マネックス証券は2017年12月19日に、LGBTをはじめとする性的マイノリティ(以下「LGBT」)のカップル向けに、二人で貯蓄を行い資産管理が行える口座サービス「パートナー口座」の提供を開始しました。「パートナー口座」およびLGBTについてより多くの方に知っていただくために、「LGBT×パートナー口座」をテーマとしたインタビューをお届けしてまいります。
記念すべき第一回は相場謙治さん(写真左)と古積健さん(写真右)
記念すべき第一回として、相場謙治さん(写真左)と古積健さん(写真右)にお越しいただき、LGBTカップルのリアルについて伺いました。
お二人は、カミングアウト後、様々なメディアに登場し、LGBTの方のための活動を行っています。「レインボーさいたまの会」に所属し、埼玉県川越市でパートナーシップ制度が導入されるよう2018年6月に請願書を提出しています。
以下のウェブサイトではお二人のことをより詳しく知ることができます(外部サイトへ遷移します)。
小さいころに芽生えた違和感
-お二人はご自身がLGBTと意識したのはいつ頃ですか?
相場)自分は生まれつきゲイでした。はっきり意識したのは小学生のときで、あの頃は気付いたら男の子を目で追っていました。
古積)僕は小学2、3年生の頃で、いろいろとキッカケはあったものの、自分で自分がゲイだと認めたのは高校の終わり頃でした。義務教育を受けていれば、多くの人は同性を好きになることは変なことだと思うようになる。だから、気付き始めてから10年くらいは、男の子が気になっていても、それは変なことだからって自分の気持ちを封じ込めていました。
-小学校で気付くというのは早いですね
相場)人によりますね。小さい頃からはっきり自覚した人もいれば、彼女がいたことがあるような人がふと気付く場合もあります。
古積)あれ、彼女いたことあったよね?
相場)あったね(笑)。男性を好きになるのはおかしなことだと思っていたので、女性と付き合っていた時期もありました。付き合っていくうちに好きになるのではと思っていました。楽しかったけれど、結局、恋愛感情は生まれませんでしたね。
38年後のカミングアウト。父は終始無言だった
-二人の関係をオープンにしようとしたキッカケはありましたか?
相場)二人で結婚式をしようと思ったのがキッカケで、それが5年前です。
古積)オープンにしてから、むしろ周りが良い意味で少し会話の内容に気を使ってくれるようになりました。弊害は全然なかったです。
相場)母にカミングアウトしたのは大学1年生のとき。そのだいぶ後に父に伝えました。父は昭和の古風な人なので、なかなか言いづらかったです。
古積)僕は38歳のときに両親にカミングアウトしました。当時、謙治の会社で同性カップルにも結婚祝い金が支給されるようになったので申し込んだのですが、そのようなお祝い金をいただくのに、親が知らないというのもおかしなことのように感じたので。
-嫌われるのではと不安になりますよね。
古積)まさにそれでしたね。大切な人にもしかしたら嫌われるかもしれない、そんなことを考えるとカミングアウトは本当に難しいです。大変なショックを与えてしまうし、"私のせいで..."とは思わせたくないから、墓場まで持っていこうと考える人も多いと思います。
-カミングアウト後は、なにか変化がありましたか?
相場)最初のほうは、母親は僕にやっぱり女性を好きになって欲しいと思っていたみたいだったけれど、徐々に理解してくれるようになりました。川越市に請願書を出すときには、親が友人に署名を頼んでくれたのはとても嬉しかったです。同時に60代、70代の方にも理解が広がってきたんだなと感慨深くなりました。
古積)カミングアウトしたとき、"38年も黙っていた"というのは親にとってショッキングなことだと思っていたけれど、母は薄々気づいていたようで案外大丈夫でした。一方で父は部屋の片隅で終始無言でした。
相場)最初のほうは、僕たちの父親が二人とも結婚式には出ないと言っていたくらいで。ゲイの父親であること、人前に出ることがやっぱり恥ずかしかったんだと思います。
古積)最終的にはなんとか説得してどちらも結婚式に出てもらえることになりました。
マンマ・ミーアに憧れて挙げた結婚式はブーケ2つ
-結婚式をやろうと思ったキッカケは?
相場)憧れはずっとありましたね。映画とかミュージカルが好きなので、映画の「マンマ・ミーア!」の結婚式のシーンを見て、「楽しそう!」「やりたい!」と思っていました。
古積)僕は、そもそも結婚は男女のカップルがするものだから、自分には関係ない話だと思っていました。でも2013年に東京ディズニーリゾートで初の同性の結婚式が行われたというのを聞いて、同性でも結婚式を挙げられるんだと思って、現実味を帯びてきました。
-ここでやりたいという結婚式場はあったんですか?
