6つの基本法則やチャートを使った分析方法を解説
FX初心者の人は、ダウ理論と聞いてもあまり聞き馴染みがないかもしれません。
しかし、ダウ理論を理解することで、FXでの相場予測やエントリーポイントの判断に役立ちます。この記事では、ダウ理論の概要から基本法則、チャートを使った分析方法を紹介します。
ダウ理論とは?
TOPICS #01
ダウ理論とは、チャールズ・ダウ氏が米国のウォールストリートジャーナルで発表した相場観測法をもとに考案された理論です。
ダウ氏は、株価がすべての情報を反映し、価格の動きが波のように推移することや、相場には3つの段階があること、また工業株と運輸株が連動することを指摘しました。彼の死後、これらの考えが後継者たちによって整理され、「ダウ理論」として確立されました。
もともとは株式市場(株価指数)で使われていた手法ですが、FX市場などのあらゆる市場でも応用され、100年以上受け継がれています。いわば、テクニカル分析の原点といっても過言ではないでしょう。
基本的な考え方としては「市場の動向(トレンド)を理解し、これに基づいて取引を行う」ことが根幹にあります。相場の値動きは「6つの基本法則」で読み解きます。
ダウ理論を学ぶ前に、FXの概要や魅力について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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ダウ理論の6つの基本法則
TOPICS #02
まずは、ダウ理論の6つの基本法則について順に説明します。
平均価格は全ての事象を織り込む
「平均価格は全ての事象を織り込む」とは、チャートが通貨ペアの売買結果やファンダメンタルズ要因を反映していることを意味します。ファンダメンタルズとは、国や企業などの経済状況を示す指標のこと。経済成長率や、物価上昇率、失業率などがファンダメンタルズに分類されます。
ダウ理論では、地震などの災害や戦争といった予測できない事象であっても、その価格変動は平均価格に織り込まれていると考えます。 値動きを予測するためには、すべての要因が反映されたチャートを分析することが重要である、という見方ができます。これがダウ理論の考え方の一部です。
01
トレンドは3つのタイプがある
トレンドには、以下の3つのタイプがあります。
- プライマリー・トレンド(主要(長期)トレンド): 日足以上のローソク足を用いてトレンドの方向性を分析することができ、数ヶ月から数年の長期的な動きのことを指します。数週間から数年で取引を完了させるポジショントレードの分析で有効性を発揮します。
- セカンダリー・トレンド(中期トレンド): 1時間足~4時間足を用いてトレンドの方向性を分析することができ、プライマリー・トレンド(長期トレンド)の中で1ヶ月から数ヶ月の範囲で起こる動きのことを指します。数日から数週間で取引が完了するスイングトレードの分析で、有効性を発揮します。
- マイナー・トレンド(短期トレンド): 1分足~30分足を用いてトレンドの方向性を分析することができ、数日から数週間にわたる短期的(3週間未満)の動きのことを指します。数秒から数分で取引を完了させるスキャルピングトレード、その日のうちに取引を完了させるデイトレードの分析で有効性を発揮します。
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主要トレンドは3つの段階がある

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第一段階「先行期」
先行型のトレーダーが底値で買い(もしくは天井で売り)ポジションを持つことで、レートに緩やかな変動が見られる時期です。いわばトレンドの初期のことなので、先行期にポジションを持って予想どおりの値動きをすれば大きな利益につながる可能性があります。 -
第二段階「追随期」
先行型トレーダーの動きを見て多くのトレーダーが追随し、急激にレートが動く時期です。トレンドが発生したのを見てエントリーをするので、先行期よりはリスクが低いといわれています。 -
第三段階「利食い期」
第一段階で買った先行型のトレーダーが、利食いを行うといわれている時期です。トレンドの終焉期ともいわれているので、ここで順張りのエントリーをするのは利益幅が小さい可能性もあるので注意が必要です。
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平均は相互に確認される
「平均は相互に確認される」とは、トレンドを素早く、かつ高精度で捉えるためには複数の銘柄で同じトレンドが発生しているのかを、確認する必要があることを示しています。
FXの市場では、「米ドル/円・人民元/円」などで同じような動きが見られる傾向にあります。ダウ理論に基づいて人民元/円の分析を行うとすれば、米ドル/円のトレンドも確認する必要があるということです。
自分が取引したい通貨ペアがどの通貨ペアと相関性があるのかを知っておくと、トレンドの把握に役立つ可能性が高いといえるでしょう。
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トレンドは出来高でも確認できる
トレンドは出来高を伴っていなければ、だましの可能性があることを意味します。
