仏
2022.7.29

熱狂できるコミュニティに属したら
日々の幸福度は自然と上がっていく仏/プロeスポーツ選手

承認欲求を満たしてくれたのがゲーム

大学在学中に起業し、プロeスポーツチーム「FENNEL」を設立した、ゲームネーム「仏(ほとけ)」さん。選手の育成やeスポーツ世界大会「FFL GLOBAL CHALLENGE」をはじめとする大会開催、アパレル事業を3つの柱に、成長を続けている。

事業に打ち込むため、競技シーンからはいったん退いたが、自身も「荒野行動」というゲームのトッププレイヤーだった。野球にラクロスと、いわゆる〝スポーツ〟をやってきたが、大学時代にゲームに出合い、人生が変わった。

「野球はダメで高校に入ってやめました。それからスポーツは何もしていなくて、青春を取り戻すべく大学からラクロスを始めたら、まあまあいいところまでいけたけれどそれも続かずやめてしまった。その頃、ゲームに出合い、ガンガン勝てるようになって、子供の頃から思っていた〝一番になりたい〟ということが実現できた感じですね。人から賞賛され、承認欲求を満たしてくれたのがゲームだったんです」

今年、選手復帰した仏さん。その生活は、完全に夜型だ。11~12時に起きて24~26時頃まで10時間ほど練習し、寝るのは翌朝3~4時だという。

「練習後はアドレナリンが出ているので、落ち着かせるためにも漫画を読んで眠くなるのを待ちます。大好きな漫画には、年間何百万円も費やしていますね(笑)。寝る時間こそ早朝ですけど、睡眠時間は8時間確保しています。ゲーマーは睡眠が適当な人が少なくないのですが、寝ないとわかりやすく体調を崩して、精神も一気にやられてしまうので僕はちゃんと寝るようにしています。」

チームの練習は、仏さんがコーチとなって率いる。チームにとって何が足りないのか、課題意識を持たせ、計画的に行う。

「チームを維持するのにはかなりの金額が必要です。ならば勝たなければいけない。その責任感から、〝勝てるチームを作るには?〟〝勝率を1%でも上げるには?〟と考えると、おのずと、そういう練習になります。僕たちの練習には、他のスポーツでは基礎中の基礎であるコーチング理論やチームビルディング理論を用いますが、日本のeスポーツシーンではまだ珍しいかもしれません。コーチもつかず、『練習は各々で頑張ろう』というスタイルのチームもあるくらいで、海外に比べると10年くらい遅れている印象です」

幸福度を上げるeスポーツコミュニティを作りたい

仏さんは、日本のeスポーツシーンを「海外に比べて10年くらい遅い印象」と捉えているが、最近では日本においても大企業が参画するなど、eスポーツ市場は急成長を遂げている。

「最近の大会では2日で1万6,000人を動員しましたし、次は3万人を集めると聞いて、驚きましたね。あと10年はかかると思っていたフェーズに1年で達したので、日本のeスポーツの未来が楽しみですし、その中で絶対に勝たないといけないと思っています」

ファッションブランドとコラボして、競技シーンのイメージアップを図るなど、日本のeスポーツ市場拡大のために、尽力する仏さん。並々ならぬ熱意を注げるのは、仏さんの核に〝多くの人の幸福度を上げたい〟という強い想いがあるからだ。

「アメリカ留学で、格差社会が拡大していくのを見て、すごく嫌だったんです。それで幸福度を上げるにはどうしたらいいのだろうと。僕が、eスポーツに出合い、いいチームに恵まれてから、熱い日々を過ごせているように、共通の目的でつながり、一緒になって熱狂できるコミュニティに属したら、人の幸福度はかなり上がると思うんです」

仏さんの人生で、大きな価値を持つコミュニティ。オンラインでのコミュニケーションが急増し、オンラインゲームはその際たる例だが、その中心にいる仏さんは、オフラインの価値にこだわる。

「人にとって、直接対面するオフラインのコミュニケーションは絶対に欠かせないものだと感じています。リアルな会場に何万人もの人が集まり、応援するゲーマーが勝ったら、横にいるファンとバカ騒ぎしている。そんな光景が僕の理想とするeスポーツコミュニティです」

お金があればストレスから解放される

つい最近まで、経営面にも携わる経営者の顔を持っていた仏さん。「FENNEL」は、企業価値1千億円を目指すという。仏さんは、お金について、どう考えているのだろう。

「お金は多いほど、精神的な余裕が生まれ、自分のやりたいことの実現に向け集中できます。少ないと、『今月はあといくらくらいで生活しなきゃって』考えないといけなくて、どうしても節約や我慢することに時間や気持ちが持っていかれてしまいます。そうしたストレスを抱えないようにするために、僕は稼ぎたい。それと、オンラインサロンをやっていた経験から、複数の収入源を持つことも、精神的な安心材料として重要だと思いますね。その一つが、投資という選択肢になるのかもしれません」

仏

1998年生まれ。株式会社FENNEL創業者、代表取締役社長。本名は、堀田マキシムアレクサンダー、ゲームプレイヤー名『仏』にて活動。ゲームプレイヤー名の由来は、幕末志士新撰組の土方歳三の呼び名『鬼の副長』をモチーフに『仏の副長』が定着したところから来ている。スマホゲーム『荒野行動』の競技シーンにて、多くの大会で活躍後、大学在学中にFENNLEを創業し中退。eスポーツ競技シーンの第一線でプレイヤーとしても活動しながら、eスポーツチームFENNELのマネジメントを行う。

@maximushotoke

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