マネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)は、企業と一緒になって取り巻く環境を改善し、株式市場からの評価を高めていくことを目指した「企業の価値を創り出すファンド」です。
このアクティビストファンドや日本の株式投資について、マネックス証券取締役会長の松本大と個人投資家のみなさまとの座談会を行いました。松本大がマネックス・アクティビスト・ファンドにかける想いや日本の株式市場の未来について語ります。
(本記事は2020年8月に掲載したモーニングスターとのタイアップ企画を一部加工、編集して掲載しています)
個人投資家(5名)
投資歴12年 フリーランス エス氏
投資歴15年 フリーランス ケイ氏
投資歴29年 投信ブロガー エル氏
投資歴6年 投資ブロガー パーサモウニアス氏
投資歴7年 投資ブロガー ザリガニ氏
ファンドのパフォーマンスのイメージは?
パーサモウニアス氏:
魅力的なファンドであるのですが、信託報酬が2%で、プラス成功報酬が取られるということで、一般のファンドと比較するとコストが高いという印象を持ちます。高いパフォーマンスが出るということであれば、多少のコストは我慢できますが、このファンドのパフォーマンスのイメージは、どのような水準を想定されていますか?
松本:
これからやっていくファンドですので、過去のトラックレコードはありません。世の中にあるプロ向けのプライベート・エクイティ・ファンドは年20%台を狙っています。アクティビスト・ファンドは15%くらいが多いです。ヘッジファンドはバラツキがありますが、平均すると10%くらいでしょうか。通常のファンドとプライベート・エクイティ・ファンドの中間くらいの年15%程度を狙っていきます。これは、信託報酬や成功報酬を引いた後の水準です。
パーサモウニアス氏:
このファンドでアクティビストとしての成果が出るまでには、何年くらいの期間が必要だとお考えでしょうか?
松本:
バリューアクトとオリンパスの例は、投資してから2年くらいで株価が2倍になっています。これは結果としてうまくいっている例だと思います。だいたい、企業の経営者と対話をして経営を変えていくということは、ざっくり3年だと思います。3年で株価が1.5倍になるイメージです。年率15%で3乗すると、そのくらいになります。
ただ、マーケット全体の影響を受けますし、エンゲージメントの観点では、もう少し時間がかかるものもあるでしょう。投資商品としてなるべく早く結果が出た方が良いと思われるでしょうから、分かる結果を出していくように努めていきたいと思っています。
3年くらいかかるエンゲージメントの例と、もっと早く結果がでるケースとかを混ぜてやっていくことになると思います。
パーサモウニアス氏:
投資の出口のイメージは? 3年で株価1.5倍がゴールになるのか、あるいは、サッカーからラグビーへの転換が完了したことをゴールに位置付けるのか、銘柄の入れ替えなどの条件はありますか?
松本:
投資では出口のイメージを持つことは大事です。何%リターンがでたら、いったんはOKとする場合。サッカーからラグビーに変わったので、いったん、そこで終わるというケースもあります。どちらか早くゴールに到達した段階で、その投資は終わるという考え方で進めていきます。
エス氏:
投資先が10から20銘柄というと、インデックス投資をしている感覚では、ものすごく銘柄数が少なくて、怖いなと感じるのですが、集中投資をする理由は?
