はじめてのテクニカル分析

用語集

サイクル
価格推移において、節目となる安値から次の安値までのこと。期間が数週間以下のものを短期、数ヵ月程度を中期、数年以上を長期サイクルという。価格推移は、投資家の心理や投資家を取り巻く様々なルール、季節変化などによって、しばしば周期的に上下動を繰り返すが、この周期性について分析する手法をサイクル分析という。現在ではフーリエ解析やスペクトル分析など、物理学を応用して高度な分析が行われることもある。
最適化(さいてきか)
テクニカル指標の計算期間などを調節して、分析対象の収益を最大化すると同時にリスクの最小化を図ること。価格推移のサイクルやボラティリティなどの変動特性は、投資対象によって異なっているので、テクニカル指標は分析対象に合わせてシグナルの出方を調節する必要がある。分析対象の過去データを用いて調節するが、過去の推移に最適化させすぎると、将来の推移に適合しない可能性が大きくなる点には注意が必要である。
裁定取引(さいていとりひき)
先物と現物が取引最終日には同値になることを利用して、両者の価格差が理論値よりも縮小したり拡大した時に、割高のものを売り、割安のものを買って乖離分を獲得する取引方法のこと。裁定ポジションを作った時点で利益が確定するのでリスクは小さいが、取引コストを上回る乖離が生じることは少なく、投資機会は多くない。大きな資金量が必要な割に利益率が小さい場合が多く、主に機関投資家が行う手法である。
酒田五法(さかたごほう)
出羽庄内(現在の山形県酒田市)の本間宗久が考案したとされる相場観測法。本間宗久は、米相場で大財を成した江戸時代の米商で、その相場心得が本間翁の著書として明治時代に出版されているが、そこには罫線の解説はない。従って、本間翁の名を借りた後世の作と考えられるが、作者は不詳である。三山、三川、三法などで構成され、ローソク足の古典的な解釈法として広く知られているほか、一部は海外にも紹介されている。
三角保合(さんかくもちあい)
価格推移が上昇と下落が繰り返される保合相場のうち、高値同士を結んだ線と安値同士を結んだ線の間隔が、徐々に狭まって三角形となる展開のこと。三角形の右端で上下どちらかに放れるが、その場合、短期間で大きく動く場合が多い。高値が徐々に切り下がる場合は売り方優勢、安値が徐々に切り上がる場合は買い方優勢が暗示される。海外では数ヵ月に及ぶものをトライアングル、数週間で終わるものをペナントと呼んで区別する。
三尊天井・逆三尊底(さんぞんてんじょう・ぎゃくさんぞんぞこ)
大勢転換する時に現れるとされる価格推移のパターンで、3つの高値のうち中央が最も高く、左右が同程度の高さとなる場合を三尊天井、3つの底値のうち中央が最も深く、左右が同程度の深さとなるものを逆三尊底という。海外でもヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ/ボトム(H&ST/H&SB)と呼んで注目される。ただし、日本では三尊天井が肩、腰、肩、腰、肩で構成されるのに対し、海外のものは期間、形状共にかなり寛容である。
三段上げ/下げ(さんだんあげ/さげ)
上昇または下降の局面で2回の反動場面があること。日本では古くから、上昇局面では上・下・上・下・上の三段で上げ、下降局面では下・上・下・上・下の三段で下げると考えられていた。両者を合わせて三段高下(さんだんこうげ)という。これによって、相場推移の中で、現在の相場がどこまで進展したかを判断しようとした。エリオットの5波動と全く同じ捉え方だが、エリオットが三段高下から着想を得たとは考えにくい。
支持線(しじせん)
上昇局面の起点となる底と、その後の上昇過程で現れた節目となる安値を結んで右方へ延長した線のこと。あるいは、過去に大勢が転換した天井や底を起点として、右方へ引いた水平線のこと。前者は下値支持線ともいう。上昇していた価格が下落に転じた場合、単なる押し目なのか、あるいは下落に転じたのか判断し、投資行動の決断をしなければならないが、その目安として、これらの線と交差する水準に注目する。
システム取引(しすてむとりひき)
コンピュータが条件判断をして自動的に売買すること。コンピュータのプログラムにファンダメンタル分析やテクニカル分析の様々な判断基準を組み込み、価格推移と照らし合わせることで売り買いを判断し、人手を介さずに建玉と手仕舞いを行う取引手法のこと。アルゴリズム取引はシステム取引の一種だが、発注によって市場の価格形成が歪められないことに重点が置かれており、収益の獲得が目的ではない点が異なる。
下影(したかげ)
ローソク足において、実体の下端(始値と終値のいずれか安い方)から安値まで引かれる縦線のこと。下影は、売り方が安値まで売り浴びせたものの、最終的には買い方に押し戻されたことを意味するので、買い方優勢と判断されることが多い。しかし、実際には、下陰線(したかげせん=上影よりも下影の方が明確に長い線)は下降局面において多く観察されることから、売り方が敵陣へ攻め込んだ痕跡という見方ができるかもしれない。
実体(じったい)
