サイト内の現在位置を表示しています。

離脱間近!?ブレグジットと通貨の動きをおさらい

離脱間近!?ブレグジットと通貨の動きをおさらい

2019年10月31日にEU離脱期限が迫っている英国(イギリス)。合意なき離脱となった場合、英国やその自国通貨である英ポンド(GBP)へはどのような影響が及ぶのでしょうか。
これまでのブレグジットの交渉経緯とその際に見えた為替の動きを振り返ります。

本記事は、2019年9月26日時点の情報に元に執筆しています。

過去の特集一覧

掲載日:2019年10月24日 ブレグジット今後のポイントは?

掲載日:2019年10月24日 ブレグジット今後のポイントは?

マネックス証券株式会社 リスク・マネジメント部

高野 進吉(たかの しんきち)

1991年よりトウキョウフォレックス株式会社で為替スポット取引や先物取引のブローカーを歴任後、2006年より同社にて為替証拠金事業における為替ディーラーとして活躍。2015年より現職。
短資会社で身につけた為替に関する深い鑑識眼と、長年の為替ディーリング経験により、社内ではディーラーのパイロット(水先案内人)的な存在感を発揮する。

スプレッド縮小英ポンドキャンペーン

スプレッド縮小英ポンドキャンペーン

Brexitのこれまでとこれから

2016年6月の国民投票で、イギリスはEU離脱に向けてスタートを切ったが、当初の離脱予定であった今年の3月末には決着がつかなかった。メイ英首相は辞任しジョンソン首相に代わり、いよいよハードブレグジット(合意なき離脱)へ突入するかと思われていたが、英議会が行く手を阻み未だに混沌としている。
今回はこの先を占うためにこれまでの経緯を時系列に振り返り、マーケットの動きを改めて見てみることにする。

これまでの動き(2016年~2017年)

2016年

6月23日 ①英国国民投票
有権者の51.9%の賛成で英国のEU離脱が決定
9月8日 キャメロン首相が辞任、テレーザ・メイ首相就任
6月23日 ①英国国民投票
有権者の51.9%の賛成で英国のEU離脱が決定
9月8日 キャメロン首相が辞任、テレーザ・メイ首相就任

2017年

3月29日 ②メイ首相EUへ離脱を通告 離脱期限2019年3月29日
6月19日 ③英国とEUで離脱交渉開始
9月28日 ④英国が19~20年のEU予算の分担に応じることを約束。
12月8日 ⑤英国とEU、離脱条件が大筋合意
3月29日 ②メイ首相EUへ離脱を通告 離脱期限2019年3月29日
6月19日 ③英国とEUで離脱交渉開始
9月28日 ④英国が19~20年のEU予算の分担に応じることを約束。
12月8日 ⑤英国とEU、離脱条件が大筋合意

2016年6月~2017年 GBP/JPY,GBP/USD 日足

(出所:Monex Trader FX比較チャート 上段GBP/JPY下段USD/GBP )

これまでの動き(2018年)

2018年

2月9日 ⑥Brexit交渉会合 2月5日‐9日
2月28日 ⑦EUが英国に離脱協定の草案を提示
3月19日 ⑧英国とEUが「移行期間」について暫定合意と発表
6月7日 ⑨英政府がEU離脱後の北アイルランドの国境問題に関する案を発表
7月19日 ⑩Brexit交渉会合 7月16日‐19日
8月22日 ⑪EU首席交渉官は合意期限とされていた2018年10月のEU首脳会議までの合意は難しく、11月になる可能性があるとの見方を示す。
8月31日 ⑫安全保障協力や司法の取り扱いなどの協力をめぐる交渉で進展。
11月15日 ⑬離脱協定の内容に反対し、英離脱担当相、労働・年金相ら4名が辞任。
11月25日 英国とEU、EU離脱条件で正式合意
・在EU英国民と在英EU市民は、ブレグジット後も居住や社会保障の権利を保持
・2020年末までにアイルランドと英国・北アイルランドの国境に管理体制を敷かない長期的な通商協定がまとまらず、移行期間も延長されない場合は「EUと英国間の単一関税区域」を設置(バックストップ条項)
12月10日 ⑭英議会での離脱協定採決日を延期
12月12日 ⑮メイ首相に対する保守党内の強硬離脱派により不信任投票実施
2月9日 ⑥Brexit交渉会合 2月5日‐9日
2月28日 ⑦EUが英国に離脱協定の草案を提示
3月19日 ⑧英国とEUが「移行期間」について暫定合意と発表
6月7日 ⑨英政府がEU離脱後の北アイルランドの国境問題に関する案を発表
7月19日 ⑩Brexit交渉会合 7月16日‐19日
8月22日 ⑪EU首席交渉官は合意期限とされていた2018年10月のEU首脳会議までの合意は難しく、11月になる可能性があるとの見方を示す。
8月31日 ⑫安全保障協力や司法の取り扱いなどの協力をめぐる交渉で進展。
11月15日 ⑬離脱協定の内容に反対し、英離脱担当相、労働・年金相ら4名が辞任。
11月25日 英国とEU、EU離脱条件で正式合意
・在EU英国民と在英EU市民は、ブレグジット後も居住や社会保障の権利を保持
・2020年末までにアイルランドと英国・北アイルランドの国境に管理体制を敷かない長期的な通商協定がまとまらず、移行期間も延長されない場合は「EUと英国間の単一関税区域」を設置(バックストップ条項)
12月10日 ⑭英議会での離脱協定採決日を延期
12月12日 ⑮メイ首相に対する保守党内の強硬離脱派により不信任投票実施

