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景気減速下でも業績好調なセクターに注目

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景気減速下でも業績好調なセクターに注目

4月の経済統計が出そろった。全体の動向をまとめると以下の通りである。

・鉱工業生産は6.0%増で、前月と比べ0.8ポイント悪化。

・累計の固定資産投資は10.5%増で、前月累計と比べ0.2ポイント悪化。

・小売売上高は10.1%増で、前月と比べ0.4ポイント悪化。

・輸出は1.8%減で、前月と比べ13.3ポイント悪化。また、輸入は10.9%減で、前月と比べ3.3ポイント悪化。

・4月末のM2は12.8%増で前月末と比べ0.6ポイント下落。また、人民元新規貸出純増額は5,556億元で、前年同月を1,523億元下回った。

・一方、累計の全国不動産開発投資は7.2%増で、前月累計と比べ1.0ポイント改善した。

並べてみるとよくわかるが、不動産投資を除き、すべての指標が前月と比べ悪化している。

ただし、悪いなりに、部分的には好調なセクターもある。

例えば、1~4月の累計でみると、新型自動車の生産量は92.5%増となっている。スマートフォン、高速鉄道車輛などの生産量は二桁増となっている。

また、4月累計の固定資産投資を見ると、繊維業の投資は16%増、医薬製造業の投資は15%増である。今回は、マクロ面で見て、景気減速下でも業績好調なセクターに焦点を当ててみた。

(2016年5月23日執筆)

[01211]BYD(ビーワイディー)

株価
46.05香港ドル(6/8終値)
特徴
H株/電気自動車では業界トップの自動車メーカー
企業動向
営業利益の6割は自動車製造だが、二次充電電池の製造、携帯部品・組立実装サービスなども手掛ける。2016年1-3月期業績は32.7%増収、603.4%増益。新エネルギー自動車の販売急増が好業績の主な要因。2016年6月中間期業績について、同社は382~425%増益見通しを発表している。新エネルギー産業の育成・発展は第13次五カ年計画の重点分野の一つ。政策効果で高成長が続くと予想。

[02018]瑞声科技(AACテクノロジー)

株価
65.60香港ドル(6/8終値)
特徴
その他香港/本土の音響部品メーカー
企業動向
スピーカー、レシーバーなどの可動コイルデバイス、マイクロフォン、イヤホン、携帯電話、ゲーム機などに使われるバイブレーター、触覚センサー・RFモジュールなどを製造。2016年1-3月期業績は10.4%増収、2.1%増益。iPhone向け製品の伸び悩み、研究開発費急増のため微増益にとどまった。足元では本土メーカー向けが好調。スマホ携帯向け音響部品が牽引し、業績は回復へ。

[03898]中車時代電気(CRRCタイムズ)

株価
44.50香港ドル(6/8終値)
特徴
H株/電車製造大手である中国中車(01766)の子会社
企業動向
従来型電車、動車組(中国版新幹線)や地下鉄などの都市型軌道交通に用いられる制御用コンバーター、補助供給電力設備、コントロールシステムなどが主要製品。2016年1-3月期業績は19.8%増収、41.7%増益。動車組の売上が急増、その粗利益率の高さもあって、大幅増益を達成。IGBT本格生産で地下鉄など都市交通車輛のほか、電力ネットワーク、スマートグリッドなどに用途が拡大。業績好調維持へ。

[00321]徳永佳集団(テキスウィンカ)

株価
7.36香港ドル(6/8終値)
特徴
その他香港/本土のアパレルメーカー
企業動向
ニット生地、綿織物の染色、製造が主力事業。カジュアルアパレルやアクセサリーの販売も行っている。2015年9月中間期業績は8.6%増収、2.0%増益。アメリカでの販売回復で主力のテキスタイル部門が復調、増収増益を確保した。また、商標権、子会社売却などから2016年3月期業績は大幅増益見通し。アメリカでの販売回復が続くこと、本土小売部門での不採算店のスクラップ、在庫管理の徹底などから業績は回復基調へ。

[01093]石薬集団(CSPCファーマ)

株価
7.10香港ドル(6/8終値)
特徴
レッドチップ/研究開発に強みを持つ薬品メーカー
企業動向
先発医薬品、ジェネリック医薬品、原料品を生産。手掛ける薬品は、抗生物質、心臓血管用薬、解熱鎮痛用薬、消化系統用薬、抗がん剤など1,000近くに及ぶ。2016年1-3月期業績は7.6%増収、26.3%増益。主力の先発医薬品が27.8%増となったことで、抗生物質の減少を吸収、増収を確保。粗利の改善から二桁増益を確保。心臓血管疾患、糖尿病、精神病、感染症薬など180種余りの新薬を開発中。研究開発力、抗がん剤の販路拡大に期待。

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TS・チャイナ・リサーチ代表

田代 尚機氏

1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。

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順位 銘柄コード 銘柄名 特色
1 00700 騰訊控股
(テンセント)
中国最大手のインターネットサービス企業。主に、インターネット向け、携帯電話向けの付加価値サービスとオンライン広告サービスの提供。また、「微信」・「騰訊遊戯」など、SNSやオンラインゲームを含むその他多くのサービスを展開。
2 01818 招金砿業
(ジャオジンマイニング)
金、銅の探査、採掘、精錬を行う。
3 00699 神州租車
(カー)
中国本土で「神州租車(China Auto Rental)」のブランドでレンタカー事業を展開する。短期、長期、リースに対応し、レンタカー事業では国内最大手。
4 01211 BYD
(ビーワイディー)
自動車メーカー。自動車・関連製品、充電式電池、携帯電話部品の研究開発、製造、販売。その他、組立サービスも手掛ける。
5 02318 平安保険
(ピンアンインシュラ)
中国の生命保険大手。主な事業は、生命保険、損害保険、銀行業務、及びその他金融サービス。
6 01766 中国中車
(CRRC)
鉄道車両の製造、メンテナンス、改良、改修などを行う。
7 00261 中建置地
(CCTランド)
不動産事業や通信機器製造を手掛ける。
8 00902 華能国際電力
(ホァネンパワーイン)
大型発電所の開発、建設、運営、管理を行う。
9 03888 金山軟件
(キングソフト)
オンラインゲーム、携帯電話用ゲーム、レジャーゲームの研究開発、運営と卸売、インターネットセキュリティ、辞書及びオフィスソフトの研究開発、運営と卸売などを行う。
10 03333 恒大地産
(エバーグランドリアル)
不動産開発、投資、管理サービス、不動産建設、不動産開発関連サービスを行う。

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