米国中間選挙の見通しと株式市場への影響について

米国中間選挙の見通しと株式市場への影響について

いよいよ米国中間選挙の投開票(11月6日(火))が迫ってきました。米国中間選挙に備え、過去の米国選挙時の相場の動きや、今回の結果予想、それによって株式市場にはどのような影響があるか、注目銘柄を含めて、広瀬氏に教えていただきました。

コンテクスチュアル・インベストメンツ マネージング・ディレクター

広瀬 隆雄 氏

三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。マネージング・ディレクターとして活躍している。米国企業の動向に精通。米国カリフォルニア州在住。

このレポートのまとめ

  1. 中間選挙直前の10月は経験則的に相場が高い
  2. 中間選挙が終わると投資家は大統領選挙に関心を移す
  3. 大統領選挙サイクルの相場の起点は中間選挙直前の10月だ
  4. 大統領選挙の直前は連邦政府の支出が増える傾向がある
  5. 中間選挙では下院は民主党、上院は共和党が支配する可能性が強い
  6. 上・下院ともに民主党が支配すると相場が荒れる
  7. そのシナリオではインフラストラクチャ投資への期待が高まる

中間選挙と10月相場

『ストック・トレーダーズ・アルマナック』のジェフ・ハーシュによれば1950年以降の中間選挙の年の10月の月次パフォーマンスは1年間で最高であることが知られています。

S&P500指数は平均すると+3.3%上昇したそうです。また勝敗で言えば中間選挙のある年の10月の株式市場が高かった年は13回、安かった年は4回でした。

ただ今年の場合、10月第2週に株式市場が大きく崩れたせいで10月は苦しいスタートとなっています。

大統領選挙に関心が移る

投資家は中間選挙が済むと2年後の大統領選挙に関心を移していきます。普通、大統領選挙直前の2年間は株式市場のパフォーマンスが良いことが知られています。
これは現職の大統領が再選を狙って公共投資などを積極的に行うからだ、と説明されています。そこでそれを検証してみたいと思います。下は米国連邦政府の支出の前年比の増減を示すチャートです。

連邦政府の支出(%、、前年比、セントルイスFRB)

連邦政府の支出(%、、前年比、セントルイスFRB)

(出所:セントルイスFRBよりマネックス証券作成)

1980年の大統領選挙の1979年に+9%だった連邦政府支出の増加は、大統領選挙の年である1980年には+17%に増えました。

同様に1983年に+3.8%だった連邦政府支出は、大統領選挙の年である1984年には+9.0%に増えました。

こうした大統領選挙直前の連邦政府支出増大は1988年、1992年、2000年、2008年にも観察できます。

その反面、1996年、2004年、2012年、2016年にはそのような傾向が見られませんでした。

つまり連邦政府の支出は選挙前に増える傾向が見られるけれど、最近になるとこの法則は当てはまっていないことがわかります。

もうひとつ『ストック・トレーダーズ・アルマナック』のジェフ・ハーシュが指摘していることは、大統領選挙サイクルの起点は11月6日の中間選挙よりひと月早い10月であるということです。

11月6日は中間選挙の日

さて、いよいよ11月6日(火)、米国は中間選挙を迎えます。今回の中間選挙では下院の435議席全て、上院の100議席の約3分の1にあたる35議席、36州の州知事を選ぶ選挙、さらに市長選挙などの地方選挙が行われます。

米国の下院議員の任期は2年で、大統領選挙(4年毎)と中間選挙(大統領選挙の2年後)の際に改選されます。米国の上院議員の任期は6年で、大統領選挙と中間選挙の度に全上院議員の議席の3分の1が改選されます。

現在の見通し

選挙予想サイト、リアルクリアポリティクスによると下院は民主党が206議席、共和党が199議席を獲得すると見られています。接戦でどちらになるかわからない議席は30です。

上院は民主党が44議席、共和党が50議席を獲得すると見られています。接戦のためどちらになるかわからない議席は6あります。

つまりかなりの確率で下院は民主党が、上院は共和党が過半数を握ると見られているわけです。言い換えれば「ねじれ」状態になる可能性が高いのです。

マーケットは「ねじれ」を好感すると思います。その理由は既に税制改革など投資家が切望していた法案は成立済であり、むしろ議会がねじれることによりトランプ大統領の暴走に歯止めがかかることを市場は望んでいるからです。

民主党勝利で市場は荒れる

これに対して下院、上院ともに民主党が勝つシナリオでは下院議長(House Speaker)がナンシー・ペロシ議員になる可能性があります。その場合、トランプ大統領の弾劾動議が起こされる可能性があります。当然、市場は荒れると思います。

この可能性は今のところ低いですがここへきて民主党は波に乗っている観があります。選挙資金の寄付集めの面でも民主党は共和党よりリードしていると言われています。

また下院、上院ともに民主党が支配するケースでは2017年12月に成立した税制改革法案の一部を廃案にすべきだという主張が出る可能性があります。これはマーケットにとってネガティブです。税制改革は2018年のGDPを少なくとも0.6%、2019年のGDPを少なくとも0.4%押し上げると試算されています。

さらに連邦債務上限の引上げに際して民主党が駄々をこねる可能性もあります。

トランプ政権は銀行セクターの規制緩和を支持する立場です。しかし民主党はリーマンショックの後に施行されたドッドフランク法など規制強化を好む傾向があります。従って下院、上院ともに民主党が勝つシナリオでは規制緩和のトレンドが逆流する懸念があると思います。

民主党勝利ではインフラストラクチャ投資が注目される

ただその場合でも悪い事ばかりとは限りません。民主党は共和党ほど財政規律には頓着しません。さらに民主党はかねてからインフラストラクチャ投資を支持してきました。

その関係で下院、上院ともに民主党が支配した場合は、同じくインフラストラクチャ投資に積極的であるトランプ大統領が手を組み、インフラストラクチャ投資法案を成立させる可能性が高まるのです。

インフラストラクチャ投資法案が動き出すとUSコンクリート(ティッカーシンボル:USCR)、グラナイト・コンストラクション(ティッカーシンボル:GVA)、ヴァルカン・マテリアルズ(ティッカーシンボル:VMC)、マーチンマリエッタ・マテリアルズ(ティッカーシンボル:MLM)、ユナイテッド・レンタルズ(ティッカーシンボル:URI)などの建設関連銘柄が動き出すことが考えられます。

共和党が下院、上院の両方を支配すれば?

可能性としては低いですが共和党が下院、上院の両方を支配するシナリオでは、トランプ大統領が就任した直後に試みられ失敗に終わったオバマケアの廃案が、再び議案として浮上する可能性があります。

まとめ

過去に於いては、中間選挙がある年の10月は買い場であることが多かったです。
今回の中間選挙は下院が民主党、上院が共和党という「ねじれ」状態になる公算が高いです。そして株式市場はそれを好感すると思います。
中間選挙が終わると、投資家は2020年の大統領選挙にフォーカスを移します。トランプ政権はトランプ大統領の再選を目指すため、今後の財政支出を増やす可能性があります。

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