2019年8月1日、回転寿司チェーンでおなじみのくら寿司の米国(アメリカ)法人が米国ナスダック市場に上場を果たしました。日本の銘柄コードにあたるティッカーシンボルは「KRUS」です。上場初日は公開価格の14米ドルを大きく上回る、19.61米ドルで取引を終えました。
マネックス証券では、くら寿司USA(米国法人)を上場日当日より取扱いを開始いたしました。米国株銘柄の一つとしてお取引いただけるようになっております。
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くら寿司USAを含む、米レストラン・セクターの近況について、広瀬隆雄氏(コンテクスチュアル・インベストメンツ マネージング・ディレクター)にレポートを執筆いただきました。
レポートのまとめ
- レストラン株の決算が出揃った
- くら寿司USA(米国法人)は成長の余地大だがもっと積極経営すべき
- チポトレ・メキシカン・グリルは完全にスランプを脱した
- マクドナルドはしっかり経営されており安定感がある
- ヤムブランズは企業戦略の方向転換中
- チーズケーキファクトリーはマルチ・ブランド戦略を打ち出した
くら寿司USA(KRUS)
くら寿司USA(ティッカーシンボル:KRUS)は日本の回転寿司チェーンの米国子会社です。
2009年に米国第一号店がオープンして以来、現在、22店舗を展開しています。
(出所:くら寿司USAの売出目論見書)
今年はあと1店舗新規出店し23店舗にする予定です。2020年度は6~7店を新規出店する予定です。
典型的な店舗は5600平方フィートで、ストア・レイアウトには柔軟性があります。
今後、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、NY、シカゴなどに新規出店していく予定です。
同社はフランチャイズ展開しておらず、全て自社店舗です。この出店ペースは、やや投資家としては不満が残ると思います。
日本の親会社は35年の歴史を誇り、回転寿司に関するテクノロジー、ノウハウを蓄積しています。同社の店舗では「クラ・エクスペリエンス」と呼ばれる、速くてワクワクするサービスを顧客に提供しています。
同社のコンセプトは既に日本で立証されており、コンサルタント会社ボックストンによれば米国でも300店舗前後を展開することが可能だと言われています。
くら寿司USAでは140種類のメニューを用意しており、セレクションはとても多いです。
同社は人口甘味料・保存料などを一切使用していません。また着席したら直ぐ食べられるので効率が良いです。
ミスター・フレッシュと名付けられたドーム・カバーの上にはRFIDタグが付いており、それぞれの皿がどれだけの時間コンベアーの上で回っていたかを把握できます。
これにより常にフレッシュな料理を提供できるわけです。
来店客が一皿食べた後、皿を使用済みのスロットに戻すことで給仕の手間を省いています。また調理に当たってはオートメーションを多用しており職人を必要としません。これらの工夫により正統的な寿司をリーズナブル価格を実現しています。
タブレットのスクリーンから注文できます。5皿注文すると短いビデオ動画が流れ、15皿注文するとオモチャの景品が出る仕組みになっており、エンターティメントの要素があります。
一店舗当たり平均売上高は350万ドルで、これは新興レストラン・チェーンとしては高い方です。
(出所:レストランビジネス)
新店舗の出店コストは150万ドルです。これはリーズナブルです。
店舗のコントリビューション・マージン(限界利益)は20%です。
既存店売上比較は下のように推移しています。
(出所:くら寿司USAの売出目論見書)
同社のモバイル・アプリは予約は受け付けません。しかしアプリから混雑状況がわかるようになっており、テキストメッセージで空席情報を受け取れます。
過去12か月の売上高は6014万ドル、修正EBITDAマージンは8.9%、純利益は152万ドルでした。
(出所:くら寿司USAの売出目論見書)
略号の読み方
DPS:一株当たり配当
EPS:一株当たり利益
CFPS:一株当たり営業キャッシュフロー
SPS:一株当たり売上高
チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)
メキシコ系ファストフード店「チポトレ」を展開するチポトレ・メキシカン・グリル(ティッカーシンボル:CMG)の第2四半期決算はEPSが予想$3.76に対し$3.99、売上高が予想14.1億ドルに対し14.3億ドル、売上高成長率は前年同期比+13.2%でした。
既存店売上比較は+10.0%でした。そのうち客数(トランザクション)は+7%でした。
デジタル売上高は+99.1%でした。売上高全体に占めるデジタル売上高比率は18.2%でした。
レストラン・レベルでの営業マージンは20.9%でした。前年同期は19.7%でした。
同社は近年、食品衛生問題、売上高の低迷の問題などに苦しめられていましたが、現在は完全にスランプを脱しています。
チポトレ・メキシカン・グリルの日足チャート(過去2年間)
