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◆昨日は、中国3QGDPが市場予想を上回ったことを受けた安堵感から、発表後に豪ドルなどコモディティ通貨が上昇したが、鉱工業生産や固定資産投資などが市場予想を下回ったことを受けてNY時間に原油や銅などコモディティ価格が下落したことから、豪ドルなどが結局反落したのが特徴的だった。
◆ドル/円は、中国GDP発表を受けて小幅高となったあとは、概ね119円台半ばで方向感のないもみ合い推移となった。
◆本日は、豪RBA議事要旨(9:30)、米9月住宅着工・建設許可件数(21:30)、マカファーティ英BoE金融政策委員議会証言(18:45)、カーニー英BoE総裁議会証言(19:00)、ダドリーNY連銀総裁・パウエルFRB理事発言(22:00)、ジャネット・イエレンFRB議長発言(0:00)などが予定されている。
◆ドル/円は引き続きレンジだが、イエレン議長が景気判断および利上げ時期判断に際して雇用統計や小売売上高などの最近の弱い経済指標をどの程度重視するかが注目されるが、これまで通り年内利上げ開始の可能性を繰り返すようだと、比較的タカ派と捉えられ、ドルが強含みとなる可能性がある。
昨日までの世界:中国GDPは絶妙なさじ加減だったが、コモディティ下落を抑えられず
ドル/円は、中国3QGDPが前年比+6.9%と、前期および政府目標を下回ったものの市場予想を上回ったことから、中国のハードランディングリスクが後退したとして安堵感が広がり、119.20円前後から一時119.61円へ上昇した。但しその後は米利回りや米株価が横ばい圏内で推移したこともあって、概ね119円台半ばで方向感のないもみ合い推移となった。
この間の日米当局者発言は、政策変更の可能性の低さを示すものとなった。ダドリーNY連銀総裁は15日の会議でここ数ヶ月で状況が変わった、利上げは時期尚早だ、などと述べたと伊紙で報道された。他方、日銀支店長会議後の会見では、関西や東海地区の企業からは中国減速の影響は大きくなく、為替の安定を望む声が聞かれたとされたほか、関西企業からは金融政策について特段の要請はない、とも指摘された。
ユーロ/ドルは、欧州時間に特段の材料なく、1.13ドル台後半から一時1.1306ドルへ軟化した。先週はコアインフレの弱さを指摘し追加緩和の必要性を示唆していたノボトニー・オーストリア中銀総裁が週末には量的緩和延長に関する議論は時期尚早だと述べたほか、ノワイエ仏中銀総裁も量的緩和の一段の調整は不必要、と述べるなど、むしろ追加緩和期待を後退させるECB高官発言が相次いでいた。ドイツ10年債利回りも低下していないことから、消去法的に中国景気減速懸念の後退が避難通貨としてのユーロ需要後退に繋がった、という面はあるかもしれない。
ユーロ/円も、135円台後半から135円台前半へ小幅軟化した。
豪ドル/米ドルは、中国3QGDP発表前までは警戒感からか0.72ドル台前半で軟調に推移していたが、中国GDPが市場予想を上回ると反発、0.7240ドル前後から0.7290ドル程度へ上昇、そして欧州時間入りにかけては0.7307ドルと一時0.73ドル台乗せとなった。もっとも、GDPと同時に発表された中国9月鉱工業生産や固定資産投資は各々前年比+5.7%、年初来で+10.3%と市場予想を下回ったことを受けてNY時間に原油や銅などコモディティ価格が下落したことから、結局0.72ドル台前半へ反落した。
豪ドル/円は、中国GDPの予想比上振れを受けて86円台前半から87円台乗せとなったが、NY時間には86円台半ばへ反落した。
きょうの高慢な偏見:ジャ(パ)ネット・派?
ドル/円は、引き続きレンジだが、ジャネット・イエレンFRB議長が景気判断および利上げ時期判断に際して雇用統計や小売売上高などの最近の弱い経済指標をどの程度重視するかが注目されるが、これまで通り年内利上げ開始の可能性を繰り返すようだと、比較的タカ派と捉えられ、ドルが強含みとなる可能性がある。逆に年内利上げに慎重な姿勢を示すようだとハト派度が強まったとして、ドルが軟化することになるが、いずれの場合でも今後のデータ次第で12月利上げの可能性は残ることから、足許の不透明な状況下でのレンジ推移は続きそうだ。
ユーロ/ドルもイエレン議長がこれまでの年内利上げ開始シナリオを繰り返すかが注目で、実際に繰り返される場合には1.13ドル丁度方向へ軟化する可能性がある。
豪ドル/米ドルも、イエレン議長発言がタカ派的と捉えられる場合には、米ドル高とコモディティ安が同時に豪ドル安圧力となり、0.72ドル割れ方向となりそうだ。なお、RBA議事要旨では特段目新しい情報が出てくるとは予想されない。
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