投資信託は投資の専門家が運用してくれるため、保有中は少ない手間で管理できます。しかし、最終的な売買の判断は、自分でしなければなりません。そうなると、売り時に悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は、投資信託の6つの売り時をご紹介します。投資信託の売り時にお悩みの方は、最終的な判断の参考にしてみてください。
投資信託の6つの売り時
一般的に投資信託の売り時は、次の6つがあるといわれています。
- ① 今後の値上がりが期待できない時
- ② 暴落した時
- ③ 今よりも利益が見込める投資先を見つけた時
- ④ 現金が必要になった時
- ⑤ 目標を達成した時
- ⑥ 保有資産をリバランスする時
それぞれの詳細を見ていきましょう。
① 今後の値上がりが期待できない時
経済や社会情勢などが大きく変化すれば、投資信託によっては長期的に見て値上がりが期待できなくなるケースがあり、そのような場合は売り時だと考えられます。
値上がりの見込みがないと判断した際は、売却した方が良いでしょう。今後の値上がりが期待できないにもかかわらず保有し続ければ、基準価額が下落し、損失が発生する恐れがあります。
投資信託は専門家が運用してくれますが、その投資信託の売買のタイミングは自分で判断しなければなりません。
また、運用方針が時代にそぐわないものになったり、経済状況と合わないものになる場合もあり、注意が必要です。最低限、保有する投資信託の特徴の把握と経済に関する情報収集は心掛けたいところです。
② 暴落した時
何らかの要因によって基準価額が大幅に下落し、大きな含み損を抱えそうなときも売り時の1つとみられます。長期的な低迷につながりそうな状況では、損失の拡大を防ぐためにも早めの判断が重要です。
しかし、投資初心者にとって、的確な判断は難しいかもしれません。投資初心者が判断しやすくするためには、あらかじめ「〇〇円まで下がったら売却」と、売却のルールを決めておくのも良いでしょう。そうすれば、損失が大きくなる前に対処することが可能です。
③ 今よりも利益が見込める投資先を見つけた時
投資を続けていれば、「他の投資信託の方が多くの利益が期待できる」と感じるケースもあるでしょう。そのような場合は、保有中の投資信託を売却して、投資資金を確保するという選択肢もあります。
新たな投資先は投資信託だけに限らず、株式や不動産かもしれませんが、投資資金がなければ前に進めません。
いきなり全てを手放すのが不安なら、最初は一部のみを売却して投資資金とし、その後は運用状況を確認しながら、徐々に切り替えるのも1つの方法です。
④ 現金が必要になった時
結婚や住宅購入、子どもの進学、車の購入、急な出費の際などは、まとまった現金が必要になります。預貯金のみで対応できない場合は、投資信託を売却して現金を確保しなければなりません。
タイミングが悪く値下がりしている場合も考えられますが、今後の上昇が望めそうであれば、必要な分のみを売却する方法もあります。
⑤ 目標を達成した時
あらかじめ目標を設定しておき、それを達成した時も売却のタイミングです。「◯◯年後までに〇〇〇万円」のように目標を明確にしておけば、その時々の相場に惑わされずに売却できます。
しかし、目標を決めずに運用してしまうと「まだ値上がりしそう」などと思い、売り時を逃す恐れがあるため注意が必要です。
今後の相場を予想するのは、投資のプロでも難しいといわれています。資産運用は事前に目標を決めてから始めた方が、売り時を迷わずに済むでしょう。
⑥ 保有資産をリバランスする時
長期的に複数資産へ投資している場合は、金融商品の価格変動によって、保有資産のバランスが崩れることがあります。こういったケースでは、投資信託を含めた保有資産の一部を売買して、保有資産を当初の比率に戻すリバランスが必要です。
例えば、「投資信託50%・個別株式50%」で保有資産の比率を構築していて、投資信託が値上がりしたとします。
その結果、保有資産の比率は「投資信託60%・個別株式40%」に変わってしまいましたが、投資信託の一部を売却すると、「50%・50%」に戻せます。
バランスが崩れたまま放置してしまうと、当初の想定とリスクやリターンが乖離してしまう可能性があります。複数資産で長期投資している方は、保有資産の定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。
他にもNISA(少額投資非課税制度)を活用した投資を行っている場合、制度の仕組みを理解した対応が必要になります。
NISAでの投資信託の売り時
NISAで投資信託を購入している場合、基準価額が購入時より値上がりしているタイミングは、NISAの非課税メリットを生かせる売り時です。
NISAとは投資信託の売却時に得られる利益が、非課税になる制度です。ただし、利益に対する税金は非課税となりますが、損失が出ている場合はそのメリットを生かすことができません。
NISA口座には3種類ありますが、一般NISAとジュニアNISAはロールオーバーができるため、非課税期間終了時に無理に売却する必要はありません。ロールオーバーとは、必要な手続きを行うことで、非課税期間が満了したあとに、NISA非課税投資枠で保有している金融商品を翌年のNISA非課税投資枠に移すことです。
なお、ロールオーバーに上限金額は設定されていませんが、移した分だけ翌年の投資枠を消費してしまう点は覚えておきましょう。
※参考:金融庁「NISAとは?」
売却せずに課税口座へ移す場合は注意
NISA口座で投資している投資信託を非課税期間終了後も保有し続ける場合には、注意が必要です。通常であれば、非課税期間が終了するとNISA口座での保有資産は課税口座に移されますが、このときに取得価格が修正されてしまうのです。
簡単な例で見てみましょう。
NISA口座で投資信託Aを100万円分購入し、非課税期間終了時にこの投資信託Aが70万円に値下がりしていました。このとき、NISA口座から課税口座に移される際に、投資信託Aの取得価格は100万円から70万円に修正されます。
その後、70万円から80万円に値上がりすると、利益分の10万円は課税対象になります。当初の取得価格は100万のため、値上がりしても本来なら税金はかからないはずです。しかし、取得価格が修正されたことで、税金がかかる状態になってしまいました。
つまり、含み損がある状態で課税口座に移すと、本来はかかるはずのない税金がかかってしまう点に注意が必要です。
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