出来高とは、ある一定期間中に売買された数量のことです。
仮に、上昇トレンドが発生していたとします。出来高は価格の上昇に伴って増える傾向があるため、出来高に注目することでトレンドが継続するのか、そのトレンドは強いのか否かを判断する材料にできます。なお、調整(トレンドの本流に逆行する動きのこと)の局面では出来高が少なくなる傾向があります。
もし、価格が上昇しているのに出来高が少ない場合は、トレンド転換の可能性があると分析することができます。
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明確な転換シグナルがあるまで続ける
上昇トレンドから下降トレンドに転換するとき・下降トレンドから上昇トレンドに転換するときには、いずれも明確なシグナルが出るといわれています。
直近の高値と安値が前回の高値・安値を切り上げ続ける上昇トレンド、直近の高値と安値が前回の高値・安値を切り下げ続ける下降トレンドは、一度始まるとその動きが継続する傾向にあると考えられています。
そのトレンドは明確なシグナルが出現するまで続くと考えられています。たとえば、そのシグナルとは「上昇トレンドで高値を更新せず、直近の安値が前回の安値を切り下げた」、「下降トレンドで安値を更新せず、直近の高値が前回の高値を切り上げた」などといった内容です。つまり、トレンドの定義である高値・安値の切り上げ(または切り下げ)の形が崩れたときが、転換のシグナルといえるのです。
順張り手法は、この法則の優位性を狙うものです。
以下は上昇トレンドから下降トレンドに転換したと判断するケースです。

上昇トレンドから下降トレンドへの転換
最高値を付けたあと、安値③を下回り、下落に転じています。
ダウ理論で上昇トレンドと定義するには、高値と安値が切り上げ続けることが条件となっていますが、安値③を下回ると、その条件が崩れることになるので、上昇トレンドが終焉し、新たなトレンドが始まる可能性を示唆します。
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FXでダウ理論を用いるメリット
TOPICS #03
ダウ理論は、現在のトレンドの把握や、トレンドの転換を読んで大きな値幅を狙った取引ができるのがメリットです。次にメリットについて、詳しく説明します。
FX初心者との相性が良い
FXでダウ理論を用いるメリットに、FX初心者との相性の良さが挙げられます。
FXの相場はレンジ相場かトレンド相場の2種類で構成されています。FXのトレードでは、レンジ相場で勝ち続けるのは難しいともいわれており、一般的にはトレンド相場の方が利益を出しやすいといわれています。一定方向にレートが動くトレンド相場は、エントリーのチャンスを狙いやすく、利食いでも大きな値幅が取りやすいといえるでしょう。
ダウ理論は、特にトレンドが発生しているかを判断する材料として優れているため、トレードに役立てやすいことから初心者との相性は良いといえるでしょう。
01
トレードの予測が立てやすい
また、ダウ理論を用いることで相場の流れを予測することが可能です。
たとえば、下降トレンドが発生していた局面で、直近の高値・安値が前回の高値・安値を切り上げていたら、下降トレンドの終焉でトレンド転換の可能性があると判断できます。
予測を立てられるようになると、上記の局面で売りポジションを持っていれば決済することも、トレンド転換を狙って買いポジションを持つ準備もできます。
このように、トレードのエントリーポイント、決済(利食いと損切り)のシナリオを立てるのにダウ理論は役立つのです。
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他のテクニカル分析と組み合わせると効果的
ダウ理論はトレンドを見極めることを得意とした分析方法です。
ダウ理論でのだましを回避するために、他のテクニカル指標を上手に組み合わせると分析の精度が高まります。
過去の値動きから将来の値動きを予測するテクニカル分析の代表格ともいえる指標、移動平均線やボリンジャーバンドなどをセットにして分析する考え方を検討すると良いでしょう。
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長期的な視点が持てる
利益をだしていくためには長期的な視野を持つ癖を身につけることも大切です。
市場では、短期トレンド<中期トレンド<主要(長期)トレンドの順で相場に与える影響力が大きくなります。ダウ理論では、トレンドは短期で3週間未満、長期で1年から数年と長めに見る分析が基本なので、長期トレンドの影響力を意識することで常に長期的な視点を意識できるようになります。
中期・短期トレードに集中していると長期トレンドがおざなりになったり、忘れてしまったりすることがありますが、長期トレンドの分析をしっかり行うようにしましょう。
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FXでのダウ理論の活用方法
TOPICS #04
ダウ理論の基礎とメリットなどがわかったところで、その活用術を説明します。
大まかな相場の流れを知る
安定した取引をするには、相場の大まかな流れを把握し、自分なりの戦略を立てることが必須条件です。
ダウ理論を用いることで、レンジ相場かトレンド相場か、相場の流れを分析することができます。
