マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー 益嶋 裕が様々な角度から焦点をあてて日本企業を紹介していきます。
資金の逃避先として検討できる銘柄(2)サービス業
企業業績の下方修正 + センチメントの悪化で大幅下落
株価の大幅下落が続いています。本日(2月10日)日経平均が一時1万5500円を割り込む水準まで下落しました。
株価下落の要因は何なのでしょうか。1つには原油価格の下落が信用危機につながるのではないかとの不安が挙げられます。8日の米国市場でチェサピーク・エナジー(CHK)が債務再編のために法律事務所を雇ったと報じられ、同社の株価は一時前日比50%以上下落しました。エネルギー関連企業の連鎖倒産が起きれば金融機関に大量の不良債権を発生させ、第2のリーマン・ショックが起きる可能性を否定できない、市場はそこまで怖れているような極端な下げとなっています。
また、外需企業を中心に、日本企業の業績下方修正が進んでいます。日経平均の予想1株利益(EPS)は日経平均が2万円を回復した12月1日時点では1,273円ありました。そこから決算発表で下方修正が相次ぎ、足元では1,136円まで低下しています。株価は予想EPS×PERで計算できますので、同じPER15倍を当てはめたとしても、
12月:1,273円×15倍=19,095円
現在:1,136円×15倍=17,040円
と、今期の業績予想ベースで約2,000円適正株価が低下したことになります。
今後本当に経済危機が起きるのか、また企業業績の下方修正が続くのかはわかりませんが、今後それらのリスクシナリオが起きた場合への備えをしておくことは非常に大切です。もちろん備えとして、現金比率を高めるというのが最も安全な方法です。現金比率を高めつつ、外的ショックが起きても業績への影響が比較的軽微にとどまるであろう銘柄を探しておくのが有効な方法ではないかと思われます。
そこで本日の銘柄フォーカスでは、「資金の逃避先として検討できる銘柄(2)」として、先日ご紹介した小売業に続いて、「サービス業」をご紹介します。この業種は、日本国内で収益を稼いでいる企業が多いことから外的ショックに相対的に強いと言えます。
資金の逃避先として検討できる銘柄(2)サービス業
サービス業で、本業の業績がしっかりと成長していて利益率が高く、かつ財務面が健全で安心度が高く、さらに株価に割高感のない銘柄をピックアップしました。
具体的な選定条件は以下のとおりです。
<選定条件>
・業種分類がサービス業
・過去5期の通期業績がいずれも営業増益
・過去5期の通期営業利益率が平均10%以上
・直近の通期業績発表時の自己資本比率が60%以上
・今期の会社予想の純利益が赤字の企業を除く
・2月10日時点の予想PERが20倍以下
<資金の逃避先として検討できる銘柄(2)サービス業>
注
・予想1株当たり配当は会社発表値を利用
・予想配当利回りは(予想1株当たり配当÷2月10日終値)で計算
・予想PERは2月10日時点のQUICKデータを利用
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。