【中国株】下期も業績好調が見込まれる銘柄に注目

配信日：2017年8月22日

【中国株】下期も業績好調が見込まれる銘柄に注目

足元の経済情勢の研究分析が行われ、下半期の経済運営などが決められる中共中央政治局会議が7月24日に開催された。

重要なポイントは以下の7点である。

（１）下半期の経済運営を上手く行い、安定の中で前進を求めるといった経済運営の基調を堅持し、穏健な中で前進するといった関係、均衡を保ち、好機をつかみ、それらをしっかりと把握する。

（２）供給側構造性改革について変わることなく深化させることを堅持し、"三去一降一補"を深く推し進め、ゾンビ企業の弱点をしっかりと処理し、その多くについては市場メカニズムによって優勝劣敗を実現させる。

（３）累積する地方政府債務のリスクを積極的かつ穏健に処理し、地方政府の起債、融資を有効に規範化し、隠れた債券の増加を断固として止める。

（４）金融のシステマティックリスクが発生しないようにそのボトムラインを確保し守る。金融の乱れた現象を深いところから直し、金融監督管理協調を強化し、金融サービスの実体経済への効率や水準を引き上げる。

（５）不動産市場を安定させ、政策の連続性、穏健性を堅持し、長期的に効果のあるメカニズムの構築を加速する。

（６）外資、民間投資を安定させ、投資心理を安定させ、財産権保護を強化し、外資の市場参入を拡大し、投資家を吸引するために商業運営環境を強化する。

（７）民生業務を高度に重視し、積極的に就業を促進し、困難な民衆を助け、生産、生活の中で発生する困難、問題を解決する。

上期に続き、供給側構造性改革、金融リスクの縮小政策、不動産コントロール政策など、景気に対して抑制的な政策が続きそうである。

一方で、経済の安定成長を最初の項目に置いており、景気に対する配慮がなされている。PPPプロジェクトを通じたインフラ投資の拡大が期待できそうだ。

今回はこうした政策対応などによって、業績が回復、好調を維持しそうなPPP関連、非鉄金属関連などに注目した。

（2017年7月28日執筆）

［01157］ズームリオン(中聯重科)

株価: 3.86香港ドル（8/17終値）
特徴: H株／湖南省政府系の建機メーカー
企業動向: トラックミキサー、タワークレーンなどの建設機械、道路清掃車、ごみ収集車、農業機械などを製造。同社は7月14日、2017年6月中間期の見通しについて、前年同期の8億3700万元の赤字から、11～13億元の黒字に転換すると発表。環境関連事業の権益売却、貸倒損失や在庫評価損に備えた引当金の多額の戻入などが要因。足元で、エンジニアリング機械、農業機械の業績が好調。下期はPPPプロジェクト急増を受け、業績回復へ。

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［03311］チャイナステートコン(中国建築国際)

株価: 12.44香港ドル（8/17終値）
特徴: レッドチップ／本土の大手建設会社
企業動向: 主要業務は本土での保障性住宅、インフラ建設や、香港、マカオでのビル、住宅、インフラ建設など。2016年12月期業績は21.6％増収、13.4％増益。マカオでの大型案件や、中国での保障性住宅などのPPP案件増加が業績をけん引した。2017年1-6月の受注が好調。新規受注は23.0％増、6月末の受注残が24.0％増。本土における保障性住宅、バラック住宅の建て直しなどを中心にPPP案件が急増中。下期も業績好調持続へ。

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［03993］ラクヨウモリブデン(洛陽モリブデン)

株価: 3.75香港ドル（8/17終値）
特徴: H株／民営の大手非鉄メーカー
企業動向: モリブデンでは世界最大、タングステンでは世界第2位の保有量。オーストラリアでは銅・金鉱山、ブラジルではニオブ・リン鉱山、コンゴでは銅・コバルト鉱山を所有。2017年1-3月期業績は399.6％増収、323.3％増益。コンゴ、ブラジル事業の買収による事業規模拡大により、大幅増収増益となった。世界最大のコバルト供給メーカーとなったことで、新エネルギー自動車向けの旺盛な需要を受けて今後、収益が大きく拡大する見込み。

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［01193］リソーシズガス(華潤燃気)

株価: 29.85香港ドル（8/17終値）
特徴: その他香港／華潤（集団）傘下の中国最大規模のガス供給会社
企業動向: 「西気東輸」、「川気東送」プロジェクトなどで運ばれる天然ガスを家庭や企業に供給。2016年12月期業績は、0.3％増収、15.9％増益。ガス販売量は15％増加したが、ガス価格が下落。ガス管接続戸数が10％増えたことで増益を確保。供給側改革、大都市への人口流入などにより、天然ガス需要は増加、ガス管接続業務の拡大余地も大きいと予想。天然ガス価格は今期、落ち着くとみており、業績好調持続へ。

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［00386］シノペック(中国石油化工)

株価: 5.67香港ドル（8/17終値）
特徴: H株／中国最大の石油化学メーカー
企業動向: 石油、天然ガスの探査、開発、掘削、貯蔵、パイプ輸送、ガソリン、ディーゼル油などの精製、石化製品の製造、販売を行う。2017年1-3月期は40.6％増収、157.9％増益。原油価格の上昇により、石油開発部門の赤字が縮小。石油化学部門は製品価格上昇で、業績好転、川下資産の権益拡大もあって、業績は急回復。混合所有制改革が進展。石油、天然ガス改革に伴う事業効率の改善にも期待。

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TS・チャイナ・リサーチ代表

田代　尚機氏

1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。

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※2017年7月1日～ 7月31日のマネックス証券における売買代金上位10銘柄を集計

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順位	銘柄コード	銘柄名	特色
1	00700	騰訊控股 (テンセント)	中国最大手のインターネットサービス企業。主に、インターネット向け、携帯電話向けの付加価値サービスとオンライン広告サービスの提供。また、「微信」・「騰訊遊戯」など、SNSやオンラインゲームを含むその他多くのサービスを展開。
2	00175	吉利汽車 (ジーリーオート)	中国の民間自動車部品メーカーで傘下に自動車メーカーも有す。
3	02318	平安保険 (ピンアンインシュラ)	中国の生命保険大手。主な事業は、生命保険、損害保険、銀行業務、及びその他金融サービス。
4	01357	美図公司 (メイトゥ)	写真補正アプリ「美図秀秀」などのスマートフォン用のアプリを開発する。
5	02018	瑞声科技 (ＡＡＣテクノロジー)	動的コンポーネント（レシーバー、スピーカー含む）、マイク、ヘッドホン、その他製品（変換器、振動器含む）の製造を行う。
6	02382	舜宇光学 (サニーオプティカル)	光学機器の設計・研究開発・製造・販売。
7	00005	ＨＳＢＣ (エイチエスビーシー)	世界最大級の金融グループ。本社はロンドン。日本にも展開している。
8	03339	中国龍工 (ロンキング)	中国の大手建設機械メーカー。
9	02689	玖龍紙業 (ナインドラゴンペー)	段ボール原紙の生産などを行う中国の大手板紙製造企業。
10	01530	三生製薬 (スリーエスバイオ)	中国でバイオ医薬品の開発、生産を手掛ける。