毎月世界有数の運用会社であるシュローダーのマルチアセット運用チームによる各金融市場の月次見通しをお届けしています。お客様の投資戦略の策定にぜひお役立てください。
今月のポイント
株式に関しては、FRBがこれまでのタカ派的な政策スタンスからハト派なスタンスへの変更を示唆したことから、地合いの改善が見られると考えています。投資適格債券に関しては、欧州社債は割安な水準にあり、短期的に投資妙味があると判断しています。
資産クラスの見通し
株式 | 国債 | 社債 | コモディティ (商品先物) |
---|---|---|---|
米連邦準備制度理事会(FRB)がこれまでの政策スタンスに比してハト派的なスタンスを示したことから、地合いの改善がみられます。但し、当面変動性の高い展開となることも想定しています。 |
バリュエーション(価値評価)の観点では、依然として割高な水準にあると考えていますが、足元で見られる景気減速懸念が国債市場の支援材料になると考えられます。 |
年初より幅広い社債市場の上昇が続いています。一方、企業のレバレッジ(債務)上昇などについては、注視する必要があると考えています。 |
世界的に景気の先行き不透明感が重しとなっています。その中、商品によって爬行色があり、金は、金利の低下が追い風になるとみられる一方、エネルギーは値動きの荒い展開になると予想します。 |
見通しの表示:++強気、+やや強気、0中立、-やや弱気、--弱気
矢印:対前月での見通しの引き上げ/引き下げを示します。
資産クラス、分類(地域、通貨)毎の見通し
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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株式 | 米国 | FRBがハト派姿勢を強めたことで、来年にかけて米国が景気後退局面に陥るとの市場の懸念が低下、投資家のセンチメント(市場心理)が改善するとみています。一方、企業業績見通しの下方修正リスクは依然として残っており、注視が必要と考えます。 |
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欧州 | 主要国の株式と比較して、バリュエーションの観点での割安感がありますが、政治情勢や景気減速懸念など欧州地域が抱える様々な課題の行方を注視する方針です。 |
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日本 | バリュエーションの改善や景気の安定化がみられるものの、主要先進国株式に対して出遅れ感があると考えます。今後は、海外投資家の日本株式に対する選好の回復度合いを見極める必要があると考えます。 |
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アジア太平洋 (除く日本) |
貿易依存度が高い同地域は、米中貿易摩擦問題に対する懸念が払拭されることが株式市場の押し上げ要因となると考えられます。一方、同地域の一部の諸国でみられる住宅市場の調整と、その経済へ及ぼす影響が懸念されます。 |
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新興国 | 2018年の株価調整をうけて、バリュエーションは2015年の水準まで低下しています。また、米国の利上げ見送りや中国の景気刺激策などが下支えするとみられます。しかしながら、投資家の選好が回復するには、米中貿易摩擦の解決が待たれます。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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国債 | 米国 | FRBによるハト派的な姿勢を織り込んだことで利回りは低下(価格は上昇)したため、概ね均衡水準にあるとみています。 |
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欧州 (ドイツ国債) |
主要経済指標の弱含みが続いている欧州地域ではリセッション(景気後退)への警戒感高まっており、ドイツの経済が下振れする可能性も浮上しています。 |
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新興国 (米ドル建て) |
2018年末に大幅調整したものの、その後の緩和的な金融政策の広がりを追い風に、同市場は反発をみせており、当面は堅調に推移すると見込まれます。 |
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新興国 (現地通貨建て) |
米ドル高の進行や資金流出など、これまでの新興国市場の押し下げ材料に改善がみられます。ただし、バリュエーションの観点では、過去の平均水準まで戻していると判断されます。 |
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インフレ連動債 | 割安感が高まっていると判断され、米国での物価上昇要因が残存しているとみていることから、見通しをやや強気で維持しています。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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投資適格 社債 |
米国 | スプレッド(上乗せ金利)は、過度に拡大した過去の水準(2011年や2016年)には至っていません。また、米国投資適格社債全般のクオリティ低下も懸念されることから、やや弱気の見通しを維持しています。 |
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欧州 | 欧州社債は、割安な水準にあり、短期的に投資妙味があると判断しています。引き続き、欧州地域が抱える様々な課題の行方を注視する必要があります。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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ハイイールド 社債 |
米国 | 過去の水準と比較して、割高感があると考えています。当面は、高い水準のインタレスト・カバレッジ(企業の利払い能力)が米国ハイイールド社債の下支え材料となると考えています。 |
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欧州 | 欧州のハイイールド社債への資金流入がみられるものの、長期的な回復と判断するには時期尚早と捉えています。経済指標の安定化や政治情勢の改善が顕在化することが必要と考えます。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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コモディティ (商品先物) |
エネルギー | 2019年の原油市場は、需給バランスの改善に伴い概ね均衡状態が継続すると見込まれますが、ボラティリティ(変動性)の上昇には注意を払う必要があります。 |
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金 | 金価格は、足もとの株式市場の回復に関わらず上昇基調が続いています。引き続き、FRBによるハト派的姿勢や米ドルの弱含みが、金価格を下支えすると考えています。 |
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産業用金属 | 中国当局が、更なる大規模な景気刺激策を打ち出さない限り、産業用金属市場の上昇余地は限定的と考えています。 |
資産クラス | 分類 | 見通し | ||
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通貨 | 米ドル | 引き続き中立とみています。米国を含む世界の景気減速を背景にFRBは利上げサイクルを中断しており、流動性は若干緩和されています。 |
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ユーロ | FRBがハト派姿勢を強め、欧州中央銀行(ECB)も欧州景気の減速懸念を背景にタカ派姿勢を弱めたことから、通貨ユーロはレンジ内で推移するとみこまれます。 |
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日本円 | 日本円は、世界景気の減速時に選好され、有効なヘッジ手段となると考えています。米国景気が減速した場合、米国債利回りが低下し、日本円の押し上げ要因となると想定されます。 |
出所:シュローダー。社債に関する見通しは信用スプレッド(デュレーション・ヘッジを前提)の動きに基づくものです。ユーロと日本円は対米ドルの見通しとなります。
本レポートは2019年2月上旬に英語で作成されたものを2月下旬に日本語に翻訳しています。
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