グループ会社のマネックスSP信託が、遺言作成から遺言の執行(遺言に沿った相続手続きの代行)までをサポートする業務に関して、朝日税理士法人と提携しました。
この提携によって、マネックスSP信託は、円滑な相続をご自身の意思で準備したいと考えるお客様に対して、遺言のご相談を承れるようになりました。さらに、ご要望いただければ、税務相談もあわせて提携先の税理士が承ります。
そこで、この拡充したサービスを活かしていただくためにも、そもそも遺言とは何か、どう向き合えばいいのか、をあらためて考えてみたいと思います。
遺言との向き合い方
まず財産に宛名をつけてみる
遺言とは、将来、相続が発生した際に備えて、ご自身の財産の処分方法について意思表示をするものです。遺言は相手の承諾なく、一方的な意思表示で行うことができます。
遺言を「ご自身の財産に宛名を付けておく」と考えてみてはいかがでしょうか。
そうすることでご自身に万が一があった際に、準備しておくことができます。
遺言は遺言者が亡くなってからその効力が発生します。生前は何ら効力はありません。今のうちに遺言を書いておいたとしても、銀行の預金も今まで通り使えますし、不動産も改築したり、売却することもできます。また、遺言は変更や取消(撤回)もできます。一度、財産に宛名を付けたものの、その後の財産の増減で割り振りを変更したければ、宛名を付け替えれば良いのです。
遺産額と相続トラブルの関係性は?
万が一に備えて遺言を残すことで、遺産分割をめぐるご家族のもめ事を防ぐこともできます。このトラブルは、遺産の多寡によらず、誰にでも起こり得ます。財産額が少ないため、遺言を書かなくてもよいとは言えません。
遺言がなければ、相続発生後に、相続人同士で遺産分割を協議することになります。法律は相続人の分割割合(法定相続分)を定めています。それでも遺産分割の「争続」が多いのは、法律だけでは割り切れないこと、例えば、血縁の近さと関係性の近しさは一致しないこと等の表れでしょう。
遺産分割事件のうち認容・調停成立件数における遺産の価額別割合
出典:最高裁判所「令和2年司法統計年報 3 家事編」 第52表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割しない」を除く)」
遺言の3ステップ
遺言を書く場合、次の3ステップで作成してみましょう。
- 財産を一覧にまとめてみる。
-
相続人となることが予定されている人を書き出す。
※複雑な場合には戸籍謄本で確認可能
- 財産ごとに相続人を割り振ってみる。
遺言作成時の注意点
- 相続人の範囲は明確になっているか。
- 財産の配分に偏りはないか。(遺留分を考慮できているか)
- 相続人に相続税が発生する場合、現金や換金しやすい資産を割り振っているか。
- 記載した相続人が先に亡くなった場合にも、困らない内容になっているか。
- 主要な資産(預金、不動産)以外も割り振っているか。
などがあります。
その他にも金額や形状から分割しにくい財産等もありますので、その点には注意が必要です。
遺言でできること
前述のとおり、遺言とは、将来、ご自身の財産の処分方法について意思表示をするものです。
例えば、次のようなことが可能です。
- 法定相続分とは異なる割合の相続を指定できます。
- 相続人ごとに、どの財産をどのような形で譲り渡すかを決められます。
- 相続人以外の第三者を指定し、一部の財産を譲り渡すこと(遺贈)ができます。
遺言書を残す際に、ご家族への想いやメッセージ等(付言事項)を添えられると、より心温まる相続が実現できると思います。
まとめ
人生は、寿命までではなく、ご自身の遺したものが後世にきちんと引き継がれるまで、とも考えられます。
良好な家族関係が、ご自身の相続を機に危ぶまれるような火種は消しておきたいものです。
また、人生100年時代では余命の前に健康寿命の課題があります。対策する前に判断能力が低下して決められなくなることは最も避けたい事態です。
この機会に「財産に宛名付け」を始めてみるのはいかがでしょうか。これは遺言の始まりであって、これからも見直していけば良いのです。
宛名付け方にもノウハウはあります。遺言を始めてみようと思われたお客様は、是非マネックスSP信託までご相談ください。私たちはお客様のより豊かなシニアライフの設計を支援します。
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