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山本雅文「FX戦略ウィークリー」

シニア・ストラテジスト 山本雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行きの見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。

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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。

2015年09月11日

日米据え置きでドル/円下落?

今週の特徴:運命の逆転
今週は、円ブームは続かず、ドル/円、ユーロ/ドル、豪ドル/米ドルともに、先週の下落がほぼ反転する展開となり、結果として円が全面安となったのが特徴的だった。ドル/円は、8日に中国株価が大きく上昇すると120円台を回復、10日には山本議員発言を受けて日銀追加緩和期待が高まり、121円台に乗せる局面も見られた。豪ドル/米ドルも、8日の中国株価上昇を受けて0.70ドル台を回復した後、10日かけては原油安やニュージーランドの利下げにつれ安となり0.70ドルを再び割り込む局面も見られたが、10日には豪雇用統計の予想比上振れや原油価格の反発を受けて0.71ドル丁度へ大幅反発している。

来週の見通し:日米据え置きでドル/円下落?
来週は、16-17日開催の米FOMC結果が最大の焦点となる。市場では今回利上げ強行と利上げ見送りで見方が分かれている模様で、いずれの場合にも大きな反応が出そうだ。筆者は12月まで先送りの可能性が高いと見ているが、利上げが強行されればドルが全般的に上昇しそうだが、世界金融市場が不安定な中で利上げが強行されるとリスク回避に繋がりドル/円の上昇は限定的となる一方、豪ドルなどコモディティ通貨やブラジルレアルなど新興国通貨の対ドルでの下落が大きくなりそうだ。他方、見送りの場合は一旦米ドル安の反応となり、株価やコモディティが反発するようだと豪ドルなどが対米ドルで上昇しそうだが、米利上げはいずれ行われるため、今回見送りでも米ドル安は限定的となりそうだ(FOMCに対する反応については11日付投資戦略テーマ「FOMC:リフトオフ対リスクオフ」を参照)。但しドル/円は、追加緩和期待が高まっている日銀も据え置きとなると、ドル/円の下落は大きくなりそうだ。

1.ドル/円

来週のドル/円は、16-17日開催の米FOMC結果が最大の焦点で、その前に発表される米小売売上高(15日)や米コアCPI(16日)の結果を受けて利上げ確率の織り込みが多少振れそうだ。利上げが強行されればドル/円も122円方向へ上昇する可能性があるが、世界的に金融市場が不安定な中での利上げ強行で株安・コモディティ安などのリスク回避に繋がる場合には、上昇が限定的となりそうだ。他方、見送りの場合は一旦米ドル安の反応となり、120円割れもありそうだが、米利上げはいずれ行われるため、今回見送りでも米ドル安は限定的となりそうだ。
なお、15日には日銀金融政策決定会合も予定されている。本邦2QGDPがマイナス成長となり株安・円高の状況で、今週は安倍首相に近い山本議員から追加緩和の必要性を示唆する発言もあってにわかに追加緩和期待が高まっている。もっとも、日銀は今のところ3Qにはプラス成長を予想しており、まだその可能性が残っていることから、今回は追加緩和は見送りとなりそうだ。このため、発表後には円が反発する可能性が高い。FOMCも利上げ見送りとなると、119円丁度方向へのドル安円高もありそうだ。

2.ユーロ

来週のユーロ/ドルは、ユーロ圏の重要材料が15日のドイツZEW期待指数しかない中で、米FOMCを受けたドルの動きに左右されそうだ。利上げが見送られた場合には更なる上昇圧力がかかるが、ECBの追加緩和期待が燻る中で上昇余地は限定的となる一方、利上げ強行の際の下落方向の動きは大きくなりそうだ。

3.豪ドル

来週の豪ドル/米ドルも、米FOMCを受けた米ドルおよび市場のリスク回避傾向の動きを受け、上下の振れが大きくなりそうだ。利上げ見送りの場合には、米ドル安に加えてリスク回避傾向の後退からコモディティ価格が反発する可能性もあり、豪ドルは上昇しやすい。他方、利上げ強行の場合には、米ドル高と不安定な市場への悪影響からくるリスク回避傾向とコモディティ価格下落が、豪ドルを押し下げやすそうだ。但しどちらかというと、利上げ見送りでコモディティ価格が上昇するとしても、コモディティ価格の長期的な下落基調に変化はなく、上昇方向の方が限定的となりそうだ。
なお、豪ドル関連では週末13日に中国主要経済指標(小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資)、15日にRBA議事要旨、16日にDebelle・RBA総裁補発言、17日にニュージーランド2QGDPそして18日にはStevens・RBA総裁発言が予定され、いずれも米FOMCと比較すると市場の注目度は低そうだが、中では中国主要経済指標結果が重要で、予想を大きく下振れた場合には、中国景気減速懸念の強まりと、中国当局の政策期待の高まりのどちらが強く出るかで、豪ドルは影響を受けそうだ。

(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)

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