毎月世界有数の運用会社であるシュローダーのマルチアセット運用チームによる各金融市場の月次見通しをお届けしています。お客様の投資戦略の策定にぜひお役立てください。
今月のポイント
企業業績の下方修正懸念がくすぶるなかで、株式市場への見通しを中立へと引き下げています。 一方、これまでの株価調整をうけ、バリュエーションの魅力度が高まっている新興国株式についてはやや強気を維持しています。
資産クラスの見通し
株式 | 国債 | 社債 | コモディティ (商品先物) |
---|---|---|---|
企業業績の下方修正懸念がくすぶっていることから、当面はモメンタム(相場の勢い)が弱含む可能性があるため、見通しを中立へと引き下げています。一方で、中長期的な観点からは、良好な投資機会が見られると考えます。 |
2018年10月以降、国債の利回りは総じて低下してきました。一方、今後世界的に景気減速が見込まれるならば、国債にとっては支援材料になると考えられることから、見通しを中立へと引き上げています。 |
一部の社債については、スプレッド(利回り格差)が拡大しており、選別的な投資機会が生じていると考えています。しかしながら、企業のレバレッジ(債務)の上昇が懸念されることから、やや弱気の見通しを継続します。 |
世界的に景気の先行き不透明感が重しとなっています。また、米中貿易摩擦問題に大幅な改善が見込まれないことから、コモディティ価格の上昇余地は限定的と考え、見通しを中立へと引き下げています。 |
見通しの表示:++強気、+やや強気、0中立、-やや弱気、--弱気
矢印:対前月での見通しの引き上げ/引き下げを示します。
資産クラス、分類(地域、通貨)毎の見通し
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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株式 | 米国 | 市場は米国景気の減速懸念を織り込み始めており、不安定な展開が続くと想定されます。バリュエーション(価値評価)は改善しているものの、今後業績予想の下方修正も想定されることから、見通しを中立へと引き下げています。 |
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欧州 | 主要国と比較した欧州域内企業の業績の下振れ傾向が、市場予想以上に鮮明化していることに加え、経済指標も弱含んでいるため、見通しをやや弱気へと引き下げています。 |
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日本 | 米国景気の減速懸念や円高の進行が、日本からの輸出に逆風となると考えられ、企業業績への影響が懸念されます。また、国内経済についても、足元、景気に対する前向きな材料が低減しており、見通し中立へと引き下げています。 |
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アジア太平洋 (除く日本) |
世界貿易への依存度が高い同地域は、米中貿易摩擦の影響が懸念される一方、一部地域においては、アジアの域内貿易の進展が促される可能性があるとみています。 |
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新興国 | これまでの株価調整をうけ、バリュエーションの魅力度が高まっていると判断されます。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを見送った場合、米ドルの上昇余地が限定的となることも追い風になると考えられます。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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国債 | 米国 | 景気減速懸念等を背景に、昨年10月以降は米国債の金利が低下しており、割高感があるとみています。短期的には買われ過ぎと判断される一方、債券金利が上昇(価格は下落)した局面では投資妙味が高まると考えています。 |
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欧州 (ドイツ国債) |
バリュエーションは割高な水準にあると判断しています。また、足元予想を下回る経済指標が散見される中、欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めへの実現可能性が疑問視されます。 |
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新興国 (米ドル建て) |
スプレッド(利回り格差)の拡大が進む中、一部の高クオリティの新興国社債については投資妙味があると判断されるため、選別的な投資が有効と考えます。 |
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新興国 (現地通貨建て) |
バリュエーションが改善しているものの、景気リスクが散見されることから動向を注視しつつ、見通しを中立で維持しています。見通しの引き上げには、もう一段の不透明感の払しょくが待たれます。 |
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インフレ連動債 | 割安感が高まっていると判断されるほか、米国での物価上昇要因が散見されることから、見通しを再びやや強気へと引き上げています。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
---|---|---|---|---|
投資適格 社債 |
米国 | 一部の企業では、資金調達コストの上昇が収益を圧迫する要因となっていることや、米国投資適格社債全般のクオリティ低下に伴う脆弱性も懸念されることから、やや弱気の見通しを維持しています。 |
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欧州 | 欧州社債は割安な水準にあると判断されますが、一方で欧州政治情勢への懸念が払しょくされない点は注視の必要があると考えます。従って、慎重な見通しを維持しています。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
---|---|---|---|---|
ハイイールド 社債 |
米国 | クレジットサイクル後期にあることや、米国ハイイールド市場の需給悪化を背景に、スプレッド(利回り格差)の更なる拡大が懸念されるため、見通しをやや弱気で維持します。 |
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欧州 | デュレーションおよび格付けが同水準の社債を比較すると、欧州のハイイールド社債は、米国ハイイールド社債に対して、アンダーパフォームする可能性が高いと判断しています。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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コモディティ (商品先物) |
エネルギー | 需給バランスの改善を背景に原油価格は下げ止まっており、今後適正な水準で推移すると見込まれます。 |
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金 | 米国とその他主要国の景気格差が収束に向かうことで米ドル高が押さえられ、金価格を下支えすると考えています。また、金融市場の変動性が上昇した場合には、逃避資産として選好が強まるとみています。 |
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産業用金属 | 中国の経済成長指標の弱含みや、シャドーバンキング(影の銀行)による資金調達の縮小が、産業用金属への需要見通しを押し下げる要因となっています。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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通貨 | 米ドル | 米国景気は減速する一方、世界経済は安定成長が持続するとみられることから、これまでの米ドル高が変調し、通貨安圧力が掛かる可能性があると考えます。従って、見通しを中立で維持しています。 |
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ユーロ | 米国景気が減速する中、米ドルには通貨安圧力が掛かる可能性があり、通貨ユーロに対する為替市場のセンチメントも落ち着きを取り戻すと想定されます。 |
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日本円 | 主要先進国(G10)の通貨では、最も割安感があると判断されます。また、世界経済の成長に対する期待値が剥落した場合、逃避資産としての日本円が選好されると考えられます。 |
出所:シュローダー。社債に関する見通しは信用スプレッド(デュレーション・ヘッジを前提)の動きに基づくものです。ユーロと日本円は対米ドルの見通しとなります。
本レポートは2019年1月上旬に英語で作成されたものを1月下旬に日本語に翻訳しています。
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