ローソク足において、始値と終値の間に描かれる太い軸の部分のこと。ローソク足が考案された明治時代には、始値から終値までが本来の値動きであり、そこから逸脱して高値や安値をつける動きは虚象と考えられていた。虚象は一般的に「影」と呼ばれたが、始値から終値までの部分に対する一般的な呼称はなかった。「要軸」などと呼ばれることはあったが、いつから「実体」と呼ばれるようになったのかは定かではない。
順位相関係数(じゅんいそうかんけいすう)
スピアマンが考案した時間経過と価格推移の相関を示す係数のこと。最新を1とした一定期間の時間の順位と価格の順位の相関係数で、±100の値をとる。+70以上であれば時間の経過と共に価格が上昇する傾向が強く、-70以下であれば下落する傾向が強いことを意味する。計算期間を長めとする方が騙しが少なくなり、短期投資よりは中長期投資向きの指標である。ただ、式が煩雑で計算しにくいことが難点である。
順張り(じゅんばり)
現在の価格推移が続くことで利益が得られる方向に投資を行うこと。上昇局面では買い、下降局面では売りのポジションを取ることを意味し、初心者にも向く売買手法である。海外でも「The Trend is Your Friend」といって推奨している。ただし、買った後もトレンドが長く続くという保証はないので、マーケットに参加するつもりなら、トレンドの発生を確認したら直ぐに行動を起こせるように準備しておいた方が良い。
新値(しんね)
過去一定期間における最高値もしくは最安値のこと。前者は新高値、後者は新安値といい、上場来高値、年初来高値など、いつからの記録かが分かるように明示して使う。過去の記録となる価格は、支持帯や抵抗帯として強く意識されるので、それを更新するには相応のエネルギーが必要となる。新値の更新は、相場に力があることを暗示しており、その方向の価格推移が続いたり加速する可能性があるので特に注目される。
新値足(しんねあし)
過去一定期間の新値を更新したらチャートに記録する描画方法のこと。最も一般的な3本新値足(新値3本足ともいう)は、直前3本の足の最高値または最安値を更新する度に行を変えて記録する。明治時代に井上陽三郎が紹介したのが最初で、直前1本の新値を更新する度に記録した。この他に、価格推移が反転するまで行を変えずに鉤足で描く、陰陽切替足があり、本間宗久が使用したとされるが、現在使われることはまれである。
スイングトレード
数日~数週間の価格変動を検出して順張りを行う投資戦略のこと。価格が移動平均線を上回ったら買い、下回ったら売る、オシレーターが価格上昇入りを示唆したら買い、下落入りを示唆したら売るといった、価格推移の方向転換に注目して、転換した方向にポジションを取る。流動性が高く方向観がつかみやすい投資対象に有効だが、騙しのシグナルも多いので、ファンダメンタルズにも配慮した相場観を養うことが肝要である。
スカルピング
小掬い(こすくい)商いのこと。現在は、ディーラーやデイトレーダーなどが、日中の小さな値動きを捉えて小幅な利益確定を繰り返す投資手法を指す場合が多い。元々は、ブローカーなどが特定銘柄を顧客に推奨し、価格が動いた所を狙って、自ら事前に仕込んでおいたポジションを解消することで利益を得る違法行為を指したが、こちらは顧客の先回りをすることから日本ではフロント・ランニングと呼んでいる。
ストキャスティクス
1957年に米国のジョージ・レーンが発表したオシレーター。一定期間における最高値と最安値の間で、直近の終値が下から何%の位置にあるかを計算。100%(=最高値)に近ければ買われ過ぎ、0%(=最安値)に近ければ売られ過ぎと判断する。%K、%D、slow%Dの3種類があるが、現在は%Dとslow%Dを使うことが多い。人気のある手法だが、価格が継続的に上昇または下降している場合には「騙し」が多くなるので注意が必要である。
相関(そうかん)
2つの数列の連動関係のこと。例えば株価、為替、金利などは、相互にある時は連動し、ある時は逆行することが知られているが、この関係の強弱は数学的に求めることができる。この数値を相関係数(そうかんけいすう)という。相関係数は±1の数字で表され、十0.7以上であれば正の相関(=連動性)が強く、一0.7以下であれば負の相関(=逆行性)が強いと判断される。しばしば投資対象の特性を明らかにする目的で利用される。
相対力指数(そうたいりょくしすう)
1978年に米国のJ.ウェルズ・ワイルダーJr.が発表したオシレーター。一定期間における終値の前日比騰落幅の累計の中で、前日比で上昇した値幅の合計が何%かを計算。100%(=連続高)に近ければ買われ過ぎ、0%(=連続安)に近ければ売られ過ぎと判断する。名前はRelative Strength Indexの直訳だが意味は不明。人気のある手法だが、価格が継続的に上昇または下降している場合には「騙し」が多くなるので注意が必要である。

※日本テクニカルアナリスト協会 「はじめの一歩 テクニカル分析 ハンドブック4(用語集)」より転載


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