<ポイント>
◆先週金曜は、米経済指標は前日に続きまちまちだったが、対円、ユーロでドルの反発基調が続いたのが特徴的だった。ドル/円は一時119.66円の高値を付けた。
◆この間、ブラジルレアルは9月下旬に底を付けたあと持ち直しの兆しを見せていたが、市場からの信認が比較的高いレビ財務相の辞任観測報道が流れたことを受けて対ドルで3%下落した。
◆本日は、日銀支店長会議開催・黒田総裁挨拶(9:30)、中国3QGDPほか主要経済指標(11:00)、日銀地域経済報告(さくらレポート)公表(14:00)、ブレイナードFRB理事発言(23:00)、カナダ総選挙、ラッカー・リッチモンド連銀総裁発言(1:00)、などが予定されている。
◆中では中国GDPが重要で、前年比+6.8%への減速予想を更に下回るようだと、中国景気減速懸念が再び強まり、豪ドルが再び下落基調に戻る可能性がある。但し、10月26-29日に中国の五中全会開催が予定されていることもあり、弱い結果の場合には追加的な景気刺激策への期待感が高まるとみられ、豪ドル安や金融市場全体のリスク回避傾向は限定的となりそうだ。
◆ドル/円もレンジ内かつ日米重要材料が少ない中で、119円台での方向感のない推移となりそうだ。
昨日までの世界:ドルが小幅続伸
ドル/円は、東京時間早朝に119円台を回復した後、概ね119円台前半で推移したが、NY時間入り後、米中長期債利回りの上昇傾向が続いた中で上昇し、一時119.66円の高値を付けた。この間発表された米経済指標は前日に続きまちまちでドルの方向性を強く示唆するものとはならず、ミシガン大消費者信頼感は92.1と市場予想以上の改善を示したが、調査のうち期待インフレ率は1年後が+2.7%、5-10年後が+2.6%と小幅低下基調が続き、JOLT求人件数も537.0万人と市場予想を下回った(鉱工業生産は前月比-0.2%と市場予想通り)。
ユーロ/ドルは、特段の追加材料がない中で前日の大幅反落地合いが続き、1.13ドル台後半から欧州時間にかけて1.1335ドルの安値をつけた。
ユーロ/円は、欧州時間はユーロ/ドルの下落と共に軟化し135円を割り込んだが、その後NY時間にかけてはむしろドル/円の上昇(円安)につれる動きとなり、135.99円と136円丁度手前まで反発した。
豪ドル/米ドルは、米ドルの反発地合いや銅などのコモディティ価格の下落につれたとみられ、0.73ドル台前半からNY時間にかけて0.72ドル台半ばへ下落した。
豪ドル/円は、ユーロ/円とは逆に、対米ドルで円より豪ドルの方が弱かったことから、87円台前半から86円台半ばへ軟化した。
きょうの高慢な偏見:中国のさじ加減は些事ではない
ドル/円は、中国経済指標が下振れする場合にはリスク回避傾向を通じて下押し圧力がかかる可能性があるが、日米材料が少ないこともあって、119円台を中心とした方向感のない展開となりそうだ。政府の月例経済報告や10月日銀決定会合と同様に、日銀地域経済報告でも景気認識が若干下方修正される可能性があり、追加緩和期待と円安圧力につながる可能性はある。但し、11月以降内外で多くの重要イベントを控えていることもあり、10月30日の決定会合で性急に追加緩和を決定する必要性はあまり高くない(日銀の追加緩和については投資戦略テーマ「ドル/円:追加緩和はまぼろし?」を参照)。
ユーロ/ドルも材料が少ない中で、1.13ドル台半ばを中心とした一進一退の展開となりそうだ。
豪ドル/米ドルでは、中国主要経済指標、特に7-9月期GDP成長率が重要となる。統計作成時点で当局の意向が反映され、極端には弱い数字にならない可能性は残るが、前年比+6.8%への減速予想を更に下回るようだと、中国景気減速懸念が再び強まり、豪ドルが再び下落基調に戻る可能性がある。但し、10月26-29日に中国の今後5年間の経済計画を議論する五中全会開催が予定されていることもあり、弱い結果の場合でも追加的な景気刺激策への期待感が高まるとみられ、豪ドル安や金融市場全体のリスク回避傾向は限定的となりそうだ。
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