495ドルと1.15ドル丁度手前まで小幅続伸していた。もっとも、欧州時間入りにかけてノボトニー・オーストリア中銀総裁が「コアインフレ率も明らかにECBが目指す水準を下回っている」「一連の追加手段が必要なのは明白」などとハト派的な発言をしたことなどから下落に転じ、1.14ドル台前半へ下落した。更に一部米経済指標が予想比良好だったことを受けたドル高もあって続落、1.1363ドルの安値をつけた。
ユーロ/円は、欧州時間入りにかけてドル/円とユーロ/ドルがほぼ同時に大幅下落したことから、136円台半ばから135円台前半へ急落、NY時間にかけても軟調が続き134.80円の安値をつけた。但し引けにかけては135円台を回復した。
豪ドル/米ドルは、豪雇用統計が発表され雇用者数が-5100人と予想外の減少となったが(失業率は6.2%で市場予想通り横ばい)、前日からの反発基調が続き0.73ドル台を概ね維持した。但し、NY時間には一部米経済指標の予想比上振れを受けて0.72ドル台半ばへ急落する場面もあったが、その後の米株高により下支えされたとみられ、0.73ドル台へ急反発、結局下落は一時的となり堅調地合いが維持された。
豪ドル/円は、豪ドル/米ドルの強含みを受けて87円台前半で推移していたが、東京時間午後に入り軟調となり、米ドル/円の下落とともに86円台前半へ軟化した。但し引けにかけては豪ドル/米ドルの反発と共に87円台を回復するなど、結果として86円台後半を中心としたもみ合い推移だった。
きょうの高慢な偏見:レンジ底固めへ
ドル/円は昨日の下落でも8月末以降の118-122円のレンジ下限がかろうじて維持されたかたちとなったが、本日は米経済指標が注目で、鉱工業生産など製造業関連計数は下振れリスクがある一方、昨日発表の地区連銀製造業サーベイの悪化にはあまり市場は反応しなかったことから、むしろ求人件数や消費者信頼感がより重要となりそうで、市場予想(558.0万件、89.0)を上回れば、再び年内利上げ開始期待が高まり、ドル/円のレンジ下限底固めとなりそうだ。
ユーロ/ドルは、米経済指標を受けた米ドル動向の影響を受けやすいが、ユーロが堅調になってきている中で、昨日のノボトニー総裁発言に続き、他のECB高官から追加緩和の必要性を示唆する発言が続いて出されれば、上値が重くなりそうだ。本日はクーレ理事発言が予定されている。
豪ドル/米ドルも米ドル関連材料の影響を強く受ける展開が続きそうだが、銅などコモディティ価格の反発基調が続いている中で、どちらかというと底堅い展開が続きそうだ。
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