トレンドの発生・終焉がわかれば、トレンド中は順張り、そして終焉で逆張りをしてトレンド転換を待つといった戦略を立てられます。
01
トレンドの転換を理解する
トレンドの転換期が分かればトレードのシナリオが立てやすくなります。
トレンドは、高値・安値が切り上げ、または切り下げている状態が続いていることを指します。トレンド転換はそれらが崩れた状態で、そのタイミングを私たちに教えてくれるものがシグナルと呼ばれています。
相場でトレンド転換のシグナルを見つけたら、底値でエントリーし、天井で利食いすることも可能となってくるため、大きな値幅を狙ったトレードを実現しやすくなります。
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FXでダウ理論を用いる際の注意点
TOPICS #05
ダウ理論を用いるうえでメリットだけではなく、デメリットや注意点も把握しておきましょう。
ダウ理論は絶対的な指標ではない
投資において絶対的な手法がないように、ダウ理論を用いてトレードを行ったからといって絶対に利益をだせるわけではありません。
ダウ理論は主にトレンドの有無を見極めるもので、レンジ相場には不向きといわれています。そのため、レンジ相場では、RSI(相対力指数)などのオシレーターを活用するのがよいでしょう。
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売買シグナルの発生が遅いときがある
ダウ理論に基づいたトレンド判断は、高値・安値の切り上げ(または切り下げ)を確認してからです。ここで「トレンドが発生している」ことを確認できるのですが、これは言い換えれば後追いの判断ということになります。そのため、エントリーしたあとに価格が逆行してしまう可能性もあります。
ダウ理論のほかにもファンダメンタルズ分析を併用して、トレードの精度を高めると良いでしょう。判断材料が増えることで、エントリーが迅速になり、大きな値幅を狙える可能性があります。
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完全にだましを回避するのは難しい
トレーダーが一度はひっかかる「だまし」。これは、チャート分析で予想通りにレートが動かない現象のことを指します。
ダウ理論はテクニカルの基礎であるがゆえに、多くのトレーダーが意識する手法です。そのため、予測に基づいた取引が集中して一時的に相場が動いたり、機関投資家や大口トレーダーの取引が一時的に相場を動かしたり、ダウ理論の予測とは異なる動きを引き起こすことがあります。
ダウ理論でもだましの発生があることを考慮して、トレードを行うようにしましょう。
03
ダウ理論を用いたトレード方法
TOPICS #06
初心者は、まずは大きなトレンドが発生していることを確認し、順張りしてエントリーする手法が向いているといえるでしょう。
利益確定はトレンド三段階中の、第三段階にあたる利食い期に行うと良いでしょう。
一方で上昇トレンドの損切りについては、直近の安値が前回の安値を下回ったタイミングで、下降トレンドは直近の高値が前回の高値を上回ったタイミングで行うと、リスクを限定的にできる可能性があります。
ダウ理論を活用したチャート分析方法
TOPICS #07
ダウ理論の6つの基本法則を体得したら、過去のチャートを基にして検証を行ってみましょう。
ダウ理論では、「トレンドは一度始まると、はっきりとしたシグナルが現れるまで続く」という概念が特に重視されています。
チャートを詳しく分析することで、トレンドの転換点を見極めることができ、より正確な値動きを予測できるようになります。
特に、トレンドの初期段階を捉えるための手掛かりとして、シグナルが重要な役割を果たします。このアプローチを用いることで、トレーダーは市場の方向性を見極め、取引の判断精度を高めることができるでしょう。
ただし、トレンドの転換期には、その値動きが調整なのか、本当にトレンドが転換するのか判断が難しい場合があります。 自分の想定と違う値動きをした場合には、潔く損切りを行えるようにしておきましょう。
FXをするならダウ理論の知識を押さえておこう
TOPICS #08
ダウ理論をきちんと理解して活かせるようになれたら、テクニカル分析の基礎が身につくだけではなく、トレードの予測もしやすくなります。
具体的には、以下の内容がわかるようになります。
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トレンドをいち早く捉えることができる
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順張りに対応できる
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トレンド転換をしたときの逆張りも狙える
ただし、トレードに勝率100%の方法などはありません。だましに注意しながらロット管理や損切りを徹底しながら取り組んでください。
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TOPICS #09
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