2018年 GBP/JPY,GBP/USD 日足

(出所:Monex Trader FX比較チャート 上段GBP/JPY下段USD/GBP )

これまでの動き(2019年)

2019年

1月15日 ⑯英議会は15日、EUと合意したEUからの離脱案を否決。1度目
賛成202票、反対432票の歴史的大差で否決。
2月12日 ⑰英議会での離脱協定案の修正案提出を延期
2月18日 ⑱バックストップが恒久的な措置となるリスクを排除するため、英法務長官がEUとの協議に参加。
3月12日 ⑲英議会が離脱協定の修正離脱案を大差で否決 2度目
5月24日 メイ首相辞意表明
7月24日 ⑳ボリスジョンソン英首相就任
10月31日離脱を表明
7月25日 ㉑ジョンソン首相はバックストップ条項を「排除する」と表明。
8月28日 ㉒9月第二週から5週間閉会すると発表
ブレグジットに関する議論を封じ込め、EUとの交渉が期限切れになり合意なき離脱を進める試み。
9月4日 ㉓ブレグジット延期法案を可決
ジョンソン首相は解散総選挙を提案したが、保守党造反議員21名により阻まれる。
9月18日 ㉔欧州議会、ブレグジットをめぐりバックストップ条項撤廃拒否を決議
9月24日 英最高裁判所がジョンソン首相による議会の長期間の閉会は違法との判決
1月15日 ⑯英議会は15日、EUと合意したEUからの離脱案を否決。1度目
賛成202票、反対432票の歴史的大差で否決。
2月12日 ⑰英議会での離脱協定案の修正案提出を延期
2月18日 ⑱バックストップが恒久的な措置となるリスクを排除するため、英法務長官がEUとの協議に参加。
3月12日 ⑲英議会が離脱協定の修正離脱案を大差で否決 2度目
5月24日 メイ首相辞意表明
7月24日 ⑳ボリスジョンソン英首相就任
10月31日離脱を表明
7月25日 ㉑ジョンソン首相はバックストップ条項を「排除する」と表明。
8月28日 ㉒9月第二週から5週間閉会すると発表
ブレグジットに関する議論を封じ込め、EUとの交渉が期限切れになり合意なき離脱を進める試み。
9月4日 ㉓ブレグジット延期法案を可決
ジョンソン首相は解散総選挙を提案したが、保守党造反議員21名により阻まれる。
9月18日 ㉔欧州議会、ブレグジットをめぐりバックストップ条項撤廃拒否を決議
9月24日 英最高裁判所がジョンソン首相による議会の長期間の閉会は違法との判決

2019年 GBP/JPY,GBP/USD 日足

(出所:Monex Trader FX比較チャート 上段GBP/JPY下段USD/GBP )

今後のポイントは?

