米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズ(ティッカーシンボル:UBER)が2019年5月10日(金)に、米国市場へ上場しました。
マネックス証券では、上場日当日よりウーバー・テクノロジーズを取り扱っています。
今後も米国でIPOが予定されている大型銘柄についても、マネックス証券では上場日当日より積極的に取扱いする予定です。
※上場日、上場内容、取扱い予定は、今後変更になる場合があります。変更がある場合は改めてお知らせいたします。
目次
巨大ユニコーン ウーバー・テクノロジーズとは?
会社概要
ウーバー・テクノロジーズは2009年に米国カリフォルニア州で設立された比較的新しい会社です。未上場で時価総額が10億米ドル以上を誇る企業、いわゆる「ユニコーン」の代表格であり以前から上場に注目が集まっていました。
2017年9月に、不祥事で引責辞任した前CEOの後を継いだダラ・コスロシャヒ氏は、前職では大手旅行予約サイトのエクスべディアの代表を務めていました。
ウーバーには日本のソフトバンク・グループが巨額の出資をしており、出資比率(上場前)は16.3%と筆頭株主に、またグーグルの親会社であるアルファベットも出資しており、出資比率(上場前)は5.2%となっています(2019年3月31日時点)。またトヨタ自動車も2018年8月にウーバーとの協業に加え、5億ドル(約550億円)の出資も行っています。
ウーバーは「We ignite opportunity by setting the world in motion.(世界を変えていく機会の創出)」をミッションに掲げており、テクノロジーの応用で、世界中の人々の移動をさまざまな形で支え、無数のつながりを生み出しています。
今回の上場にあたり、時価総額は最大で約915億ドル(約10兆円)になると見られています。2019年3月に上場したライバルのリフト(ティッカー:LYFT)は上場時に約200億ドルだったことから、今年最大規模のIPOとなります。
会社名 | ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies,Inc.) |
---|---|
設立 | 2009年 |
本社 | 米国カリフォルニア州 |
代表取締役 | ダラ・コスロシャヒ |
主要株主 | ソフトバンク・グループ(筆頭株主)、アルファベット(グーグル親会社)、トヨタ自動車など |
ミッション | We ignite opportunity by setting the world in motion. (世界を変えていく機会の創出) |
上場時の時価総額予想 | 約805億ドル~約915億ドル (約8.9兆円~約10兆円 ※1ドル=110円換算) |
(出所:売出目論見書、各社ウェブサイト、各種報道よりマネックス証券作成)
(出所:売出目論見書より抜粋)
事業内容
コアプラットフォーム(3分野)とノンコアプラットフォームの大きく2つに分かれて事業を展開しています。
ウーバーはこれらの事業を世界63カ国、700都市で運営しています。1日あたり1,400万回、人々を移動させ、ウーバーを通じてこれまでにドライバーに支払われた金額は780億ドル(日本円で約8兆円)にも上ります。(2018年12月末時点)
コア プラットフォーム |
ライドシェアリング | タクシー配車サービスで、「ウーバー」プラットフォームの代表例。移動したい人と送り届けたい人をつないでマッチングさせ、その手数料で収益をあげる。UberBLACK(高級ハイヤー配車)やUberPOOL(同じ方角への乗り合いサービス)などもある。 |
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ウーバー・イーツ | フードデリバリーサービス。注文を受けたレストランやプラットフォームを利用するドライバーから利用料を、注文した消費者から配達料を徴収し収益としている。 | |
その他 | 主に自動車や自転車などの移動手段をユーザーにレンタルやリースする事業を収入源としている。ただ、今後は縮小予定。 | |
アザー・ベッツ | ウーバー・フレイト(長距離荷物輸送のマッチングプラットフォーム)や電動バイク、電動スクーターなどの利用料を収益としている。これまで米国内にサービス提供が限られていたウーバー・フレイトは2019年3月に欧州での参入を発表。 |
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
ライドシェアリング「ウーバー」のイメージ
フードデリバリー「ウーバー・イーツ」のイメージ
(出所:売出目論見書より抜粋)
利用者は増加の一途をたどっている
月次平均アクティブユーザー数(Monthly Active Platform Consumers)は、タクシー配車やウーバー・イーツ、そして電動スクーター、電動バイクなどの新移動サービスを、ウーバーのアプリ上で月1回以上利用したユニーク消費者数を四半期ごとに月次平均した数値です。
直近の四半期(2018年12月末時点)では事業展開をしている63カ国で9,100万人がウーバーのサービスを利用しており、これだけ大きな規模になっているにもかかわらず、1年前(2017年12月末時点)から+35%という驚異的なスピードで利用者を伸ばしています。
トリップ数は、タクシー配車やウーバー・イーツ、そして電動スクーター、電動バイクなどの新移動サービスを、一定期間内に利用した消費者の数を表します。
