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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
(毎営業日の朝更新)

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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。
(10月26日収録)
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2015年10月28日

もし利上げがあったら?

<ポイント>

◆昨日は、原油安・株安の中で、対円で先週末のドル上昇の反転・反落が続いたことから、円が対主要通貨でほぼ全面高となった。ドル/円は121円丁度前後から、米経済指標の下振れもあって一時120.16円へ下落した。
◆また、原油安の中でカナダドルや豪ドルなどコモディティ通貨の下落が大きかった。
◆本日は、豪3QCPI(9:30)、プレートECB理事発言(18:15)、ヴィスコ・伊中銀総裁発言(18:30)、コンスタンシオECB副総裁発言(23:45)、米下院で予算案に関する採決、米FOMC金融政策決定(29日3:00)、RBNZ金融政策決定(29日5:00)、などが予定されている。
◆中では米FOMCが重要で、基本シナリオは今回利上げ見送り、但し次回12月会合での利上げに向けてややタカ派的な内容になるというものだ。その場合、ドルは対円、ユーロ、豪ドルなどで上昇しそうだ。足許の米経済指標が弱めの中で利上げを行う場合にはかなりのサプライズといえ、発表直後にドルは大幅に上昇しそうだ。他方、年内利上げがなさそうな弱気な内容となる場合にはドルが大きく下落することになりそうだ。この場合、株価や新興国通貨は恩恵を受けそうだ。
◆RBNZについては2.75%で政策金利据え置きがコンセンサスだが、0.25%ポイントの利下げ予想も一部にあり、今後の利下げの可能性が示されなければNZドルは上昇しそうだ。利下げの場合にはサプライズでNZドル売りだが、今後の追加緩和が示唆されない場合にはNZドル売りは限定的となり、むしろ反発が大きくなりそうだ。

昨日までの世界:FOMCを控えて円が全面高

ドル/円は、原油安・株安の中で、対円で先週末のドル上昇の反転・反落が続いたことから、121円丁度前後から、欧州時間にかけて120円台半ばへ軟化した。そして耐久財受注(コア耐久財受注、コア資本財受注などが予想外のマイナスとなり、前月分も下方修正)および消費者信頼感(97.6と前月および市場予想を下回った)などの米経済指標が全般的に市場予想比下振れたこともあって、米中長期債利回りの低下と共に一時120.16円へ続落した。
この間、米議会では与野党議会指導部が11月3日にも資金繰りが枯渇するとされている連邦債務上限引き上げ問題、および12月11日に暫定予算の期限が到来する中で本予算についても合意に達したとの報道が伝わったが、為替市場の反応は殆どみられなかった。

ユーロ/ドルは、1.10ドル台半ばを中心に上下に振れたが方向感のない展開だった。
ユーロ/円は、ドル/円と共に133円台後半からじり安となり、一時132.73円の安値をつけ、9月4日の直近安値である132.23円に迫っている。

豪ドル/米ドルは、アジア時間から原油価格と共に軟調となり、NY時間にかけて0.72ドル台半ばから一時0.7179ドルの安値へ下落した。
豪ドル/円は、米ドル/円と豪ドル/米ドルが共に下落したことから下落が大きくなり、87円台後半から86.48円の安値へ下落した。

きょうの高慢な偏見:もし利上げがあったら?

ドル/円は、米FOMC結果が焦点となる(シナリオ別の予想は下表を参照)。基本シナリオは今回利上げ見送り、但し次回12月会合での利上げに向けてややタカ派的な内容になるというものだ。その場合、ドル/円は再び121円台乗せとなりそうだ。足許、米経済指標が弱めとなっている中で、利上げを行う場合にはかなりのサプライズといえ、発表直後に8月末以降のレンジ上限である121円台後半へ大幅に上昇する可能性がある。そうした過剰反応を抑制するには、FOMCメンバーのFF金利予想を示して前回9月公表時から下方修正し、利上げペースが非常にゆっくりとしたものになることを示すのが効果的だが、今回は経済予測が公表されず、記者会見だけでは不十分となりそうだ。こうした点を考慮すると今回利上げの可能性は非常に低そうにみえる。他方、足許の米経済指標の弱さや海外景気・市場動向の不透明感が強調され年内利上げ開始姿勢がはっきりしない弱気な内容となる場合には、ドル/円は119円台半ばへ下落する展開となりそうだ。但しこの場合、株価や新興国通貨が恩恵を受けて上昇しそうで、ドル/円はそうした環境である程度下支えされるかもしれない。

ユーロ/ドルはECB高官発言に加えて米FOMC結果が注目となる。次回12月3日のECB政策理事会で何らかの追加緩和措置が取られるのは大前提となっていることから、追加緩和の具体策に焦点が移る。利下げと資産購入期限延長の合わせ技という満額回答を下回る場合にはユーロが反発しそうだ。FOMCに関してはドル/円と同様で、利上げ見送り+タカ派声明文の場合には再び1.10ドル割れへ下落となりそうだ。サプライズ利上げの場合には1.09ドル割れへの一時的急落もありそうだが、可能性は非常に低い。年内利上げなしのハト派声明文の場合には、1.12ドル方向へ反発となりそうだ。

豪ドル/米ドルも米FOMC結果次第の動きとなるが、ドル/円やユーロ/ドルと比べて動きが小さくなりそうだ。利上げ見送り+タカ派声明文の場合には0.71ドル台半ばへの下落となりそうだ。サプライズ利上げの場合には0.71ドル割れまでの一時的急落もありそうだが、可能性は非常に低い。年内利上げなしのハト派声明文の場合には、0.73ドル方向へ反発となりそうだ。

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