メイ前首相は、就任以来ソフトブレグジット実現に向けて邁進していたが、総論賛成各論反対の議会に足を引っ張られ、志半ばでの辞任になった。ハードブレグッジットも厭わない強硬派のジョンソン首相に代わり、10月31日のEU離脱は不可避と思われた。しかし、ジョンソン首相が9月10日から1か月間の議会を休会にするという裏技を使ったことに対し、英議会は、離脱協定案は議会の承認を得ること、10月19日までにEUと合意できなければ2020年1月31日まで再延期をEUに要請することをジョンソン首相に義務付ける法案を可決した。

大きな障害になっているのはバックストップ条項である。EUの関税同盟からの脱退を望んでいるBrexit推進派のこの条項への反発が強く、ジョンソン首相はバックストップ条項を完全に撤回すべきだと主張している。一方、EUはバックストップ条項撤廃を受け入れられないと反発している。

 10月17日~18日にブリュッセルにて欧州理事会が開かれる。それまでジョンソン首相は合意に向けた姿勢を見せるだろうが、今のところ両者が妥協する可能性は低い。そうなると期限の10月19日に離脱期限の延長をEUに要請しなくてはならないが、そもそも期限の延期を望まないジョンソン首相はどのような頼み方をするのだろうか、「絶対妥協しないけど、期限だけは延長しろ」などという態度で臨む可能性は十分ある。その時のEUはどのように反応するか、期限延長を許すか否か、ここがまずターニングポイントになるだろう。

ジョンソン氏が首相に就任した時点でハードブレグジットは相場に織り込まれていると思われ、ブレグジット延期法案可決の際には英ポンドは大きく買い戻された。しかし、9月25日の最高裁判断による議会再開以降、英議会で具体的なEUとの間で妥結可能な妥協案が可決されるとは思えず、さらにGBPの下げは拡大していくであろう。GBP/JPY、GBP/USD共に9月の上旬に付けた安値を更新し、10月31日にハードブレグジットとなったところで大底を打つであろう。

万が一、ジョンソン首相が期限延長を申請し、それをEUが認めれば、ビッグサプライズで、GBPは一時的に上昇するだろう。しかしその上昇は長く続かず、議会の解散やジョンソン首相の辞任という事態になり、先行きの不透明度が増し、GBPの売りを誘う展開が予想される。

唯一、GBPの長期的上昇というシナリオは、再度国民投票でブレグジット撤回という流れが実現する可能性が高まったときのみに描けるであろう。

情報提供に関するご留意事項

本情報は、マネックス証券株式会社(以下「当社」といいます)が信頼できると考える情報源から提供されたものですが、当社はその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。本情報は有価証券やデリバティブ取引等の価値についての判断の基準を示す目的で提供したものではなく、有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。本情報に含まれる過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
本情報は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。
当社は本情報の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。なお、本情報は当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。

FX PLUS(店頭外国為替証拠金取引)に関する重要事項

<リスク>

FX PLUSでは、取引対象である通貨の価格の変動により元本損失が生じることがあります。また、取引金額が預託すべき証拠金の額に比して大きいため(具体的な倍率は当社ウェブサイトをよくご確認ください)、取引対象である通貨の価格の変動により、その損失の額が証拠金の額を上回る(元本超過損)ことがあります。 さらに、取引対象である通貨の金利の変動により、スワップポイントが受取りから支払いに転じることがあります。FX PLUSは、店頭取引であるため、当社・カバー先の信用状況の悪化等により元本損失が生じることがあります。FX PLUSでは、損失が一定比率以上になった場合に自動的に反対売買により決済されるロスカットルールが設けられていますが、相場の急激な変動により、元本超過損が生じることがあります。加えて、相場の急激な変動により、意図した取引ができない可能性があります。

<手数料等>

FX PLUSでは、取引手数料はかかりません。当社は、通貨ペアごとにオファー価格(ASK)とビッド価格(BID)を同時に提示します。オファー価格とビッド価格には差額(スプレッド)があり、オファー価格はビッド価格よりも高くなっています。流動性の低下、相場の急激な変動により、スプレッドの幅は拡大することがあります。

<証拠金>

FX PLUSでは、取引通貨の為替レートに応じた取引額に対して一定の証拠金率以上で当社が定める金額の証拠金(必要証拠金)が必要となります。一定の証拠金率とは以下のとおりです。ただし、相場の急激な変動等の事由が発生した場合には当社判断により変更することがあります。
(個人口座)
原則4%(一部の通貨ペアでは8%、詳細は当社ウェブサイトをご確認ください)
(法人口座)
金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号の定める定量的計算モデルにより金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率です。ただし、金融先物取引業協会の算出した為替リスク想定比率が、当社が通貨ペアごとに定める最低証拠金率(原則1%、一部の通貨ペアでは8%、詳細は当社ウェブサイトをご確認ください)を下回る場合には、当社が通貨ペアごとに定める最低証拠金率を優先させることとします。

<その他>

お取引の際は、当社ウェブサイトに掲載の「契約締結前交付書面」「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」を必ずお読みください。