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
全体業績推移(2016年~2018年)
2018年には、日本円(1ドル=110円換算)で約1兆2000億円程度の売上を叩き出しています。
一方、営業利益はマイナスで、規模やシェアの拡大のため、いまだに赤字が続いてる状態です。
2018年に純利益がプラスとなっているのは、ロシアや東南アジアでの事業売却や、出資している中国のDidiへの評価額上昇による利益があったためです。
単位:百万ドル
2016年 | 2017年 | 2018年 | |
売上高 | 3,845 | 7,932 | 11,270 |
営業利益 | -3,023 | -4,080 | -3,033 |
純利益(※) | -370 | -4,033 | 997 |
※親会社の所有者に帰属する当期利益(税引後)
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
部門別業績推移(2016年~2018年)
部門別では、特にウーバー・イーツが売上高を伸ばしています。
日本でも東京都内で、ウーバー・イーツのカバンを背負って自転車でデリバリーしている姿をよく見かけます。特に日本では、ライドシェアリングのサービスが他国と異なり大きく展開できていないため、ウーバー・イーツに力を入れているものと考えられますが、ウーバー全体を見てもウーバー・イーツの業績の伸びは飛び抜けています。
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
全売上高に占めるウーバー・イーツの売上高比率は2016年の2.7%から2018年には13%まで上昇しました。
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
ウーバーの海外戦略とは?出資やジョイントベンチャー設立
ウーバーは早くから中国や東南アジアへ進出していましたが、最終的には現地の配車サービス大手に事業を売却。
株式保有という形で間接的にビジネスを展開しています。
一方、ロシアでは現地の大手IT企業であるヤンデックス(ティッカー:YNDX)とジョイントベンチャーを設立し、直接的に事業を営んでいます。
なお、米国での最大のライバル、リフト(ティッカー:LYFT)は米国とカナダだけでしか配車サービスを提供していません。
中国 | 2016年8月にDidiに事業を売却し、中国から撤退。代わりにDidiの株式15.4%を保有しています(2018年9月時点の比率)。 |
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ロシア | ヤンデックス(ティッカー:YNDX)とジョイントベンチャー、ヤンデックス・タクシーを設立。株式の38%を保有しています(2018年12月末時点の比率)。 |
東南アジア | 東南アジア事業をグラブに売却し、東南アジアから撤退。グラブの株式を23.8%取得しています(2018年12月末時点の比率)。 |
中東 | 2019年3月にドバイを拠点とするCareemを約31億ドルで買収することで合意。Careemは中東、北アフリカ、パキスタンの115都市で、数百万人のユーザーを持ち、ライドシェアリングやフードデリバリー、支払いサービスなどを提供しています。 |
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
ウーバーのライバル達は?
ウーバーは複数の事業を営んでいますが、それぞれにおいて、米国には強力なライバルが存在します。
ライドシェアリング | リフト(ティッカー:LYFT) |
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ウーバー・イーツ | グラブハブ(ティッカー:GRUB)、アマゾン(ティッカー:AMZN) |
ウーバ・フレイト | シー・エイチ・ロビンソン・ワールドワイド (ティッカー:CHRW)、エックスピーオー・ロジスティックス (XPO)、エコ・グローバル・ロジスティクス (ECHO) |
(出所:売出目論見書よりマネックス証券作成)
米国株のプロはどう見る?過去IPOから見るウーバー投資戦略
広瀬 隆雄 氏
米国在住の広瀬隆雄氏が、ウーバーの内容を詳しくレポートでお伝えします!
レポートのまとめ
- ライドシェアリング業界は未だ端緒についたばかり
- ウーバーはライドシェアのリーダー企業
- 最近売上高が伸び悩み、マージンが圧迫を受けている
- マーケットシェア重視の経営から利益重視の経営へシフトする必要あり
- ウーバーのIPOは調達金額で過去10傑に入らない
- 長い目で見ればウーバーもアリババ、フェイスブック同様成長が期待できる
新規上場銘柄の概要
ティッカーシンボル | 銘柄名 | 市場 | 公開価格 |
---|---|---|---|
UBER | ウーバー・テクノロジーズ | NYSE | 45ドル |
マネックス証券の米国株(アメリカ株)なら
2019年1月31日現在
※業界は米国株のオンライン取引が可能な証券会社(SBI証券、楽天証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、マネックス証券)をいいます。
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