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「債務の株式化」によって恩恵を受ける銘柄に注目

マネックスの今が旬の注目5銘柄 中国株

「債務の株式化」によって恩恵を受ける銘柄に注目

「債務の株式化」が大きく注目されるようになってきた。

本土マスコミは4月4日、国家開発銀行のある幹部の発言として、「中国は3年、あるいはもっと短い期間において、1兆元前後の規模の銀行における潜在的な不良債権を債務の株式化によって解消するだろう」などと伝えている。

また、李克強首相は3月24日、ボーアオアジアフォーラムに出席し、「債務の株式化を通して、企業の債務レバレッジを引き下げる」などと発言している。

今年の全人代における政治活動報告では、経済運営政策の重点として、供給側改革が挙げられた。

鉄鋼、石炭、セメント、造船、電解アルミ、ガラス、その他非鉄金属などの産業において、過剰生産体質の企業について、生産設備の淘汰や企業リストラを行うことで、産業構造の調整を行なおうという計画である。

結果的に国家は、弱い企業を淘汰することになるが、そうなれば、多額の不良債権が発生する。それを処理するためのスキームがこの「債務の株式化」である。

今回は、「債務の株式化」によって恩恵を受けるとみられる銘柄をピックアップした。

(2016年4月11日執筆)

[00358]江西銅業(ジャンシーコッパー)

株価
10.10香港ドル(4/21終値)
特徴
H株/国内最大の銅メーカー
企業動向
国内で最大規模の埋蔵量を持つ鉱山を保有。開発、精錬から加工まで行う。主力製品は陰極銅だが、銅線、銅棒や、金、銀、モリブデンなども生産する。2015年12月期の業績は6.6%減収、76.2%減益。陰極銅の生産量は微増だが、需給の悪化、ドル高などから価格が急落、大幅減益となった。同社が「債務の株式化」の対象企業に選ばれるとは限らないが、業界再編の加速は生産量を維持できる大手にとって有利。価格回復で業績は底打ちへ。

[01359]中国信達(チャイナシンダ)

株価
2.63香港ドル(4/21終値)
特徴
H株/財政部出資による不良債権処理会社
企業動向
買い取った不良債権の価値を高めて譲渡したり、清算売却、証券化、資産交換などで収益化。2015年12月期業績は31.7%増収、17.9%増益。不良債権資産は豊富だが、収益率が低下。一方、証券、先物、ファンド管理、保険などの金融サービスが急成長し業績をけん引。債務の株式化に伴って行われる企業リストラは、同社にとってビジネスチャンスの拡大に繋がる。金融緩和の継続も同社にとって有利。

[00914]安徽海螺(アンフイコンチセメ)

株価
21.60香港ドル(4/21終値)
特徴
H株/本土大手セメントメーカー
企業動向
北方を除く地域で生産販売。アメリカ、EU、アフリカ、アジアなどへの輸出、現地生産にも注力。2015年12月期業績は16.1%減収、31.3%減益。セメント・クリンカー販売量は微増だが、需給悪化で価格が大幅に下落、減益を余儀なくされた。債務の株式化により供給側改革が加速。セメント需給の改善によって、価格は底打ちへ。今後は、インドネシア、インド、ミャンマーなどでの設備建設が進展、海外部門が成長へ。

[01398]中国工商銀行(インダコマシャルバン)

株価
4.39香港ドル(4/21終値)
特徴
H株/本土最大手の国有商業銀行
企業動向
2015年12月期業績は5.3%増収、0.5%増益。プライベートバンキング業務など手数料ビジネスが好調であったものの、5度にわたる利下げや金利自由化の影響で主力の貸出業務が伸び悩み。減損損失の拡大もあり、微増益にとどまった。債務の株式化は銀行における潜在的な不良債権の減少に繋がる。供給過剰が深刻な素材産業向け融資残高の大きな大手金融機関にとっては有利な政策である。

[00347]鞍鋼(アンガンスチール)

株価
4.25香港ドル(4/21終値)
特徴
H株/遼寧省鞍山市を拠点とする大手鉄鋼メーカー
企業動向
用途は、自動車、建設、造船、家庭用電器、鉄道線路など幅広い。2015年12月期業績は28.7%減収、45億9300万元の赤字。販売量の減少に加え、価格が大幅下落。原材料コストが低下したものの、赤字転落となった。鉄鋼は石炭と並び、供給化改革の中心セクターである。同社は1999年6月、債務の株式化(A株転換)を実施。現状の財務内容、経営成績、業界での地位から判断すれば、今回も実施される可能性があると予想。

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TS・チャイナ・リサーチ代表

田代 尚機氏

1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。

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3 00460 四環医薬
(スーファンファーマ)
中国で3番目の大手医薬品メーカー。全国で3000以上の代理店を持ち、1万以上の病院や医療機関の需要をカバーする。
4 00700 騰訊控股
(テンセント)
中国最大手のインターネットサービス企業。主に、インターネット向け、携帯電話向けの付加価値サービスとオンライン広告サービスの提供。また、「微信」・「騰訊遊戯」など、SNSやオンラインゲームを含むその他多くのサービスを展開。
5 06889 ダイナムジャパン
( ダイナムジャパン)
顧客にパチンコとパチスロという2タイプのゲームをする会場を提供する日本のパチンコホール運営会社。異なるプレー料金のパチンコとパチスロゲームを提供する「既存店」、「ゆったり館」及び「信頼の森」という3タイプの店を運営する。
6 02018 瑞声科技
(AACテクノロジー)
動的コンポーネント(レシーバー、スピーカー含む)、マイク、ヘッドホン、その他製品(変換器、振動器含む)の製造を行う。
7 00883 中国海洋石油
(シノック)
オフショア石油開発業者として中国最大を誇り、海底油田の探査・開発および原油や天然ガスの生産・販売を手掛ける。川上事業に特化し、渤海湾や南シナ海など中国近海のほか、インドネシアやナイジェリア、豪州、カナダなど海外でも油田権益を保有。
8 01211 BYD
(ビーワイディー)
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9 01246 毅信控股
(ンガイシュン)
香港でインフラや建物を建設する際の基礎工事を手掛ける。主要顧客の大手建設会社から基礎工事を請け負う下請け事業者としては売上高ベースの市場シェアでトップクラス。
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