マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー 益嶋 裕が様々な角度から焦点をあてて日本企業を紹介していきます。
シンプルに考える。好業績の出遅れ銘柄は?
日経平均は15連騰へ
このレポートを書いている時点(10月23日前引け)で日経平均は200円高の2万1658円と、史上初の15連騰を達成する可能性が非常に高そうだ。元々日本企業の業績は非常に好調で、今期は史上最高益を更新する見込みとなっている。また、足元のドル円は114円近辺と日本企業の想定レートに比べると円安水準にあり、業績の上方修正期待も高まっている。このようにファンダメンタルズ面で上昇の条件が整っていたところに、安倍総理が解散総選挙に踏み切り、与党の勝利が予想されて今後もアベノミクスの継続可能性が高まった。それが足元の株高の背景と言えよう。今後の株価のシナリオについてはチーフ・ストラテジストの広木隆がレポートで記しているのでぜひご参照頂きたい。
本日の銘柄フォーカスでは、「業績と株価は中長期的にリンクする」という原則に立ち返り、非常にシンプルに「好業績の出遅れ銘柄」を紹介したい。具体的には以下の条件でスクリーニングを行った。
好業績の出遅れ銘柄のスクリーニング条件
・東証1部上場
・2016年末と10月20日の終値を比較した株価のリターンがTOPIXを下回っている
・過去3期の売上高がいずれも前期比で増収、営業利益が前期比で増益
・今期の予想売上高も前期比で増収、予想営業利益も前期比で増益見込み
・予想PERが東証1部の平均(16.54倍)を下回っている
以上の条件でスクリーニングしたところ、表1に示した18銘柄がピックアップされた。
ワイエイシイホールディングス(6298)、エービーシー・マート(2670)、ユニゾホールディングス(3258)、フジ・コーポレーション(7605)、ソースネクスト(4344)、共立メンテナンス(9616)、アイチコーポレーション(6345)、新日本建設(1879)、プレサンスコーポレーション(3254)、システムリサーチ(3771)、オリックス(8591)、ハローズ(2742)、学究社(9769)、スターゼン(8043)、オオバ(9765)、ステップ(9795)、エレコム(6750)、日本BS放送(9414)の18銘柄である。
特に注目の5銘柄の特徴や業績は
以上の18銘柄の中から、筆者が特に注目している銘柄の特徴や業績をお伝えしたい。
エービーシー・マート(2670)
靴小売の最大手。スニーカーブームが一段落したことや値上げが大きすぎて客数の伸び悩みが目立っていた印象だが、6-8月は既存店売上高が回復し9月も前年比2.9%の増収だった。シェアナンバーワンの強みがある銘柄にしては株価は売られすぎの可能性があるとみる。
ユニゾホールディングス(3258)
東京を中心にオフィスビルを展開。また、ビジネスホテルも積極的に開業している。4-6月期の業績も非常に好調だったが、過去の増資による需給悪化が株価で遅れの大きな原因になっているとみる。インバウンド拡大の恩恵も受けやすい銘柄で、中長期的な株価上昇を期待。
共立メンテナンス(9616)
寮とホテルの運営が主力。ビジネスホテルやリゾートホテルの開業を精力的に続けている。8月の月次売上はホテル事業が前年同月比15%増と順調に拡大中。今後も中長期的にインバウンド拡大の恩恵を受けるとみられ業績拡大を有望視している。
プレサンスコーポレーション(3254)
関西を中心に投資用や住宅向けのマンションを販売。販売力が非常に高く、高利益率で順調に業績拡大を続けている。リスクの高い業態ではあるが、株価に割高感なく投資妙味ありか。
オリックス(8591)
法人向けの金融サービス、不動産、投資、自動車関連事業など様々な事業を多角的に展開。リーマン・ショック後も赤字転落せず、景気回復後は成長軌道を続けている。予想PER8倍台、配当利回りも3%弱とバリュエーション面で割高感はない。
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