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2017年度下半期 日本株展望(大槻 奈那)

2017年度下半期 日本株展望(大槻 奈那)

2017年度下半期、果たして株価はどう動くのか。マネックス証券のアナリスト陣が2017年度下半期の株式市場の見通し、注目テーマ解説、そして注目銘柄などをお伝えいたします。ぜひご参考ください。

大槻奈那

マネックス証券 チーフ・アナリスト

大槻 奈那

東京大学文学部卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。
2016年1月より、マネックス証券のチーフアナリストとして国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析する。現在、名古屋商科大学経済学部教授を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員。

下期の銀行株の見通し~注目銘柄は~

国内金利は低位で推移。邦銀も業績低迷で株価の上値は重い

消費者物価指数が伸び悩む中、日銀は極めて動きにくい状態が続く。北朝鮮問題もあり、相対的な安全資産の国債への投資は衰えそうにない。現在、行き過ぎた金利の戻りを受けて、銀行株も持ち直しているが(図表1)、中期的には、金利は上昇しにくい環境が続くとみるのが自然である。

図表1:銀行株価vs国債利回り

(出所)Bloombergよりマネックス証券作成

金利が低迷する中では、他に相当強い要因がない限り銀行株は上昇しにくい。過去25年間で、中長期金利が下落する中で銀行株が上昇したのは、1)金融危機からの脱却時(1998年頃や2011年頃)、2)大きな政策転換時(2013年の異次元緩和や2016年のトランプ政権誕生時)の2つの場合にほぼ限定される(図表1)。しかし、いずれも下期に期待できる要因ではない。

では、逆に株価の下落要素はあるか。業績的には前年比横ばいから、海外拡大、経費圧縮、政策株売却等でせいぜい微増益といったところである(図表2)。マイナス金利の継続で、運用難、利鞘低下に悩まされる。副作用を指摘されているカードローンやアパートローンの抑制で平均利鞘を打ち返すほどの力はない。手数料は昨年よりはマシだが利ざや低下を補うほどのものではない。

図表2:邦銀の当期利益

(出所)Bloomberg、各行資料よりマネックス証券作成

かといって、過去にみられたような不良債権の急増などの懸念材料もないことから、邦銀の利益は、大手行ではほぼ横ばい、地銀では微減益基調とみられる。

投資戦略:市場平均以上の株価上昇は見込みにくいが、高配当維持はまず確実。一方、株価上昇を狙うなら欧米金融株がベター

このように、下期は、事業環境からも業績からも、市場平均株価以上の上昇を期待するのは難しいだろう。しかし、業績の安定性の割に配当は高く、配当維持のコミットメントも高いため、インカムゲイン狙いの投資先としては推奨できる(図表3)。

図表3:株価純資産倍率vs 配当利回り

(出所)Bloombergよりマネックス証券作成

一株当たりの利益と配当利回りからみた注目銘柄は、三菱UFJ(8306)りそな(8308)三井住友トラスト(8309)あおぞら銀行(8304)千葉銀行(8331)、などである(図表4)。

図表4:配当利回りvsEPS成長率予想(%)

(出所)Bloombergよりマネックス証券作成 配当利回りは9/27終値ベース

金融セクターでキャピタルゲインを狙うなら日本より欧州、米国

なお、金融セクターで値上がりを期待するなら、邦銀よりも米国と欧州の方が望ましいだろう。

欧州は、いよいよECBの資産購入が始まる。ドイツの総選挙が終わったことで、EUの統一強化に向けて動きやすくなる。途中になっている「銀行同盟」の完成や、欧州版IMFすなわち「EMF」の設立等が整備されれば、イタリアの金融問題などのリスクに動揺することも少なくなる。

カタルーニャの独立を問う住民投票などの不透明要因もあるが、まだごく一部の地域限定の動きであるし、イタリアの総選挙までもまだ時間がある上、反EUの「5つ星運動」も、融和路線に若干軌道修正している。

米国の金利は、FRBのバランスシートの縮小開始に加え、12月か来年初頭には追加利上げ実施の確率も高い。ドッド=フランクなどの金融規制も一部緩和される可能性もある。

なお、米国の金利が上昇すれば日本の金利も連れ高で銀行株にもプラス、というロジックは、過去ほどは効かなくなっている。現在日本の中長期金利は、日銀のイールドカーブ・コントロールで、米国とは連動しにくい。もし、金利の連れ高期待で邦銀株の上昇を期待するくらいなら、素直に米国の金融株を選ぶべきだろう。

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大槻 奈那

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