松本:
家族となる人を3,000人は選べないと思います。ちゃんと、深く理解して、経営者、会社の方々にも信頼してもらって、関係を築く。かつ、割安から投資すると考えると、どうしても投資先は少なくなります。対象は100社あっても、対話できる関係を築いていこうと考えると、10社くらいが現実的ではないでしょうか。バブルの崩壊で日経平均が4万円から1万円に落ちた過程でも、うまく100銘柄を選んで投資していたら、勝てたということがあります。インデックスに投資するより、うまくちゃんと選ぶと、高いリターンが狙っていけます。
エス氏:
イメージしていたより怖くなくて、家族のように関わり合って対話していくということですね。
松本:
家族にもいろいろあって、やさしく諭す親子関係とビシビシ怒る親子関係といろいろあると思います。相手次第です。
この仕事にはやりがいがあります。そもそも投資は総力戦だと思っています。無制限格闘技のような感じで、知力、経験、アクセス、また、企業によっては行政も影響するので、行政の考えも理解しないといけない。あらゆる人脈や経営の経験、投資の経験などあらゆるものを使う総力戦です。35年間にわたってマーケットと関わってきて、やっとこのステージで戦えるという感慨もあります。やりがいもあるし、今だからできることだと思っています。
エス氏:
個人投資家も企業にモノを言えるほど、距離感が近くなるということですか?
個人投資家の方が株式を取得されても、一般には声は届けにくいと思います。「マネックス・アクティビスト・ファンド」を購入していただいて、同じ船に乗って、意見を聞かせていただいて、その内容を経営者との対話の中で伝えていきます。このファンドへの投資は、通常の株式を持つこととは異なるインパクトがあると思います。
「マネックス・アクティビスト・ファンド」がめざすところ
パーサモウニアス氏:
「マネックス・アクティビスト・ファンド」に投資していれば、誰でも意見を言えるのでしょうか?
松本:
投資をしていない方もできるようにしています。22年前にマネックス証券を作ったのですが、個人投資家の方にもプロと同じサービスを提供しようというのが、マネックスのもともとの考え方です。より速い注文執行、情報の提供、コスト削減などをやってきました。マーケットと個人投資家の距離は縮まって、20年前と比べると、個人投資家はプロと同じようなレベルでサービスを受けられるようになってきたと思います。ところが、未だに、発行体に対して意見を言う、直接取材をするということでは、機関投資家であるプロと個人投資家の間には雲泥の差があります。この発行企業と個人の距離を縮めたいと思っています。広く意見を募って、我々でしっかり受け止めた上で、経営に伝えていきたいと思っています。
パーサモウニアス氏:
ファンドの将来は、どのように考えていますか? どれだけの時間軸で運用していくのですか?
松本:
永遠です。プロ用のアクティビスト・ファンドは、10年などの年限があります。そうすると、最初は会社を変えるような提案ができても、最後の1年では時間がないので、提案もできなくなってしまいます。このファンドの構想は、ずっと投資していられるパーマネントマネー(永遠のお金)を使ってアクティビスト・ファンドを作るというところが出発点になっています。オープンエンドの投信にすることで、受益者の方々は顔ぶれが変わるかもしれませんが、期限を区切らずにずっと投資が続けられるのです。企業の方も、上場企業になると経営がバトンタッチして永遠に資本があります。投資家とのエンゲージメントもずっと続けられるのです。ファンドは永遠だと思っています。投資チームは変わっていきますが、受益者である個人投資家はずっと存在します。本来、個人投資家が上場企業の最終的なオーナーなのです。法人には株主がいて、保険会社には契約者がいるので、いずれも最後のオーナーは個人なのです。その個人と企業をちゃんとつないでいこうという構想です。永遠に続けていけるファンドであると考えています。
出所:カタリスト投資顧問ウェブサイトより
エス氏:
アクティビストとして会社を一緒に変革することを実感できれば良いと思うのですが、それを実感させてくれるような仕組みはありますか?
松本:
個人を一緒にしたアクティビスト・ファンドは、世界に例がないので、いろんなことを考えています。中でも投資家の方にとってはフィードバックがないとつまらないと思うので、それを説明する特別な運用報告会を開催していきたいと思います。この報告会は受益者の方を対象にして、私たちが投資家の方々から集めた意見を、どのような提案にまとめて企業にぶつけたのか。そして、その結果、企業がどのように変わったのかを伝えていきます。ぜひ、多くの方々に、「マネックス・アクティビスト・ファンド」に参加していただきたいと思います。(終)
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