相場)外資系のホテルで働いている友人がいて、その人に紹介してもらいました。
古積)だけど最初はそのホテルからは難色を示されました。日本の法律に則っていない結婚式はできないと言われて。でも、謙治が頑張って交渉してくれて。"これをビジネスチャンスと思っていただけませんか?"と。(笑)
相場)いつも強気なほうでもないんですが、ここで引き下がったらそこで働いている友人や後に続く人たちにも申し訳ないと思って頑張りました。
-実際に式を挙げてみてどうでしたか?
古積)こんなにも男女の役割が明確なんだなと驚きました。日本の結婚式は男女の組み合わせのみを想定しているので、「新郎」「新婦」という言葉が本当にたくさん出てきます。だからその言葉を使わないようにするだけでも大変で、本当にいろいろ調整しました。
相場)二次会ではブーケトスもやりました。二人で1個ずつブーケを持って(笑)。
-男女の役割が分かれているところをすべて変更するというのは本当に大変そうですね
相場)はい、大変でした。そのホテルでは初めての同性同士の結婚式となりました。
古積)招待した方もかなり戸惑ったと思います。まぁ招待した方が全員来てくれたわけではないのですが。
相場)参列することがカミングアウトに繋がると考えてしまう方もいました。万一悪意がある人が席次表を公開してしまったら、他人にLGBTだとバレてしまうリスクがあるので、その点に理解のある人が参加してくれました。
-いろいろと苦労が多いですね......
古積)そうですね。結婚式がやはり一番大変ですが、他にも、賃貸住宅を一緒に借りられなかったり、保証人は男同士だとだめと言われたり。
相場)今住んでいるところも、僕の名義で購入しています。ほんとは前にお付き合いしていた方と一緒に暮らすつもりだったんですけど。
古積)もしその人と共同名義で家を買っていたら今頃は大変だったね(笑)。
相場)うん、大変だったね(笑)
一緒に住んでいなくても「パートナー認定」
-お二人は現在どのように家計を管理していますか?
相場)別々ですね。家賃(ローン)は自分が払って、生活費は健が多めに払ったりして半々になるようにしています。
-パートナー口座についてどう思いますか?
古積)今は生活費とかを現金で手渡ししています。お互いのマネックスセゾンカードで支払い、「パートナー口座」でまとめて引落しされる点は使いやすそうだなと思います。お互いが自動入金で毎月数万円を「パートナー口座」に入金すれば、お金のやりとりはかなり楽になりそうですね。
相場)同性パートナーの関係にある人たちは、法律上結婚できないので、税金面や相続面、いろいろと不便があります。だから、「パートナー口座」のようなサービスが増えるのはとてもいいことだと思います。
古積)LGBTといえば同性カップルのことに注目がいきがちですが、同性愛者で現在はシングルとか、バイセクシュアルでたまたま異性と交際中のステータスであるとか、トランスジェンダーで性自認は男性だけれど男性が好きとか、いろんなパターンがある。だからカップルの二人の性別に関係なくマネックスのパートナー口座に申し込めるというのはとても良いですね。
-「パートナー口座」にお申し込みいただいたカップルには「パートナーシップ認定書」もお送りしています。
古積)これは嬉しいですね。自治体が発行するパートナーシップ認定書の発行要件を満たさないカップルも多いと思うので。たとえば、カップルの両方がパートナーシップ制度ありの自治体に住んでいないとだめとか、他の自治体に引っ越しをしたらパートナーシップ認定を解除されるとか。だから自治体が発行するパートナーシップ認定書を申し込んでいる人は多くないかもしれません。そういう人たちにとっては、一企業からだとしてもパートナーシップ認定書をもらえるというのは嬉しいんじゃないかと思います。
-お二人は川越市でパートナーシップ制度ができるのを待っていらっしゃるとのことだったので、それまではマネックスの「パートナーシップ認定書」をお持ちいただければと思います。
古積)分かりました(笑)。
相場)会社が発行してくれている認定書もあるのですが、こちらも是非保有しておきたいと思います!
-本日は誠にありがとうございました!
パートナー口座をお申込みいただけるお客様
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- LGBTのお客様
- マネックス証券総合取引口座をお持ちのお客様
- マネックスセゾンカードをお持ちのお客様