お金を増やす投資と減らす投資ハーフナー・マイク
(サッカー解説者/コーチ)
2006年、横浜F・マリノスで、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせたハーフナー・マイクさん。父親は名古屋グランパスエイトなどで活躍したハーフナー・ディドさんで、親子Jリーガーの誕生が話題に。‘10年には、ヴァンフォーレ甲府に移籍。圧倒的な得点力を武器に、J1昇格に貢献した。その後、欧州リーグに拠点を移し、日本代表としても活躍するなど、2022年シーズンに引退。山あり谷ありの選手生活では、ポジティブな性格でよかったと振り返る。
日本代表も務めた名ストライカーの今
「父親もサッカー選手で、チームが変わるたびに転校していたんです。新しい場所では、一から友達を作らなきゃならない。となると、明るく笑顔でいたほうが友達を作りやすいんですよね。プロになってからも、J1で結果を出せずJ2に行ったり、海外でもすべてが上手くいったわけじゃないんですけど、試練の時も、ポジティブでいたほうが、運気は上向くと思います。すぐにチームに溶け込める性格だったので、人との輪が広がって、セカンドキャリアでもその縁で仕事をいただけることもありますし、これからも元気よく明るく! 一度きりの人生、凹んでいても何も生まれないし、ポジティブでいたほうがずっと楽しいですよ」
引退後は、解説やイベント出演などで生計を立てている。「来る仕事は拒まない」と意欲的だ。最近は、指導者への興味が大きくなっている。
「親父は引退してすぐに指導者の道に入ったんです。すごく真面目で、誰よりも先にグランドに行って体を動かして、努力する人で、僕はグラウンドに最後に現れ、努力が苦手。真逆のタイプなんですけど、親父を尊敬しているんです。でも、すぐに指導者になるのは違うなと。小さい頃からサッカー漬けの生活だったので、違う世界で新しいことにチャレンジしたかった。そもそも、選手時代から、指導者はやりたくなかったんですよ。自分みたいなやつがいたらぶん殴っちゃいそうで(笑)。それが、一度高校生に教えた時に、僕のアドバイスをすぐ実践して変わっていくのがすごく楽しくて。その時に初めて指導者への意欲が芽生えて、去年の夏に一番下のランクのC級ライセンスを取りました。めんどくさがりだから、ライセンスを取るのはしんどいんですけど(笑)、しっかり取って自分のいいところも悪いところも、僕の経験として伝えていけたら」
投資を始めて詐欺にあったこともある
18歳でプロになり、契約金に年俸にと、いきなり大金が入ってきた。才能への評価の高さがお金という数字として表れたわけだが、その使い道に、今となっては後悔が残る。
「こんなにもらえるのかと驚きました。若いから、いい車とかほしいものを買っちゃうわけです(笑)。サッカー選手としてうまくいき始めると、飲みの場も増えたし、行きたい時に旅行して、値札を見ずにほしいものを買って…と、すべてがそうではないけど、かなり無駄遣いをしましたね」
サッカー人生を謳歌していた時期から、投資の話を聞く機会はあった。『そんな世界知らねぇし』と、真剣に耳を傾けなかったが、プロ生活が10年経った頃、28歳で、お金と向き合い始めた。
「22歳とかだと、先を見通してお金を使うなんてことはできなかったですね。プロでやっていけるのもあと数年だろうという時期になってやっと、セカンドキャリアやお金を増やす方法について考えるようになりました。サッカー選手は、怪我で選手生命を絶たれることもあるし、いつ何が起こるかわからない。僕は幸運にも大きな怪我をしなかったけど、チームメイトには怪我しがちな選手がいて、自分事として考えるようになってから、お金への向き合い方が変わったのかな。もちろん当時は、サッカー選手として結果を出すことが最優先。その対価として銀行に振り込まれるお金を、生活費、遊び、貯金、投資と振り分けるようになりました」
実際に投資を始めてみて、上手くいったことも、いかなかったこともある。しかし、失敗から学んだこともあった。
「選手時代は、投資したらそのまま放っていました。投資をすすめてくれた人からも『サッカーをしている間に、勝手にお金が増えていてラクだよ』と言われましたけど、久しぶりに見たら本当に増えてて、よかったみたいな。まったく動かなかったのに、5年くらい経って急にぐわ~っといくものもあるし、もちろん上手くいかなかったこともありますよ。最初は、人に言われるがまま投資して、詐欺に遭ったこともあります。そういう失敗を経て、すべての人を信用せず、自分で調べることの大事さを知りました。お金のことは、気にしすぎると気持ちが落ちるし、囚われすぎないほうがいい。今は、いろんなことにチャレンジして人生を楽しみながら稼いで、なおかつ投資で増えるお金もあったらいいよねというスタンスですね。引退してからは固定給がないので、どうやって固定給に近いものを作るのか、試行錯誤しているところ。難しいことではあるけどチャンレンジは新鮮だし、家族もいるので頑張らなきゃという気持ちになります」
お金が減っても思い出が残れば、
それはいい投資
10年前に、山梨の甲府に土地を買い、子供と共に暮らす。空気がきれいでのどかな場所は、子育てもいいと気に入っている。
「土地を買ったのは、オランダのチームにいた時なんですけど、暮らすなら日本と思っていました。当時からリニアモーターカーが通るという噂はあったんですけど、家から車で行ける場所に駅ができるので、早々に購入しましたんです。いまでは周りにも家が増えて来てどんどん地価が上がっています。そのつもりで選んだわけではなかったけど、結果的にいい投資になりました」
家族は、仕事のモチベーションであり、人生をかけて投資したい対象でもある。
「お金をいっぱい持っています。でも、そのお金を一緒に使う家族も友達もいません。それって、つまらなくないですか。一緒においしいものを食べたり、旅行したり、家族や大切な人と楽しい時間を過ごすことで、お金は減るけども、いい思い出が残る。お金を増やすための投資の一方で、人生を豊かにするためにお金を減らして使う投資もあるんじゃないかな」
ハーフナー・マイク
元サッカー日本代表で、2022年シーズンに現役を引退。現役時代は、ヴァンフォーレ甲府やヴィッセル神戸をはじめとした国内外のクラブで活躍。195cmという身体のサイズと、抜群のジャンプ力を融合させ、相手ゴール前での空中戦では圧巻の高さと強さが特徴。引退後の現在は、様々なジャンルで活躍の場を広げている。
Instagram @mike_havenaar_official