今年加速しそうな国有企業改革に注目

配信日：2016年1月27日

今年加速しそうな国有企業改革に注目

海運業界において12月、大きな再編が行われた。

11日、中遠、中海両集団傘下の上場企業である中国遠洋（01919）、中遠太平洋（01199）、中海集運（02866）、中海発展（01138）が一斉に企業リストラを発表した。

それぞれのグループ間で資産交換などを行うことで、中国遠洋はコンテナ製造、コンテナ輸送、中遠太平洋はグローバルでの埠頭業務、中海集運は船舶輸送金融サービス業務、中海発展はＬＮＧ、石油輸送業務に特化した会社へと変わることになった。

さらに29日には、中国外運長航集団は招商局集団の傘下に入ると発表した。

中国外運長航集団傘下の中外運（00598）、中外運航運（00368）、外運発展（Ａ株：600270）や招商局集団傘下の招商局国際（00144）は、そのほかのグループ企業を含め、全体で資産の交換が行われることになった。

昨年は電車製造業界で寡占２社が合併、中国中車集団（01766）に一元化された。さらに、不動産、鉄鋼、非鉄金属、薬品卸売などの中央系国有企業において、大規模な国有企業改革が進展している。

今回は、既に改革が始まっている企業を含め、国有企業改革関連をピックアップした。

（2016年1月12日執筆）

［00883］CNOOC（中国海洋石油・シノック）

株価: 6.75香港ドル（1/26終値）
特徴: レッドチップ／海洋での石油開発を行う国策企業
企業動向: 渤海湾、南シナ海といった中国沿岸に加え、インドネシア、カナダなど海外でも開発を進めている。2015年6月中間期業績は35.5％減収、56.1％減益。原油、天然ガスの生産量は二桁増であったが、価格の大幅下落によって減収減益を余儀なくされた。国務院は中央系国有企業改革を進めている。石油業界では同社とペトロチャイナとの合併が噂されている。原油価格の底打ちが近づいていると予想、今後、業績回復の見込みあり。

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［02006］錦江国際酒店（ジンジャンインター）

株価: 2.68香港ドル（1/26終値）
特徴: Ｈ株／上海に拠点を置くホテル大手
企業動向: 上海を基盤とする中央系国有企業である錦江国際（集団）の傘下企業。ホテル事業のほか外食産業やタクシー・物流事業などに投資している。2015年6月中間期業績は26.2％増収、49.2％増益。既存事業は安定成長だが、15年2月、収益力のあるフランスのホテルを買収したことで規模拡大とともに利益率が向上、大幅増益となった。2016年上半期には上海ディズニーが開園見通し。国有企業改革による資産注入期待あり。

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［00902］華能国際電力（ホァネンパワーイン）

株価: 5.94香港ドル（1/26終値）
特徴: Ｈ株／中国最大規模の電力会社
企業動向: 江蘇、山東、浙江、上海、北京など国内21の省・市・自治区で発電所を経営。2015年1-9月期業績は8.0％減収、16.7％増益。電力需要の落ち込みから減収を余儀なくされたものの、石炭価格下落による原価ダウンにより二桁増益を達成した。グループ全体の国有企業改革として、同社に対して資産注入が行われる可能性があると予想。電力体制改革による電力会社の送電事業参入に期待。

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［01138］中海発展（チャイナシッピング）

株価: 4.87香港ドル（1/26終値）
特徴: Ｈ株／中国海運（集団）傘下の大手海運会社
企業動向: 石油輸送では国内トップ。2015年1-9月期業績は2.0％減収、709.7％増益。石油輸送、ばら積み船とも船舶の貸出で供給過剰に対応したが、バルク貨物輸送の不振が響き減収。ただし、最大の費用項目である燃料費や、船員費が大幅に減少したことで、増益を確保した。中遠、中海両集団による大掛かりな企業リストラが進展。今後、収益力の低いバルク貨物輸送を切り離し、資産注入を受け、石油輸送に特化へ。収益力が大きく改善する見通し。

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［00386］中国石油化工（シノペック）

株価: 4.06香港ドル（1/26終値）
特徴: Ｈ株／中国を代表する石油会社
企業動向: 石油、天然ガスの探査、開発、掘削、貯蔵、パイプ輸送、ガソリン、ディーゼル油などの精製、石化製品の製造、販売などを手掛ける。2015年1-9月中間期業績は27.4％減収、49.5％減益。原油価格の下落が石油精製品価格の下落に直結、業績悪化を招いた。国有企業改革の一環として混合所有制経営への移行を目指している。販売部門では民間資本の受け入れが進行中。また、石油小売部門での業容拡大に期待。

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TS・チャイナ・リサーチ代表

田代　尚機氏

1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。

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