(出所:マネックス証券 ウェブサイト取引画面 トレードステーション)
マクドナルド(MCD)
マクドナルド(ティッカーシンボル:MCD)の第2四半期決算はEPSが予想$2.05に対し$2.05、売上高が予想53.4億ドルに対し53.4億ドル、売上高成長率は前年同期比-0.2%でした。
マクドナルドはフランチャイズを再編成しており、その関係で売上高成長率が見かけ上低くなっています。既存店売上比較を参考にする方がいいと思います。
その既存店売上比較は+6.5%でした。米国既存店売上比較は+5.7%でした。海外既存店売上比較は+6.6%でした。
同社は近年、しっかりと経営されており、今期の決算も危なげない内容でした。
マクドナルドの日足チャート(過去2年間)
(出所:マネックス証券 ウェブサイト取引画面 トレードステーション)
ヤム・ブランズ(YUM)
ヤム・ブランズ(ティッカーシンボル:YUM)はケンタッキー州に本社を置くレストラン・チェーンで、ケンタッキーフライドチキン、ピザハット、タコベルのブランドを展開しています。
そのうちケンタッキーフライドチキンは136か国で2万2千の自社ならびフランチャイズ店舗が展開されています。ヤム・ブランズの営業利益のほぼ半分を稼ぎ出しています。
ピザハットは108か国で1万7千の自社ならびフランチャイズ店舗が展開されています。ヤム・ブランズの営業利益の約18%を稼ぎ出しています。
タコベルは28か国で7千の自社ならびフランチャイズ店舗が展開されています。ヤム・ブランズの営業利益の約32%を稼ぎ出しています。
フランチャイズ・フィーの43%は米国から上がっており、アジア26%、欧州13%と続きます。 第2四半期決算はEPSが予想88¢に対し93¢、売上高が予想12.8億ドルに対し13.1億ドル、売上高成長率は前年同期比-4.2%でした。
売上高の内訳は:
自社売上高3.59億ドル(-30%)
フランチャイズ売上高6.33億ドル(+8%)
フランチャイズ広告売上高3.18億ドル(+17%)
でした。
2019年度のEPSは予想$3.82に対し新ガイダンス$3.75が提示されました。
同社は全体的な戦略を変更中であり業績的には過渡期にあります。
ヤム・ブランズの日足チャート(過去2年間)
(出所:マネックス証券 ウェブサイト取引画面 トレードステーション)
チーズケーキ・ファクトリー(CAKE)
高級カジュアルレストランを展開するチーズケーキ・ファクトリー(ティッカーシンボル:CAKE)の第2四半期決算はEPSが予想81¢に対し82¢、売上高が予想6.12億ドルに対し6.03億ドル、売上高成長率は前年同期比+2.6%でした。
既存店売上比較は1.0%でした。
第3四半期のEPSは予想61¢に対し新ガイダンス52~57¢が提示されました。既存店売上比較ガイダンスは±0%から+1%です。
2019年度のEPSは予想$2.64に対し新ガイダンス$2.58~2.68が提示されました。
チーズケーキ・ファクトリーはフォックス・レストラン・コンセプツと現在チーズケーキ・ファクトリーが保有していない残りのノース・イタリアの株式を合計4.4億ドルで取得します。買収の目的はブランドの分散です。
ノース・イタリアはワシントンDCを中心としたチェーンで9つの州で20店舗を展開しています。年間売上高は1.5億ドルです。レストラン・レベル・マージンは18~20%です。
フォックス・レストラン・コンセプツは7つの州で45店舗を展開しています。年間売上高は2.5億ドルです。レストラン・レベル・マージンは16~18%です。
レストラン・レベル・マージンとは?
レストランの売上高から食材の費用などの売上原価、人件費、固定費(賃料、保険、税金、店舗の清掃の外注費用など)を引き算し計算される利益を、レストラン売上高で割った数値
チーズケーキ・ファクトリーの日足チャート(過去2年間)
(出所:マネックス証券 ウェブサイト取引画面 トレードステーション)
米国株の最低取引手数料は0米ドル(無料)!
マネックス証券の米国株取引では、7月22日(月)米国現地約定分から、最低取引手数料を0米ドル(無料)に引き下げました。さらに、米ドル為替手数料(買付時)を半年間0円(無料)としております。(2020年1月7日約定分まで(予定))
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マネックス証券で米国株取引を始めるには
米国株のお取引を始めるには、外国株取引口座を開設後、
①資金振替(円資金の移動)
②為替振替(円を米ドルへ交換)、もしくは円貨資金の連携指示が必要です。
米国株取引をはじめるには
米国株取引は、マネックス証券の「証券総合取引口座」と「外国株取引口座」の2つの口座を開設すると、ご利用いただけます。もちろんどちらも口座開設・維持費は無料です。
※2020年3月16日以降に証券総合口座を開設された場合は、外国株取引口座が開設されています。(一部のお客様を除く)
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