ユウ&ソヨン
2024.6.27

Instagramの運用そのものが、
私たちらしい投資の答えだったユウ&ソヨン/プロデューサー・デザイナー

着る人を “EVERYDAY IS A GOOD DAY”にするファッションを届ける「Toh(トー)」のプロデュースを担当するユウさんとデザイナー・ソヨンさん夫妻。夫で日本人のユウさんは「Toh」以外にもVMDとしての事業も行っており、妻で韓国人のソヨンさんは、13年間アパレルメーカーでファッションデザイナーとして活躍し、現在は育休中なのだそうだ。

Instagramの成功が
ブランド立ち上げの夢のスタートに

長い間、二人でファッションブランドをやりたいという夢を共有していたが、日々の忙しさになかなか実現できずにいた。はじめるきっかけになったのはコロナ渦。ブランドを作る最終目標に向かい、‘20年6月から手始めにInstagramをスタートさせた。

「ブランドを立ち上げるとなるとPRが不可欠ですが、資金的にそこに費やす余裕はない。そうなった時に、私たちが手軽にできるツールがInstgramでした。カップルコーデを載せたらすごく反応がよくて、スタイリングの見本として参考にしてくれる方が増えていきました。今思えば、それがブランドを作るという最終目標に向けたいい投資になっていましたね。徹底的にファッションに絞ったことが功を奏したと思います」(ソヨンさん)

「カップルコーデは、二人で考えています。例えば、今日は気分的に白黒が着たいと僕が思ったら彼女が合わせ、逆も然り。コーディネートを決めるのは10分もかからなくて、着替えて撮って家に戻ってくるまで合わせても30分くらい。近所に写真のいいバックになるシャッターがいっぱいあるんです(笑)」(ユウさん)

そんな中転機となったのが、白Tシャツにブルーデニムという、シンプルなカップルコーデだった。Instagramを始めて半年でフォロワーは1万人に。一年後には、5,6万人まで増えた。現在は30万人を越えている。見てくれる人がいる手応えをフォロワーという数字で感じられたことは、続けていくモチベーションになり、毎日上げ続けたことが今に繋がっていると、二人は口を揃える。

「ソヨンが韓国に帰省する時は、渡韓前に30日分撮り溜めたり、雨が降ろうが槍が降ろうが(笑)、愚直に1日1投稿してきましたけど、モチベーションを保ち続けられたのは、仲良し夫婦の趣味ではなく、自分達のブランドを作りたいという想いから始めたことだから。もちろん夫婦喧嘩もするんですよ。でも、撮影しなきゃいけないからとりあえず謝っておこうみたいな(笑)。カップルコーデを載せるようになって、宵越しの喧嘩はしなくなりました」(ユウさん)

「今、私たちの洋服を買ってくださる方は100%Instagramから。そういう意味でも、続けてきたアカウントは私たちにとって有り難い大きな大きな財産です。すぐフィードバックを頂けるのもInstagramのよさですね」(ソヨンさん)

異なる理想の働き方、分かち合う想い

「四六時中仕事をしていたい」ユウさんと、「メリハリをつけたい」ソヨンさん。理想とする働き方や将来の目標は対照的で「それで喧嘩になることもある」と笑って話す。

「僕は、自分がやりたいことだから、夜中に仕事の連絡がきても、休日がなくてもいいんです。この事業が大きくなることは嬉しいんですけど、いつまでに売上をどの規模にしたいといったイメージはなくて。毎日前に進むことに一生懸命で『売上30億にするぞ!』みたいな大それた野心は正直そこまでありません。むしろ売上目標を立てた途端、自分らしい運営ができなくなりそうで。自分達らしく運営した結果、30億になっていたいと考えています」(ユウさん)

「私は、仕事とプライベートを分けたい派。娘が生まれてからは、昼間は育児をしていて、ユウさんは別の仕事があるから、ブランドのことを話せるのがどうしても夜しかないんですよ。ブランドをスタートしたばかりで、私が子育て中というのもあるけど、本当売上目標を立てることは必要だと思うので、これからしっかり話し合わないといけないなって思っています」(ソヨンさん)

理想の働き方は違っても、好きなファッションを仕事として続けていくために、同じ場所に留まらず、変化や進化するための努力は怠らない。その共有した想いが、互いを最高のビジネスパートナーにしてくれるのだろう。

失敗に終わった投資に学びがあった

二人が今、投資の対象としているのは事業そのもの。当然のことながらお金は欠かせない大切なものだと位置づける。

「今は、毎シーズン材料を仕入れる事、服を作り売る事など、ブランドを継続させるための投資が中心です。モノづくりという行動と費やす時間にお金を掛け合わせてレバレッジを効かせ、わたしたちらしいファッション、わたしたちらしい暮らしのためのリターンを得ているイメージ。事業の成長スピードは速いほうがいいのかもしれないんですけど、たとえば100万円あったら10万円だけ使ってお客さんの反応を見て、よかったら30万円、50万円と投資を増やしていくくらい慎重に、自分でコントロールしながら進んでいったほうがいいと僕は思っているんですよね。事業の成長スピードと自分の内面のそれとが比例していないと、すべてが上手くいかなくなるような気がします」(ユウさん)

ユウさんがそう感じるのは、30代の頃、金融投資で失敗した経験があるから。当時、余剰資金ではあったものの、ありったけのお金を一銘柄につぎ込み、10年間値動きを見ずに放っておいた。

「知らない間にめっちゃお金が入ってくるみたいなこともあったんですけど、若気の至りもあって、湯水のようにお金を使ってしまったので、当時の利益ってまったく残っていないんです。正直、その投資のやり方は失敗でした。でもそのおかげで、石橋を叩きながらお金を使うという、今の経済観念が出来上がりました。やっぱりお金って、調子に乗って要らないものまで買うのか、事業を成長させるために堅実に使うのか、どんな感情を込めてどう使うかでその形がまったく変わると思うんです」(ユウさん)

わたしたちらしい暮らしに欠かせない
大切なものがお金

お金の話をしない夫婦が少なくない中、ユウさんとソヨンさんは、ざっくばらんに話してきた。そのことで、お金に対する価値観が近くなってきたと感じているそう。

「普段から夫婦の会話にお金の話が普通に出てきていたんですけど、今回取材を受けるにあたり改めて真剣に考えたんです。わたしたちにとって、家族が一番大切であることは大前提として、欠かせない大切なものの一つがお金だと、二人で整理できました」(ソヨンさん)

「僕が散財していた時代はいったん置いておき(笑)、稼いだ以上には使わないとか、根本的なお金の価値観が近かったのは、夫婦としてラッキーでしたね。その上で、ことあるごとお金について話し合うことで、さらに近くなってきました。僕は、貯蓄額も話しています。だけど、奥さんの口座にいくら入ってるかは知らないんですよ。そこに一番貯まっているんじゃないかと踏んでいます(笑)」(ユウさん)

ユウ&ソヨン
ユウ&ソヨン
(プロデューサー/デザイナー)

プロデューサーのユウさんと、韓国出身のデザイナーのソヨンさんの日韓夫婦。着る人を“EVERYDAY IS A GOOD DAY”にをテーマにしたファッション・ブランド『Toh』(toh10.com)を主宰する。

ご夫婦のInstagram @_toh_
ブランドInstagram @_toh_official

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