12月13日から14日(米国時間)かけて米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。本コンテンツでは利上げ実施が濃厚な理由や、過去に追加利上げが行われた際のマーケットの反応などについてご紹介します。
疑問その1 利上げって、何?
米国の利上げとは、米国の主要政策金利であるフェデラル・ファンド金利(以下FF金利)の目標をFOMC(連邦公開市場委員会)が引き上げることを意味します。FOMCは米国の景気が冷え込んでいる時には金利を引き下げて需要を喚起し、逆に景気が過熱気味になってくると金利を引き上げて景気が過熱することを防ごうとします。
2007年に発生したサブプライムショック、2008年のリーマンショックなど米国で金融危機が発生したことを受け、FOMCは2008年の12月以降ずっとFF金利の目標を下限である0.25%として実質的なゼロ金利政策を維持してきました。
しかし、米国の労働市場が回復するとともに米国の景況感も好転してきたことから、FOMCは2015年12月に0.25%の利上げを実施しました。そして現在はさらなる金利の引き上げが議論されています。
米国のFF金利(1990年-)
(出所)トムソン・ロイターデータよりマネックス証券作成
疑問その2 12月の追加利上げは実施される?
実施が濃厚!
理由1 FRB高官は相次いで12月の利上げ実施を示唆
「今後明らかになる経済指標がFOMCの目標に向けて前進を続けるさらなる証拠を示せば、比較的早期に利上げが適切になる可能性が十分にある。」
(出所)2016年11月17日の議会証言時の発言の一部をマネックス証券が和訳
写真はFRBウェブサイトから引用
「12月の利上げ実施は極めて妥当な選択肢だ。」
(出所)2016年12月5日の講演時の発言の一部をマネックス証券が和訳
写真はFRBウェブサイトから引用
FRBの高官たちは、上記のように相次いで早期の利上げを示唆する発言を行っています。
トランプ氏が大統領選に勝利したことで金融市場が混乱するのではと一部で懸念されたこともありましたが、ダウ平均は連日のように史上最高値を更新するなど大きな混乱も出ていないことから、12月のFOMCで利上げを実施する可能性はかなり高そうです。
理由2 10-12月期の高い予想GDP成長率
アトランタ連銀発表の10-12月期予想GDP成長率(前期比年率換算)
2.6%
(出所)12月6日時点のアトランタ連銀ウェブサイト
アトランタ連銀が経済指標を元に発表している予想経済成長率「GDPNow」では、10-12月期の経済成長率は前期比年率換算2.6%と高い成長が予想されています。
このように米経済は堅調な成長を遂げているとみられることが、12月のFOMCでの利上げ実施が有力視される根拠の1つとなっています。
疑問その3 利上げが実施される場合の注目ポイントは??
12月のFOMCで注目されるのは、ずばり、「プロジェクション」と呼ばれるFOMCメンバーの経済予測です。「プロジェクション」は3月・6月・9月・12月のFOMCの後にのみ発表され、GDP成長率やインフレ率、今後のFF金利などについてメンバーの将来予想の平均値(中央値)が記されています。
前回(9月)のFOMC後のプロジェクションでは、2017年末のFF金利見通しの中央値は1.125%でした。これはFOMCメンバーの予測を総合すると2017年に2回の利上げが行われることを示唆しています。
現時点では実現可能性に不透明な部分が大きいものの、トランプ氏が公約に掲げてきた減税や財政支出の拡大といった景気拡大に作用するとみられる経済政策がFOMCメンバーの心理に影響し12月のFOMCではこのFF金利見通しが上方修正されることになれば、一段のドル高要因となる可能性があります。一方、大きな変化がなければ短期間に大きく進んだドル高からの巻き戻しでドル安に戻す可能性がありそうです。
過去のプロジェクションで発表された予想値
項目名 | 中央値 | ||||
---|---|---|---|---|---|
GDP成長率 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 長期 |
9月時点の見通し | 1.8% |
2.0% | 2.0% | 1.8% | 1.8% |
