いよいよ2016年11月8日(火)、4年に一度の米大統領選挙が行われます。当選すれば米国史上初の女性大統領となるヒラリー・クリントン氏か。はたまた不動産王として実業界でその名を轟かせ、大統領候補への立候補以降、過激な発言で民衆の支持を集めてきたドナルド・トランプ氏か。マネックス証券では大統領決定まで、情報を更新し、みなさまに最新の情報をわかりやすくお届けいたします。
※本ページの内容は2016年8月8日時点の情報を元に作成しています。
米大統領選挙のキホン
米大統領選挙は、4年に一度米国の大統領と副大統領を選ぶために実施されます。2016年の選挙では米国の第45代アメリカ合衆国大統領および第48代副大統領が選出されます。米国国内の米国籍者で、18歳以上、かつ選挙人登録を行った人に選挙権が与えられています。
大統領および副大統領候補は、正式には12月中旬に各州の選挙人の投票で決定します。
有権者は、直接大統領候補に投票するのではなく、自分が支持する大統領候補に投票すると事前に誓約した選挙人に投票する、という間接選挙方式が取られています。投票結果は、各州で支持する選挙人をより多く集めた候補がその州のすべての票を獲得する、という勝者総取り方式(一部の州を除く)で集計されます。選挙人は全米で538人いますので、その過半数の270人以上を獲得した候補者が、大統領となります。
11月8日が投開票日。米国の大統領が決定
大統領就任までのスケジュール(予定・米国時間)
9月26日 | 大統領候補テレビ討論会(1回目) |
---|---|
10月4日 | 副大統領候補討論会 |
10月9日 | 大統領候補テレビ討論会(2回目) |
10月19日 | 大統領候補テレビ討論会(3回目) |
11月8日 | 本選挙投票日(実質的に大統領が決定) |
12月中旬 | 選挙人による投票 |
2017年1月上旬 | 大統領及び副大統領が正式決定 |
2017年1月20日 | 大統領就任式 |
正式には12月中旬に行われる選挙人による投票結果を経て大統領が決まりますが、実質的には11月8日が大統領決定の日と言えます。
今回の主要大統領候補はだれ?
クリントン氏は、第42代米国大統領ビル・クリントン氏の妻で、2000年にニューヨーク州の上院に当選し、政界に進出した。その後、2008年には民主党の大統領候補に立候補。しかし、民主党の予備選挙でバラク・オバマ現大統領に敗北。オバマ政権では2009年から2013年まで国務長官としてオバマ大統領を支えた。今回の民主党の大統領予備選挙ではバーニー・サンダース氏との激しい戦いを制し、米国の主要政党で初めての女性大統領候補となった。圧倒的な知名度を武器にマイノリティー層や女性からの支持を集める。副大統領候補は、バージニア州選出の上院議員であるティム・ケイン氏。
トランプ氏は、1980年代に父親から譲り受けた不動産開発業で大成功を収め「米国の不動産王」の名声を得た。自身の名前を冠した建物も多く、ニューヨークにある高級アパートやショッピング・モールなどの複合施設トランプ・タワーは有名である。2015年5月に共和党大統領候補への立候補を発表。数々の場所で過激発言を連発するも建前ではなく本音をさらけ出すスタイルが人気となり、テッド・クルーズ氏、ジェブ・ブッシュ氏、マルコ・ロビオ氏ら他の共和党大統領候補を打ち破り、共和党の大統領候補に正式に指名された。副大統領候補は、インディアナ州知事であるマイク・ペンス氏。
大統領候補はこの他にもリバタリアン党のゲーリー・ジョンソン氏や緑の党のジル・スタイン氏などがいますが、米国の二大政党が民主党と共和党であることや現在の支持率から見ても、実質的にクリントン氏とトランプ氏のどちらかが大統領になると考えられます。
ちなみに米国の著名投資家で大富豪のウォーレン・バフェット氏はクリントン氏の支持を表明しています。2016年8月にバフェット氏の地元ネブラスカ州オマハで開催されたクリントン氏の選挙集会では、応援演説を行いました。
民主党(クリントン)と共和党(トランプ)の政策の違いは?
民主党(ヒラリー・クリントン氏) | 共和党(ドナルド・トランプ氏) | |
---|---|---|
税制 | 増税 | 減税 |
金融 | 規制強化 | 規制緩和 |
移民 | 市民権を付与へ | 不法移民の流入阻止 |
TPP | 反対 | 反対 |
同盟 | 世界の同盟国と協力 | 他国に負担を求める |
(出所:各種メディア報道よりマネックス証券作成)
民主党は国民に対して手厚い保護を行い、経済を進めていくいわゆる「大きな政府」を目指しています。したがって増税を行い富裕層から貧困者への所得再分配を目指したり規制を強化する方向にあります。
一方、共和党は「小さな政府」を目指しています。小さな政府とは、できる限り経済政策や社会政策に対する政府の関与を縮小して市場原理に基づく自由な競争を促進させようとする考え方を指しています。
どちらが制す?注目ポイントは激戦州の票か
実は米国では多くの州において民主党か共和党かどちらの党を支持しているかが事前にはっきりしていると言われています。したがって、ポイントとなるのは、「激戦州」と呼ばれる、実際に投票をしてみないとどちらに転ぶかわからない州です。候補者たちはこれらの激戦州での支持を勝ち取るため、膨大な時間と費用をつぎ込み選挙活動を行います。激戦州を制すのは民主党か、それとも共和党か。選挙結果の発表時には激戦州の結果に注目してみてはいかがでしょうか。
2000年の大統領選挙では激戦州の一つ、フロリダ州での投票結果が明暗を分けました。当時の共和党のジョージ・W・ブッシュ候補と民主党のアル・ゴア候補者が戦った選挙で、最後にフロリダ州を制したブッシュ候補が第43代米国大統領となりました。各候補に対する投票は総取り方式のため、アメリカ全体では得票数がゴア候補者の方が多かったものの、選挙人の獲得数ではブッシュ候補が上回っていたため、ブッシュ候補が最終的に大統領に選ばれました。激戦州であったフロリダを制し、選挙人を総取りできたことがブッシュ候補の勝因の一つだと言えます。
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