新聞などで「ESG」や「SDGs」といった言葉を目にすることが増えてきました。
本コンテンツでは、投資を考える上でどのように関係しているのか、といった視点でこのテーマを解説いたします。
ESGとは
ESG=環境、社会、ガバナンス
最近話題になりつつあるESG投資。ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったものですが、欧米の機関投資家の間で、ESG投資は、従来型の投資よりも投資パフォーマンスが良いという理解が広がり、2010年前後から急速に普及してきました。
ESG投資の手法
ESG投資のポイントは、企業のESGを定量的に測定し、将来発生する可能性のある事業リスクや事業成長機会を先取りして察知することで、中長期的な成長が見込まれる業界やマネジメント力の高い企業への投資配分を増やす手法です。
例えば、アパレルメーカーでは、原材料の安定供給や縫製工場での労働環境を改善することで、質の高い商品を安定的に供給できる体制を構築してきており、GAP、H&M等がESG評価の高い企業。また、IT業界では、サイバーセキュリティや人材獲得力等が重要指標となっており、アップル、マイクロソフト等が評価の高い企業です。
SDGsとは
SDGs(持続可能な開発目標)
将来需要の増加が見込まれる医療、教育、再生可能エネルギー等の業界に注目するファンドもあります。その中でも、特に注目されているキーワードが「SDGs(持続可能な開発目標)」です。これは、国連が2015年に制定した国際社会全体で解決しなければいけない目標のこと。17のゴールと169の詳細目標で構成されています。SDGsの分野では、各国政府や国際機関等からすでに巨額の投資が始まっており、大企業だけでなくベンチャー企業も新たな事業機会を創出しています。こうした流れを受け、この成長分野に積極的に投資する戦略が新たに誕生しています。
公的年金(GPIF)も
世界最大の年金基金である日本の公的年金基金GPIFも、2016年から投資パフォーマンスの高いESG投資を開始。中長期的成長に向け経営改革を進める日本企業もESG評価は上がってきており、トヨタ自動車、味の素、花王、全日空(ANA)等は評価が高い傾向にあります。
ファンド戦略
一口にESG投資と言っても様々なファンド戦略があります。
- TOPIXや日経平均のように幅広い企業に投資しつつも、ESG評価の高い企業の配分を多少高める「ESGインテグレーション」。
- ESG評価の高い企業だけを数十から100社ほど選抜する「ベスト・イン・クラス」。
- 将来成長力の高い業界のみに投資する「テーマ投資」。
この3つが投資信託ではよく用いられています。
他方、10年程前に「社会貢献」を標榜する「SRIファンド」が登場しています。一般的な傾向として、ESG投資ファンドが投資パフォーマンスを重視するのに対し、SRIファンドは社会貢献を重視していると言っても過言ではないでしょう。
投資信託でも、SRIファンドなのか、ESG投資ファンドなのかを間違えないことが重要です。
本コンテンツの執筆者
株式会社ニューラル 代表取締役CEO
夫馬 賢治 氏
東京大学卒。米サンダーバード国際経営大学院MBA修了。米ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻課程在籍。
サステナビリティ経営・ESG投資アドバイザリー会社を2013年に創業し現職。同領域ニュースサイト「Sustainable Japan」運営。国連責任投資原則(PRI)署名機関。環境省バックアップの「21世紀金融行動原則」のメディア協力企業。サステナビリティ経営、ESG投資、気候変動金融リスクに関する講演多数。日本経済新聞や毎日新聞、経済誌へコメント寄稿。
ファンドのご紹介
マネックス証券でお取り扱いの関連ファンドを7タイプご紹介いたします。具体的なファンドの内容は目論見書でわかりやすく紹介されていますので、そちらでご確認いただければと思いますが、ポイントを絞ってコメントをしております。
ファンドが組入れる個別銘柄に言及しておりますが、特定の銘柄を推奨するものではなく、また、当該銘柄を組入れることを保証するものではありません。
ニッセイSDGsジャパンセレクトファンド
- 日本企業の株式に投資します。
- SDGs達成に関連した事業を展開する企業のなかから、株価上昇が期待される銘柄を厳選します。
ニッセイSDGsグローバルセレクトファンド
- 日本を含む世界各国の株式に投資します。
- SDGs達成に関連した事業を展開する企業のなかから、株価上昇が期待される銘柄を厳選します。
シュローダー・アジアパシフィックESGフォーカス・ファンド(資産成長型)
- 日本を含むアジアパシフィック諸国の株式を実質的な主要投資対象とします。
- 株式の銘柄選択にあたっては、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を加味します。
- ESGの観点を組み入れた運用アプローチを有するシュローダー・グループが運用を担当します。
詳細・お申込みはこちらから
CAM ESG日本株ファンド
- 日本の金融取引所に上場する企業の内、ESG(環境対応、社会責任、企業統治)に対する経営目標と態勢整備状況を定量的に分析・評価して、経営力、成長性で優位のある企業に中長期投資を行います。
- 運用は、グッドバンカー社から提供を受けた「ESGスコア」(非財務情報)と、独自の「財務スコア」(財務情報)を組み合わせたアプローチを用います。
詳細・お申込みはこちらから
世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)
- 主に世界の株式の中から社会的な課題の解決にあたる革新的な技術やビジネスモデルを有する企業に投資を行うことで、信託財産の成長を目指します。
- 銘柄選定にあたっては、社会的課題の解決(社会的インパクト)に取り組む企業に着目し、個々の企業のファンダメンタル分析等を行い、投資魅力のある銘柄に投資します。
- 実質的な運用は、ウエリントン・マネージメント・カンパニー・エルエルピーが行います。
ブラックロックESG世界株式ファンド
- 各企業のESGに着目しながら、先進国の企業または先進国に主要な業務基盤がある企業の株式ならびに株式関連商品(デリバティブ含む)等に投資します。
- 主要投資対象ファンドは、ブラックロック独自の計量モデルを活用し運用します。
朝日ライフ SRI 社会貢献ファンド(愛称:あすのはね)
- 国内の上場株式を主要投資対象とし、ビジネスを通じて社会的課題に積極的に取り組み、社会に貢献する企業の株式に投資します。
- 個別企業調査を基本としたボトムアップ・アプローチを重視した銘柄選択を行います。
- 信託報酬の一部を、社会的課題に取り組む団体に寄付します。
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ファンドのポジション
上記マネックス証券取扱いの関連ファンドを、投資対象「地域」と「企業数」で整理したものが下のイメージ図です。
(夫馬 賢治 氏が作成)
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