6月時点の見通し | 2.0% | 2.0% | 2.0% | なし | 2.0% |
3月時点の見通し | 2.2% | 2.1% | 2.0% | 2.0% | |
失業率 | |||||
9月時点の見通し | 4.8% |
4.6% | 4.5% |
4.6% | 4.8% |
6月時点の見通し | 4.7% | 4.6% | 4.6% | なし | 4.8% |
3月時点の見通し | 4.7% | 4.6% | 4.5% | 4.8% | |
コアPCEインフレ率 | |||||
9月時点の見通し | 1.7% | 1.8% |
2.0% | 2.0% | - |
6月時点の見通し | 1.7% | 1.9% | 2.0% | なし | - |
3月時点の見通し | 1.6% | 1.8% | 2.0% | - | |
FF金利 | |||||
9月時点の見通し | 0.625% |
1.125% |
1.875% |
2.625% | 2.875% |
6月時点の見通し | 0.875% | 1.625% | 2.375% | なし | 3.000% |
3月時点の見通し | 0.875% | 1.875% | 3.000% | 3.250% |
(出所)FRB発表よりマネックス証券作成
赤字は6月から上方修正 青字は下方修正
疑問その4 過去の追加利上げ局面の株価や為替の反応は?
追加利上げ事例1 1994年
1994年の追加利上げ局面での米国株・日本株(利上げ前日=100)
(出所)トムソン・ロイターデータよりマネックス証券作成
1994年の追加利上げ局面での米ドル/円
(出所)トムソン・ロイターデータよりマネックス証券作成
- 米国株と日本株ともに利上げ後に株価は下落もその後徐々に値を戻した。
- 追加利上げ後に米ドル/円はじわじわと円高が進行した。
追加利上げ事例2 1999年
1999年の追加利上げ局面での米国株・日本株(利上げ前日=100)
(出所)トムソン・ロイターデータよりマネックス証券作成
1999年の追加利上げ局面での米ドル/円
(出所)トムソン・ロイターデータよりマネックス証券作成
- 米国株と日本株ともに追加利上げ後に株価は下落もその後徐々に値を戻しまもなく利上げ前よりも株価は上昇した。
- 追加利上げ後に米ドル/円はじわじわと円高が進行したがその後利上げ前の水準まで値を戻した。
FOMCっていったいなに?
連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)
米国の金融政策を決定する最高意思決定機関。年に8回、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会・Federal Reserve Board)理事と12の連邦準備銀行(地区連銀)の総裁が出席し、米国の金融政策について議論、意思決定を行う。
米国の金融政策決定の仕組み
12の地区連銀とは・・・
(1)ニューヨーク(2)セントルイス(3)カンザスシティ(4)クリーブランド(5)ボストン(6)シカゴ(7)フィラデルフィア(8)ダラス(9)ミネアポリス(10)リッチモンド(11)アトランタ(12)サンフランシスコの地区ごとに設けられた連邦準備銀行。ニューヨーク連銀を除き、毎年FOMCでの投票権を持つ銀行は交代する。2016年にFOMCで投票権を持つのは、(1)~(5)の地区連銀総裁。
米国株取引までの3ステップ
STEP1
外国株取引口座を開設
外国株取引口座をお持ちでないお客様は、まず、外国株取引口座をお申込みください。開設手続きは証券総合取引口座開設後、すべてウェブサイト上で完了いたします。開設後は、外国株取引口座情報へのアクセスや米国株取引画面へのログインができます。
ログイン後、該当ページに遷移します。
※既にマネックス証券に外国株取引口座をお持ちのお客様は別途お手続きの必要はございません。
STEP2
日本円を米ドルに交換
証券総合取引口座に日本円をご入金いただいた後、以下の手順で米国株取引用の米ドル資金を用意します。
(1) 日本円のまま、証券総合取引口座から外国株取引口座へ振替します。
ログイン後、該当ページに遷移します。
(2) 外国株取引口座内にて、日本円 → 米ドルの為替振替(外国為替取引)を行います。