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◆昨日は、中国株価の引けにかけての大幅下落と原油や銅などコモディティ価格の下落を受けて、南アランド、豪ドル、NZドルなどコモディティ通貨が大きく下落したのが特徴的だった。カナダドルはカナダ中銀の成長率見通し引下げ(政策金利は据え置き)もあって、1%超下落した。
◆この間、ドル/円は小動きだったが、東京時間朝方発表された本邦通関貿易収支が予想外の赤字となったほか、輸出の前年比が僅か+0.6%と前月および市場予想を大きく下回ったことから、追加緩和期待が若干高まり、一時120円乗せへ強含みとなった。
◆本日は、カンリフ英BoE副総裁発言(17:20)、英9月小売売上高(17:30)、ECB定例政策理事会(20:45)・ドラギ総裁記者会見(21:30)、米新規失業保険申請件数(21:30)、カナダ8月小売売上高(21:30)、米9月中古住宅販売件数(23:00)、などが予定されている。
◆最大の注目はECB政策理事会で、今回追加緩和を決定すると予想している向きは少数派とみられることから、年内あるいは来年初の追加緩和の可能性が示唆されるようだとユーロが下落しそうだ。あるいは、そうした結果を見込んでECB理事会に向けてユーロが売られやすくなる可能性がある。他方、追加緩和の必要性が示されない場合には1.14ドル丁度方向へ一時的にユーロ高となりそうだ。
◆ドル/円は引き続き日米材料が少ない中で120円丁度を挟んだレンジが続きそうだ。
昨日までの世界:中国株安がコモディティ通貨下落をもたらす
ドル/円は小動きだったが、東京時間朝方発表された本邦通関貿易収支(季節調整前)が-1145億円と予想外の赤字となったほか、輸出の前年比が僅か+0.6%と前月および市場予想を大きく下回ったことから、月末30日の日銀決定会合を控えて追加緩和期待が若干高まり、一時120円乗せへ強含みとなった。但しNY時間には、米株安と米利回り低下を受けて小幅軟化して引けている。
ユーロ/ドルは、本日のECB政策理事会を控えて1.13ドル台で小動きだったが、欧州時間入り後は追加緩和への警戒感からかドイツ10年債利回りが低下する中でやや軟調に推移した。
ユーロ/円は、東京時間はドル/円と共に136円台前半で強含み推移となったが、欧州時間入り後は再び136円丁度近辺へ反落した。
豪ドル/米ドルは、中国株価が東京時間午後3時頃から大幅下落に転じると、その後の原油や銅などコモディティ価格の下落と共に0.72ドル台後半から0.72ドル台前半へ大幅に下落した。更に、NY時間入り後にカナダ中銀が政策金利は0.5%で据え置いたが同時発表の四半期金融政策報告で実質GDP見通しが引き下げられたことからカナダドルが大幅に下落、豪ドルも小幅つれ安となり0.7203ドルへ続落した。
豪ドル/円も、豪ドル/米ドルとほぼ同様に、87円台前半から86円台半ばへ下落した。
きょうの高慢な偏見:ECB前のユーロ安・ECB後のユーロ高?
ドル/円は、引き続き日米材料が少ない中で120円丁度を挟んだレンジが続きそうだ。昨日の中国、米国に続き本日も株安となる場合には、米利回り低下を通じてドル/円にも下押し圧力がかかる一方、経済指標悪化や株安は日銀追加緩和期待に繋がる面もあり、ドル/円の下値は今のところ限定的となりそうだ。
ユーロ/ドルは、最大の注目はECB政策理事会で、今回追加緩和を決定すると予想している向きは少数派とみられることから、声明文やドラギ総裁記者会見で低インフレや成長に対するリスクが強調され、年内あるいは来年初の追加緩和の可能性が示唆されるようだとユーロが下落しそうだ。あるいは、そうした結果を見込んでECB理事会に向けてユーロが売られやすくなる可能性の方が高そうだ。市場では、今後の追加緩和の方法としては、月間資産購入額(現在600億ユーロ)の拡大よりも、購入期限(現在は16年9月)の延長を予想する向きが多いようだ(ロイター調査より)。他方、追加緩和の必要性が示されない場合には1.14ドル丁度方向へ一時的にユーロ高となる。現在のところECB高官発言は割れており、今回急いで追加緩和を決定する状況にはなさそうで、今回理事会後はユーロ高リスクの方が大きそうだ。
豪ドル/米ドルは、中国株価とコモディティ価格を睨んだ展開となりそうで、どちらかというと続落リスクが大きそうだ。
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